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『劣化する人間Aの思想的生き方論』⑵

『劣化する人間Aの思想的生き方論』⑵


「劣っているのは、格好が良い」


何かを伝えたくて送って来た手紙の最後には、このように書かれていた。別段、気にも留めないが、所謂自分が劣っていると、うまく状態が移行するということだろう。そして、電話してきて、同じ事を言う。この炎天下の空の下に、街で幾人の人々が、苦痛に耐えているというのに、一体、君は何が言いたいのか。或いはまた、自分に生きる指標を与えてくれということだろうか。


「多分間違っていないと思うけど、ポンコツの自分に何言っても無駄だよ」


その様に言い返しておいた。これは、換言すれば、社会の中の末端で、自称、人間Aである自分が、自分がポンコツだという事と同時に、自身が劣っていると言えば、君が格好良いと認定できるだろうから、と思って、意図的に言葉を組み替えて発言した。それはまた、格好良いとか、格好悪いとかを超えて、本来人間は、その両極を皆持ち合わせているのだということを踏まえての、発言だった。


「今にも劣化していくのに、あんたは、時空空間の感覚がおかしいな」


この様に言ってくるので、違う方向を向いて、その言葉を解釈した。つまり、人間が劣化していくのは、歳をとるという不可避現象のことを指すのだろうし、敢えて言えば、時空空間とは、一人以上の存在現象のことを言うのだろうと思って、何かを待たせているのだろうとも思い直した。今にも劣化するというのは、切実な君の言葉だと、確かに確信に変わるように、意識が向いたのだ。申し訳ないの意図で、少し君の方を向いて謝ったら、


「ならいいけど、時空空間を改めてね」


と言うので、分かったと言って喫茶店に入った。冷たいコーヒーを飲んで、たわいもない話をして、ここぞとばかりに、自分は、此処で、時空空間を改める作業に入った。通念としてある、無意識を意識に変えて、意識で動きさえすれば、何かのことも痛切に、一瞬毎に考え、感じられることになると思った。じゃあまたね、と言って、別れた劣化する人間Aの思想的生き方を、方法論として論じるにあたり、自分は、こんな生き方をしてみようと思いながら、炎天下で空転する思考回路を、コンビニのアイスを食べて、少し冷やし、気を取り直した、数年の日々だった。

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