第8話 テセウスの船
絵画への気持ちをぽっきりと折られてしまった女性は、大人しく収容所に入っていった。それほど重い罪ではなく、東雲が厳罰化を望んでいないため、しばらくしたら釈放されるだろう。が、傷心から立ち直るには時間を要するかもしれない。
心の底から欲しかった物を失った挙げ句、その制作者から『本質を理解していない』と一蹴されたのだ。傷付くのは当然だろう。うっかり犯人に同情してしまいそうだ。
仕事部屋に戻り、通常業務も済ませた弑流は、足早に局内図書室へ向かっていた。榊原の言っていた”絵の意味”が気になったのである。
アマリリスという花の花言葉やその由来が関係あるような口ぶりだった。花の図鑑でも見れば、それが推測出来るかもしれない。
ガブリエレに会うときしか踏み入れたことがない図書室は、一冊を探すには広すぎる。そのため、事務員や司書に聞いて案内してもらうことにした。
その中で最も本に詳しい司書の女性が、植物図鑑があるコーナーに連れてきてくれた。上から下まで棚を見て、弑流の欲している情報が載っていそうな本を選んでくれる。
「この図鑑なら載っていると思いますよ」
そうして選んでくれたのは小さくて薄い図鑑だった。シリーズ物で、地域毎に分類して載せられているらしい。一種類に対して情報を盛り込めるので、花のことを狭く深く知りたいならうってつけとのことだ。
「ありがとうございます」
礼を言って近くの読書スペースへ向かう。仕事終わりの局員達が何人か同じように席に着いていた。
ページを開いて目次を確認する。すると、真ん中ほどに確かにアマリリスのページがあった。他の花については今読むことではないので、そこまでめくって必要な項目を読み始める。
花には良くあることだが、花弁の色によって花言葉が異なるようだ。当該の花によると、赤は女性が言ったように『輝くほどの美しさ』だった。白は『内気』、ピンクは『おしゃべり』、紫は『強い虚栄心』。周囲に舞っていた蝶は紫だったが、花言葉なので関係ないだろう。国によっては色で分けない場合もあるらしく、その場合は『誇り』という意味もあるらしい。
そして、花に込められた意味の由来は一つの物語から来ているようだ。
お喋り好きな羊飼いの少女アマリリスは、同じ羊飼いの少年アルテオに恋をしていた。しかし、人前では内気な少女は彼になかなか恋心を伝えることが出来なかった。そんなある日、アルテオが花好きだということを知る。彼の元に花を届けに来てくれる別の少女に対して、彼の心が傾いていることも。
このままでは彼が別の人に取られてしまう。
焦り、何とかして少年を自分に振り向かせたかった彼女は、『どうにかして振り向かせられないか』と神に乞う。すると、神は彼女に一本の矢を授けた。言われた言葉は『それを使って花を咲かせなさい』とだけ。
アマリリスは悩んだ挙げ句、その矢で自らを刺した。傷口から流れた血液が地面に滴ると、そこから一輪の美しい花が咲いた。一目で心が奪われるような美しさを持った花だった。彼女はそれを手折ってアルテオにプレゼントした。アルテオはその花に目を奪われ、それがきっかけで彼女と結ばれることになる。
そうして後に、アマリリスの血で咲いた美しい花は『アマリリス』と呼ばれるようになった。
そのため、花言葉で最も代表的なものが『輝くほどの美しさ』だ。『おしゃべり』や『内気』は少女の性格と、互いに向き合って俯くように咲く花の形状から来ている。『誇り』や『強い虚栄心』は自らの血で花を咲かせたことが由来のようだ。
調べてみた限り、犯人の女性はアマリリス自体のことはちゃんと分かっていたと思える。榊原も『そこまで分かっていて何故絵の意味が理解出来ないのか』と言っていた。
あの絵には、花と蝶と草葉が描かれていた。全体で意味を成しているとすると、花以外のことも考えなければならない。ただ、タイトルに『毒蝶』とある辺り、何か一種類を指しているわけではなさそうだ。図鑑を見ても参考にはならない気がする。
(血で咲かせた花、か)
血を赤い絵の具に置き換えると、これは説明出来そうだ。赤い絵の具で花を描きあげることで、”咲かせた”と言える。
そうすると、その”咲かせた花”を誰に見せたかったのか、という問題に突き当たる。アマリリスは咲かせた花をアルテオに見せて振り向かせたかった訳だ。だから、榊原の立場に置き換えると、あの絵を特定の誰か一人に見せたかったことになる。
「あ」
思わず声が漏れてしまい、慌てて口を閉じた。幸い誰にも聞かれなかったようだ。
弑流は、榊原があの絵を売りたくなかった理由が分かった気がして、つい声を出してしまったのだ。
”特定の誰か一人に見せたかった”絵画。それはつまり、榊原が誰かのために描いた絵だということ。犯人の女性を含む、コレクターに向けて描いた絵ではないということだ。それがあの美術館に未だにあるのは、その誰かに渡せなかったからだろう。そんな絵を欲しいと執拗く言ってきた女性は、確かに『絵の意味を理解出来ていない』と言えるかもしれない。
自分だけが真理に至ったような気がして、ほんの少し優越感を覚えた。
今まで絵にはそれほど興味がなかったが、それぞれに意味が込められているとすると、色々と考察してみるのも面白そうだ。
§―――§―――§
絵画を返却した翌日、調査部一行は東雲美術館に招待された。元々休館の予定だったところに入れてもらったので、朝から晩まで貸し切りである。小さな美術館ということもあり普段は入館料を取っている中、タダで入れてもらえるのは贅沢なお礼だった。
東雲たちと直接は会っていない京極親子も来ているが、ガブリエレと御影は来なかった。一応誘ってはみたものの、
『盲目の相手を絵画鑑賞に誘うなんて、随分お育ちが良いのですね』
と嫌味たっぷりに断られてしまった。燐も、絵には興味がないことと幽の世話があることを理由に来ていない。
弑流は入館後、手元のパンフレットを見ながら真っ先に例の絵を目指した。絵はきちんと元の場所に戻されており、大きさ的にも位置的にもとても目立っている。絵の前には丁度布張りの椅子があるため、そこで座って眺めることにした。
この位置からは他の絵も見えるが、小さい作品が多く、間近で見ないとその絵本来の魅力が上手く伝わってこない。しばらく『アマリリスと毒蝶』を眺めて思いを馳せた後、立ち上がって館内を歩き始めた。
歩いて分かったのは、どの作品にも必ず赤が使われていることだ。”深紅俐”という名前からしても、余程赤にこだわりがあるとみえる。
そして、人物画は一切なかった。植物や建物、果物などがほとんどで、時折虫や鳥などが描かれている。ただ風景を描いたものというよりは、そのそれぞれに意味を込めているように見えた。
その中で、特に弑流の目を引く作品があった。
タイトルは『テセウスの船』。
他の作品に比べて多彩で、珍しいことに赤が目立っていない。
木製の帆船が浜に揚げられて、その底板を取り替えられる様子が大きく描かれている。これにも人の姿は一切描かれていない。船を構成する古ぼけた部品が、新しい部品と取り替えられるために外されている場面を描いたようだ。古い部品は痛んだ木材で茶色をしているが、交換される部品は素材のよく分からない乳白色である。この船に使われている部品がほぼ全て別色なのは、新しい部品に取り替えられているからだろう。
(テセウスの船って確か……)
弑流はこの言葉に見覚えがあった。入局前、学問所に通っていた頃に、『タイムパラドックス』という外来語を知り、意味が気になって調べたことがあった。『テセウスの船』はその中のパラドックスを紹介した項目で目にした言葉だ。
『船の古くなった部品を全て新しい部品に交換した場合、それは元の船と同じものだと言えるのか』という問題提起である。元々はその船だったのだから、部品を変えてもその船だという立場と、全て別の部品ならばもうその船ではないという立場に分かれる。どちらが正解とも言いきれないため、思考実験の一つで同一性を問う問題とされている。
この絵もタイトルの通り表現されているようだ。部品の色が全て異なり、船体がかなりカラフルなので、絵の中の船は既にほとんどの部品が新品に取り替えられているのだろう。オリジナルであろう茶色い部品は残り僅かだ。その部品も腐りかけている様子が窺える。それは確かに絵なのだが、本当の木材であるかのようだ。
絵でこれだけ表現するのは至難の業だろう。
何となく、船の元の部品がどこにあるのか探したくなって、弑流は上から下まで舐めるように観察した。宝探しのようで面白い。帆の支柱や船尾の一部、甲板の床などあちこちに僅かに茶色が見える。一番分かりやすかったのは舵輪だった。壊れたら困るところだと思うのだが、新品に変えていないのは理由があるのだろうか。
その絵の前で立ち尽くし、じっと考える。その時間すらも心地よく、答えが出ないまましばらく過ぎた時。
「その絵、気に入ったんですか」
突然後ろから声をかけられて、体がびくっと跳ね上がった。集中していたせいか、誰か来たことに全く気付かなかったのだ。しかもあまり聞き覚えのない声である。今日は調査部員しかいないはずだが、一体誰だろうかと振り返る。
そこには、見知らぬ眼鏡の男が立っていた。顔に酷い火傷痕がある。
誰だ? という疑問が脳を飛び交って、その細い体と猫背から、榊原ではないかという結論に至る。先程の声を反芻してみて、確かに昨日聞いた声だったと納得した。
「ええと、もしかして、榊原さん?」
無言の肯定。顔の右横で編まれた三つ編みが前後に揺れた。
「こ、こんにちは。……えー、この絵は気に入ったといいますか、気になったといいますか……。ええ、目を引く作品でしたので、どんな意味が込められているのかな、と考えていたんです」
「…………へえ。あなたは、どんな意味だと思いますか」
昨日は扇子に隠れて見えなかった顔は、顔の大部分を覆う火傷痕が痛々しくて真っ直ぐ見ることが出来なかった。眼鏡越しとは言ってもその傷を隠すまでには至らない。
かといって顔を見ずに話すのは、あまりに失礼だ。チラリと目を見ると、幽とはまた違った無機質さを感じる銀の瞳がこちらを見ていた。目が合ったことに動揺して思わず目を伏せてしまう。目を逸らしたことを誤魔化すように話を続けた。
「他の作品よりは、タイトルに忠実な作品だなと思います。意味的には『テセウスの船』の問題提起をそのまま扱っているのかな、と。今はオリジナルパーツだと思われる舵輪を見ていました」
にこりと笑いかける。目も合わせづらい上にほぼ初対面であることからかなり気まずい。榊原が釣られて笑ってくれたら話しやすくなるのだが、全くそんなことはなかった。ただじっと聞いているだけだった。
「そうですか。……普段から、絵は見られるんですか」
「あ、いえ。お恥ずかしながら今回のことがあるまではそれほど興味がなくて。例の絵をお売りにならなかった理由を自分なりに考えてみて、考察するのも楽しいことだと気付いたんです。それで、今日はどの絵にどんな意味があるのかな、と考えながら見ている次第です」
話している内に慣れたのか、段々相手の顔が見られるようになってきた。火傷痕に目が行きがちだが、比較的端正な顔立ちをしている。ただ、肌は青白く、目の下にも隈があって不健康そうだ。作品を描き上げたばかりだというし、まだ本調子ではないのかもしれない。昨日と同じく手には黒い手袋をしたままだった。
「ああ、昨天の。……意味は、分かりましたか」
弑流は待ってましたとばかりに、昨日図書室で考えたことを説明した。ほぼ合っているだろうと確信しながら、それは顔に出さない。
「……なるほど。半分、正解です」
「あれっ、合っていると思ったのですが……あ、すみません。ええと、残りの半分をお伺いしても?」
「孤挺花は、恋人のためだけの花。毒蝶なぞが群がっては気分が悪い。そういうことです」
「……?」
「自分たちを風刺した絵を見て『これが人生で一番欲しい』だなんて、白痴の言うことです。一周回って有意思ですが」
落ち着いた状態で考えれば分かるかもしれないが、今聞いてすぐに理解するのは難しかった。榊原は華宮の人間なのか、言葉の端々に微かな訛りがある。それも原因の一つかもしれない。
目を白黒させながら立ち尽くしている弑流を見て、理解されていないと気付いたらしい。数度瞬きした後、小さく俯いた。
「……絵というものは、見た人が何かを感じてくれればそれでいいものです。我の意図が伝わっていなくとも、理解してくれようとする心意気が大切です。ぼくの絵を無理に理解する必要はありません」
「すみません……。一人でもう一度考えれば理解出来るかもしれないのですが、今は無理みたいです」
榊原は微かに頷く。心做しか落ち込んでしまっているように見えるので、慌てて声をかけた。
「でも、どれもとても綺麗な作品ですよね。意味も大事ですけれど、ただ見ているだけで人の心を動かせるなんてそうそうないことだと思います。それを何も無いところから一から生み出しているわけですから、あの女性が欲しがった理由も分かります」
「……あなたは、それが綺麗であれば、生み出したのが機械だとしても芸術だと思えますか」
「えっ? えー、そうですね、それは……機械的なプログラムで描かれたなら、違うと思います。画家が頭で考えて、自分の感性や情緒のままに描いた作品が芸術だと思います」
何故いきなりそのようなことを聞くのか。そんな疑問符を浮かべる彼の前で、榊原はおもむろに弑流の背後を指さした。
「その絵のように、人間の細胞も日々入れ替わっています。あなたもぼくも、産まれたときとは細胞が全て替わって、今は那时とは”別人”になっています。それでも、ぼくが描けばぼくの作品と言えるでしょうか。同じように価値ある物だと言えるでしょうか」
これも一種の思考実験だろうか。こういったものを絵で表現するのが、彼なりの芸術なのかもしれない。
「……そうですね。細胞が入れ替わっても、自分の考えまでは変わらないでしょう? でしたら、その考えを基に描かれた作品は榊原さんの作品だと思いますよ」
「…………。仰る通りです」
榊原は顎に手をやりながら頷いた。そのまましばし考え込み、それからくるりと背を向けた。すたすたと去って行ってしまう。聞くだけ聞いて挨拶もなく、少々面食らってしまうが、表情からすると満足してくれたらしい。
(思考実験好きなのかな)
昨日と同一人物とは思えないほど良く喋った。あの様子だと、他の面々にも声をかけて回っているだろう。やはり売り買いではなく、純粋に作品を楽しんでもらえるのが嬉しいに違いない。
東雲でさえも気難しいと言うほどの相手なので、不快にさせずに別れられたのは上手くやった方だ。
一人で満足しながら絵画鑑賞を再開する。
『テセウスの船』のように赤が少ない作品もあれば、一面真っ赤な作品もあった。『過信』と名付けられた絵は炎に包まれる家中を描いたもので、炎の反射を表現した結果そうなっているようだ。いずれにしても、あれほど若い画家が描いたとは思えない出来だ。才能に歳は関係ないというが、いざ目の当たりにすると驚かされる。
今日は休暇なので、いつまでいていつ帰るかは各人の自由だ。調査部の大半は絵をさっと見て帰ってしまったり、庭園でお茶を嗜んだりしていたため、ずっと館内にいたのは弑流だけだった。その内庭園にいた部員もいなくなり、残ったのは弑流だけとなる。
結局、せっかくタダなのだから心行くまでと午後まで滞在し、やっと帰る気分になった。
周囲を見渡しても、当然ながら誰もいない。
(さすがに図々しかったかな?)
後で料金を請求されないか内心ビクつきつつ、出口へと向かう。
「おや、お帰りですか? 随分堪能されましたね」
弑流が帰るのを待っていたらしい東雲が笑顔で迎えてくれる。
「はい、素晴らしい作品ばかりで。でも、すみません。さすがに長く居すぎてしまったと申し訳なく思っています」
「いえいえ、お礼ですからお気遣いなく。私としても嬉しいですよ。ここまで熱心に見ていただけると」
「ありがとうございます。次はちゃんと入館料を払って鑑賞しに来ます」
「ははは! それは喜ばしいです。是非いらしてください、お待ちしております。……そうそう、庭園ではアフタヌーンティーも楽しめますので、そちらも是非」
快活に笑う東雲に礼を言って、玄関扉に手をかける。そのまま押し開けようとしたが、背後から足音がしたので振り返った。パタパタと近付く足音が、どうも自分に用がある気がしたからだ。
「请等一下」
彼を呼び止めたのは榊原だった。走ってきたらしく息が上がっている。
「あ、榊原さん。どうしたんですか?」
「这、持って行ってください」
差し出されたのは薄くて長方形の厚紙だった。手の平に収まる程度の大きさで、無地の布に包まれている。
「何ですか? これ」
「お守り、みたいなものです。中身は見ないで、肌身離さず持っていてください」
「ありがとうございます。でも、どうして自分にこれを?」
「……作品を、丁寧に見てくださった、お礼です」
女性への態度を見る限り、お礼などをする人物には見えなかった。それがわざわざ追いかけてきてお守りをくれるとは。ちらりと東雲を見ると、目をぱちくりさせて呆気に取られていた。やはり滅多にないことらしい。
これは受け取っておかねばなるまい。
「肌身離さず持っていればいいんですか?」
「是、いつか、役に立つと思います」
何故お守りなのかは分からないが、何か凄く良い物をもらった気分だ。何かを貰うために勉強した訳ではないし、絵を見た訳ではないが、ご褒美があると嬉しいものである。
弑流は再度二人に礼を言って頭を下げ、今度こそ扉を押し開けた。
【おまけミニ小説】
※本編の流れには一切関係ありません。
「……“先住民の最古の手斧”? それにしちゃあ新しく見えるなぁ」
「おや、来館者様。そちらが気になっておいでですか? よろしければ、私が説明致しましょう」
「ああ、よろしく頼む」
「そちらの斧は、題名の通りこの地の先住民が使っていた手斧の中で、最古のものです。ちゃんと本物なのですが――」
「ふむふむ」
「腐食が激しくて斧だと分かりにくかったので、新しい素材と交換しました」
「……はい?」
「柄は四回、刃は三回新しくされています。だからとっても綺麗でしょう? 文化的遺産の保護は大事ですからね」
「えっと、それは確かにそうだが、それでは意味がないのでは?」
「なぜです?」
「素材もそのままだからこそ、保護されていると言えるだろう。全部取っ替えてしまっては新品の斧と同じだ」
「でも、この斧は元々から“先住民の最古の手斧”ですから、今でも変わらずそうでしょう。どんなに見た目が新しくても、最古なのは事実です」
「…………」
「あ、そうだ。元の素材なら、そこに別で保管してありますよ。ほら、あれです」
「……どう見てもナイフに見えるのだが」
「はい。斧に直すには足りなかったので、その素材でナイフを作りました」
「…………」
「ナイフの見た目でも、素材は斧のものですからね。こちらも“先住民の最古の手斧”と言えるでしょう」
「片や形だけ、片や素材だけ“本物”ってことか。……はあ、勘弁してくれ」
「おや、もう解説はよろしいのですか?」
「もう結構だ。大変参考になった」
「そうですか。ご来館ありがとうございました」
「ああ」
参考:『おじいさんの古い斧』




