ライムとキリナ
ライムの帰りが妙に遅い。嫌な予感がするから行ってみよう、そう決めてキリナが歩き始めると、トイレに行く途中で人がざわついているとこをを見つけ、駆け寄った。嫌な予感は……当たった。
当たってしまった。
「ライム!!」
ぐったりした様子のライムはもうすでに生死の境をさ迷っているような顔をしていた。
嫌だ……嫌だ。死なないでくれ!
「あ……れ?キリナ?……ありがとね……私……今日と……ても、幸せ……だった……よ?」
これは夢?なら悲しまないで……キリナ。私、とても幸せだった。どうやったらこの気持ち……伝わる?
「まてよ。まだだろ?まだ行きてるだろ?そばにいるよな?」
「ごめ……ん……ね……。」
短い寿命でごめんね。ごめんね……でも、悲しまないで。
「何で謝るんだよ?」
謝りながら俺の顔を触るライム。何を伝えたいんだ?俺に、何を伝えたいんだよ?
「大……す……き……」
そう言ってライムの目から生気は失われた。
死んだ魚の目、その言葉以外に適当な言葉が見当たらないほど、ライムがこの世の人間でなくなったことはすぐに、はっきりとわかった。
「ライム!ライム!!ライムゥゥゥウウウウ!!!」
俺はただ、情けないほど泣き叫んだ。君がクローンじゃなかったらどれだけ良かっただろう。でもやっぱり君がクローンじゃなきゃ俺らは出会えなかったんだろうな。そうしなきゃいろんなことを共有することも……俺の家で君がしばらく暮らすこともなかったんだろう。だからやっぱり君はクローンじゃなきゃいけなかった。
クローンだと知りながら新しい人格を築いた君。どれだけ辛かっただろう。生きることも、人との関わりも。
ラギアという少女は死んだ。そして新たなライムという少女も死んだ。
俺が荒れに荒れていることろに、両親が帰ってきたよ。俺は病院につれてかれた。神経がいかれてるって話だった。当然だった。この家には家族がなかなか帰ってこなくて、孤独が当たり前だった俺の前に、君という誰か自分以外の人が居る幸せを俺は知ってしまったのだから。
俺がクローンだったらどうなっていたんだろうな。いや、考えるのはやめよう。君にこんな悲しい思いはさせたくない。
どこかでまた、君に出会えるだろうか……。
〔クローン人間が医療意外で使われることはありません。〕
いきなり耳に入ったテレビのニュース。
〔記憶はクローンに取り入れることは出来ますが、新たな生活をさせることは不可能です。何故なら生を持ったクローン人間は新たな人格を持つ可能性があり、それらは別人物の別人格とされ、医療用として使えなくなってしまうからです。〕
キリナはキッとテレビを睨み、そして部屋を出た。
「君がいない世界は……広すぎるな……。」
大きな空にポツリと残された言葉だった。
君は、幸せでしたか?俺は幸せでした。ライムも幸せだったらいいと思う。俺も……ライムのこと。本当に大好きだったよ。
そして今もどこかで君が幸せなことを願ってる。今も、これから先も、君が好きだよ……。
きっとどこにいても、俺は君に恋をするだろう……。
ええっと、本人が幸せな記憶で満たされて死んでいくって言うのはハッピーエンドなんですかね?
それとも死んじゃったんだからバットエンドなんですかね?
どっちにしろまだエンドじゃないです。
楽しんでもらえたら嬉しいです。
未熟者の小説ですが、読んでいただきありがとうございます。




