紀伊侵攻2
陣中で竹中半兵衛が、重い口調で話し出した。
「殿、雑賀衆は主に5つの集団に別けられます。その中の中郷・南郷・宮郷は農業を生業とし新義真言宗を信仰する者達で、すでに我が本郷家に下っております。残りの雑賀荘・十ヶ郷は頑なに拒んでおります」
「それなら、どうするのだ」
「雑賀荘・十ヶ郷は、漁業や海運・商業を生業とし一向宗や浄土宗を信仰する者たちで、鉄砲使いが大勢揃っているゆえの強気ならば、こちら側は狙撃にて殲滅しかないと思われます。1人でも残せば鉄砲で殿の命を狙い続けるでしょう」
「狙われ続けるのか、それは困るぞ」
困ると言っているが、本当は1キロ内ならば危険人物が来れば赤表示で知らせてくれる。
だから心配はしていない。
しかし、戦闘中は赤表示の点滅でうっとうしいのだ。
それが絶え間なく続くと思うと、更にうっとうしくなって来た。
中郷・南郷・宮郷は、長島の農業見学で虜にしたらしい。
そして、根来寺での1件で、同じ新義真言宗であったので恐怖して味方に付いたかも知れない。
行軍して進む先は、紀の川の河口付近の北岸。
そこが最終目的で向かっている最中だった。
なのに赤表示の点滅で危険人物の5人組を特定。
そして、その集団が34まで増えて、こっちに向かって来ている。
武藤一郎に話し掛けて、そのことを知らせる。
どうやら雑賀衆は、ゲリラ戦を仕掛ける積もりだ。
雑賀衆にとって知り尽くされた土地だ。
狙えるポイントは熟知している。
狙って撃って、被害を与えて急いで逃げる戦法だと思われる。
普通ならば、それだけで行軍の足は遅くなるだろう。
怪我した者をそのまま放置にも出来ない。
そして、被害だけが増えてゆく。
この時代にゲリラ戦を仕掛けるとは、通常の戦いで無くなっている。
しかし、今回は相手が悪かった。
「一郎、もうすぐ本郷家に俺の鉛の玉を撃ち込めるのか?」
「ああもうすぐ、見えてくるだなー」
鉄砲を持った雑賀衆が、話しながらけもの道を歩いていた。
「ダダダダダダダ」と音が鳴り響き。
5人の雑賀衆は、一瞬で倒れていた。
「火縄銃か、古臭いものをまだ使っているのか?」
「その火縄銃も高く売れるんだぞ。大事に取って来い」
「へいへい、分かっているよ。取ってくればいいんだろ」
忍者部隊が出動して、機関銃で撃ち殺していた。
四方に待構える忍者から、一斉に撃たれたらことで全滅だった。
行軍中の本郷軍は、遠くの方から「ダダダダダダダ」と音がこだましていたのを聴いていた。
今度は西から聞こえてきた。
その前は東から聞こえていた。
「殿、全部討ち取りました。火縄銃はどうしますか?」
「今川の殿様に売るといいだろう」
「ハハーー」
忍者の中忍で萩源五郎の報告だった。
紀の川が見えてきた。3郷が揃って待っている。
「出迎えご苦労であった。して雑賀荘と十ヶ郷はどうであった」
「はは、同じ返事で御座います」
「殿、交渉は諦めましょう」
「最後通告もダメか?・・・」
雑賀荘と十ヶ郷へ行く途中でも、狙っている5人の鉄砲隊に、狙撃2班が5発の弾丸で撃ち倒した。
それを見ている3郷は、更に恐怖した。
射程距離が遠いのに、外すこともなく仕留めたからだ。
3郷にとっても火縄銃の強さは、熟知していたがその上を越えているのだ。
「やはりこっちに付いて良かった」と聞こえていた。
俺の耳は、尋常な耳でなくささやく声も聞こえるのだ。
いよいよ決戦の場がやって来た。
海からは、【なばな(駆逐艦)】・【ながしま(駆逐艦)】・【伊勢(駆逐艦)】の3隻が海岸を取囲む予定だ。
すでに雑賀水軍はことごとく沈められていた。
雑賀水軍の焙烙攻撃も、出来ないまま沈められた。
焙烙は手投げ爆弾のようなもので、近づいて投げ込む戦法だ。
しかし、近づく前に魚雷によって沈められて、小型船はライフルの格好の的でしかない。
武藤一郎の号令が響いた。
「撃てーー、撃って撃ちまくれーー!!」
雑賀荘と十ヶ郷はどうすることもなく、狙撃され続けた。
折角の鉄砲の名手も、射程距離が違い過ぎた。
覗き穴から覗いた瞬間に撃ち抜けれてしまう。
それに増して小型大砲から、砲弾が撃たれて着地点で破裂して被害を更に広げている。
そして、雑賀荘と十ヶ郷は敗れたのだ。
鈴木孫一の死骸も確認された。
【クエスト完了 報酬に火魔法を差し上げます】
今度は火魔法だ。
雑賀衆だけに、火魔法だったのか?・・・
あとで知ったのだが、鈴木孫一は通称で『雑賀孫市』と呼ばれていたらしい。
本当にどれだけ名があるんだ・・・
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