突然の戦国時代
40代を越して一人暮らしのボロアパートで、契約社員のままだが真面目に生きてきた。
もう何回か年を迎えたら50代になってしまう。
今日は、土曜日なのに遅くまで残業だった。
明日はゆっくりと遅くまで寝ていられる。
コンビニで弁当を買っての帰りだった。
腕時計は0時を表示して、月明かりと街灯の下でぶらぶらと歩いていた。
急に前方が輝きだした。そして、その輝きが止んだ。
あれ!何故!何故だ!何故だだっ広い原っぱに居るのだ。
夜だったはずなのに、空は曇っているが空は明るい。
呆然と立ち尽くしていると、遠くに時代劇の合戦姿の武士や足軽が、列をつくって歩いている。
訳も分からないが、あの人達に聞くしかない。
合戦の撮影現場なのか?何処にカメラマンが居るんだ。
頭の中では、『何故、何故』が目まぐるしく回っていた。
それでも、この場の原因をつきとめようと歩き出した。
背の高い草に隠れるように、4人の時代劇に出てくる百姓がこそこそと話し込んでいた。
どうしても視線はそこに向かったが、急に透き通った画面が現れた。
△竹田小五郎 織田の間者
HP10
なんだこれは、ゲームのステータスか?
それに織田の間者って、何・・・
竹田小五郎が急に振返って「おのれは化け物か」と怒鳴った。
え!赤いジャージ姿で、コンビニの袋をぶら下げているけど、そこまで言うか?
竹田小五郎の△マークが、●赤丸マークになった瞬間に、短い刀を抜いて襲ってきた。
え!マジで。
そして、【クエスト発生 織田の間者を殺せ】
しかし、何故だか動きがスローモーションに見えだし、かわすことが出来た。
コイツは本気だ。
俺の怒りが爆発。こんな通り魔野郎に殺されてたまるか、右コブシで顔面を思いっきり振り切った。
見事に顔面に当たり、その場で崩れ落ちた。
【レベルアップしました】
え!何、レベルアップてどう言う意味。
それを見ていた残りの3人も、短い刀を抜き向かってくる。
先頭の顔面にも、かわしながら思いっきり殴った。
4メートル後方まで飛んでワンバウンドして5メートル先まで飛んでいる。
え!そんなに飛ぶか?
2人は一瞬止まって、それを見ていた。
俺はチャンスだと思い、速いステップで近づき。
体を捻り、裏拳で後頭部を殴りつけて、すぐさましゃがんでアッパーで残りの男のアゴをとらえた。
3メートルも上空まで体が飛ばされて、落下してきた。
自分自身がしたことなのに、俺自身の身体能力の凄さに驚くしかない。
【レベルアップしました】
【クエスト完了 報酬に亜空間収納を差し上げます】
レベルを意識した途端に、自分のステータスが現れた。
本郷勇
Lv2
HP30
MP15
亜空間収納
「ガチャガチャ」と音を鳴らしながら、俺に近づく人達が現れた。
「おのれは何者だ。それにこやつらを何故殺した」
怒鳴り付けた男を見た。
△山田伊助 今川の武士
HP12
今川の武士って、もしかして、昔にタイムスリップしたのか?
「黙っていては、分からぬぞ」
「わたしは、本郷勇です。この者達は織田の間者です」
「間者だと、それも織田の・・・何か言わなかったのか?」
【クエスト発生 桶狭間の合戦で生き残れ】
又も、クエストが発生してしまった。
それも有名な桶狭間の合戦なんて、信じられない。
俺の人生はどうなるのだ。
これは間違い無く、戦国時代の桶狭間の合戦に俺が居るのだ。
それで生き残れって、死ぬ可能性もあるのか?
「何を考え込んでいる、早く言わぬか?」
「はい、織田がここに攻めると言ってました。それを聞いてしまった俺に襲ってきたのです」
なんとかこの場をおさめる嘘をついた。
「お前達は、間者が何か持っていないか調べろ。そして本郷と申す者は、わしに付いてまいれ」
唖然とする俺の腕を引張り、無理やり連れて行かれた。
その時だった。雨が降り出した。
「なんと、休息を取られるのか?早く行って知らせねば」
これは間違い無く桶狭間の雨のシーンだ。
その時に俺は確信した。
戦国時代に飛ばされた。
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