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ただ、絶望的な奇跡を待っていた  作者: 半月
一章 すべてのはじまり
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偽者

そして意外にも早くそして、簡単に親の部屋を探るチャンスはやってきた。母親の部屋は探し回っても何もなくて、父親の部屋でようやく秘密それらしき何かを見つけることができた。父親の引き出しにあったもの……それは……。


一枚の写真。


それも私のもので、入院中のものだ。弱々しく笑っている。そういえば私……入院中の記憶がない。こんな写真を撮られた思い出もない。なのにどうしてこんな写真が存在するんだろう?それに……元気な私がここにいるのにどうしてこんな……いちいち心が痛くなるような写真なんか持ってるんだろう?私だったら捨てちゃうけどな……。

鍵付き引き出しに手を伸ばして、パスワードを打ち込むと簡単に開いた。まさか、感でパスワードがとけるとは……私、天才?って、そんな冗談はおいといて……そこにあったのは一つのメモリーカード。かなり嫌な予感がするけど、見たい。いや、むしろ見なきゃいけない気がする。両親に直接聞こうとしても、絶対に答えない。人の言葉よりも物のほうが動かぬ証拠になる。

そう思い、覗いた内容。それは……両親の日記だった。

連ねてあることはすべてラギア。私の名前ばっかりが書かれている。どうしてこんなに?

最後のほうに日記は語った。

[ラギアにクローン人間を作ることを決めた。しかし、急がないとラギアは死んでしまう。]

そうして私は助かった……そうでしょ?どうしてこんなに嫌な予感がするの。嫌な予感は全部要らぬ心配だった、そう笑い飛ばしたい。その願いくらい、簡単にかなえてくれるよね?ねぇ、そうだよね?

のちにしばらくの空白が続き、一言。


[ラギアは死んだ。]


え……?

それからしばらく先、[ラギアは死んだ。]しか出てこなかった。

ねぇ待って……嘘でしょ?じゃあ私は?なんで私は存在するの?今ここにいるラギアは?私は……私の存在は否定されるの?いや。そんなはずない。小さいころの記憶だってちゃんとあるし……。

頭が真っ白になった次の瞬間、私は絶句するものをそこに見た。

[私たちは悲しみに負けた。ラギアだ……ここにはラギアがいる……クローンのラギアにラギアの記憶を埋め込んだ。でも、クローン人間は本体ではない。だから命は3ヶ月しか持たないという……それでも私たちはラギアに会いたかった。病気で苦しかった記憶はかわいそうだと取り除いてもらうことにした。医療研究科グループも、本体の記憶を別のものにも移し変えられるか?という記憶喪失のための記憶移植実験を試していた。それはみごとに成功した。]

嘘……でしょ……じゃあ……私はラギアじゃないの?ラギアじゃないなら誰なの……?

[ラギアは生き返った。]

[ラギアはここにいる。私たちの前にいる。]

違う……?

私はラギアじゃない……?


私がラギアじゃない、それは……親たちにとっても同じなんでしょ?だから……ラギアの写真を残しておくんでしょ!?こんな痛々しい写真を……。

私というクローンを通してみていたのは……本物の実体(ラギア)のほう……だから……だから泣いていた?

……私の命って3ヶ月……持つか持たないか……なの?そしたら私……あと何日生きられるの……?ココに来てすでに1ヶ月以上は経ってる。あと残りは1ヶ月と半ってところ……?嘘よ……嘘でしょ?

お願い……誰か嘘だと言って……これは、悪い夢なんだって。お願いだから……。

そうしてラギアから命をもらった“私”ではない体はしゃがみこんだ。どうしてそこまでして私をラギアにしたの?イセヤ君を好きなのも……私じゃない。好きなのは……私の過去きおく。そしてラギア本体。私なんかじゃない。今までの経験も、嬉しいことも、好きな人も、過去に感じた感情すべて……私のものじゃない……ラギアのものだ……。

そんな……ラギアって言う存在は……なくなっていたなんて……。

私は“偽者”だったなんて……どうして……どうして私はここに存在するの……。

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