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コーヒーには蜂蜜を! ―俺と彼女の英雄劇― 作者:干梅丈
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おかしな人たち その3


「ダーリン、おはよう。起きて学校に行く時間だ」

 俺は夢を見ているのか・・・・・、黒髪がいい感じに垂れた澄まし顔でクール系でお目目が透明で可愛らしい子が上から覗き見ている。ピンクのパジャマにカエルのエプロン、柔らかいシャンプーの匂いが俺の鼻腔を癒して、おお、朝ご飯の匂いまでするじゃないか、きっとこれは目玉焼きとベーコンとお味噌汁でへ、へへへへ。

「好一、お前朝はご飯派か?それともパン?一応両方用意してみたんだが」
「んん~?・・・それよりも、おはようのチューを」
「む、しかたないな。はい、チュー」
「チュー・・じゃねえよ!なにやってんだあんた!!」
 チューするすんでのところで我に返った!!俺も俺で寝ぼけてたけどこれは酷い!!!
「チューを要求したのはお前だぞ好一」
「例えそうだとしても受け入れるなよ!!」
「どうせ夫婦になるのだ。お前が望むならそれくらいしてやるよ」
「もっと自分を大事に!!ツバキはまだ若いんだから!」

 やっと目が冴えてきた。えっと水曜日の朝か。外は・・・曇り、なんだか一雨きそうな感じ。
「傘を持って行けよ?後で迎えに行くのは面倒だからな」
「君ね、自然とうちの家族みたいに取り繕ってるけど今日中には帰ってくれよ。あと、勝手に妹の服を着るな」
 妹のベッドで寝て、妹のパジャマとエプロン。俺が疲労でぶっ倒れた後に随分勝手にやってくれたみたいだ。確かにサイズは合っているけど、おいキョトンとしてもダメだぞ。
「好一が嫌と言うなら脱ぐが、好一の妹はもうどうせ帰っては来ない、残念だがな」
 ツバキは言いながらエプロンを脱ぎ捨ててパジャマのボタンに手を掛けた。
「やめろ!着てていいからそういう手段に出るのはやめろ!!」
「しろと言ったりやめろと言ったりめんどくさい奴だな」
 ツバキはため息をつくと、そのまま食卓に着いた。いただきますじゃないよこの野郎!!

「だから!守るとか守らない以前にこの食費とかだってタダじゃないんだ!自慢じゃないけどうちは女の子一人養えるほど裕福ではなくてですね!!」
 ご飯の一口目を箸の上から茶碗の中に戻し、ツバキは俺のことを呆れたような眼で見た。
「なんだお前、金なんて欲しいのか?・・・・・今日は13日か。金が振り込まれるのはまだ先だし、ふむ。確かこの辺りの高架下だよな好一」
「悪所のこと?そういう噂も立ってるし、実際闇っぽさもあったから多分そうだと思うけど。・・・ってツバキ、振り込みってもう働いてる扱いなんだ」
「ああ、一応分類は国家公務員だからな」
 この就職難と言われる時代にこのJCはサラッと言いやがって!!
「えっと、制服は着てたし中学校には行ってるんだよね?」
「いや?あのようなところは行く必要も無いから私は行かないぞ?この制服も国から支給された架空の中学のものだ」
「架空の中学とか『闇を狩る者』とか無駄にカッコつけやがって!!悪いことは言わないから中学校は行った方が良いよ。ほら、勉強とか友達とか」
「一応やってるけどな、計算ドリル。それに友達は必要ない。元々この体質なんだ。好一なら分かるだろ?普通の人間には悪影響なんだよ」
 ツバキの口調は悲しそうでもなんでもないけど、少し余計なことを言ってしまった気がする。やっぱりツバキも悪いことを引き寄せてしまう体質らしい。影に闇を宿しているからそれに向かって更に闇が集まって来るのだろうか。

「・・・いただきます。ほら、ツバキも気にしないで食べてよ。なんかごめん」
 席に着いて朝ご飯を食べることにした。ちなみに俺はパン派です。
 すると、なんだかツバキは珍しくニヤニヤとしていて。
「あの、どうしたの?」
「ふふ、なんでもない。ただ、初めての喧嘩もこんな感じかなって」
「やめてよ!ノロけないでよ!!特別俺のこと好きでもない癖に!!」
 パンはいい感じに温かくて美味しい。マーガリンが染み込んでいるのか・・・くやしい。

「でな、さっきの続きだが私は毎月貰える基本給の他に、悪所を清めた時に生じるボーナスがあるんだ。それは報告すれば即日振込でまあ一件につき20~50くらいは貰えるんだが」
 なんかすげーお金持ちそうなツバキさん。だが俺もつられて闇を狩る者だかダークハンターだか
に成る気はこれっぽっちもない。そんな普通じゃないお仕事は嫌だ。
「あの、もういいからお金とか。けどやっぱりダメだよ帰らないと。家の人とかも」
「私は去年から一人暮らしだ。実家が東京から遠くて不便だからな。だから家事には自信があるし、食費や生活費だってちゃんと払うよ。専業主婦に甘んじる気はない」

「あのね、ツバキ」
「それに悪所だって仕事以前に放ってはおけないだろ?高架下と、紅葉橋だったか?とりあえず今日はその二件を調べてみるつもりだ。好一は気にせず学校へ行くといい」
「・・・・・あの」
「そうだ好一、何時に帰る?帰ったらまずお風呂か?それともご飯?あ、しまった!お昼はお弁当か!!くそっ!私としたことが!!」
「・・・・・・・・・・」
「待ってろ!今作ってやるからな!!」

 こんなのもう追い出せないじゃないか!!
 ただこの子は将来誰かの良いお嫁さんになりそうだな~って思うダーリン(仮)なのでした。


  ○


「行ってらっしゃい」と言われてから早三時間。まだ落ち着きのない空気の学校だけど、流石に授業中だけはとても静かだった。

 思えば、俺が安堵できる時間はもうここしか残されていないのかもしれない。学校の休み時間はひそひそ話がうるさいし、放課後は歩花とか遊子さんとかでドタバタで、家に帰ればあのツバキだ。軽くノイローゼにでもなりそう。

 どれもこれも俺が「NO!」と言えないからなんだろうけど、もう頭が痛い。最低君なんて呼ばれている癖に嫌われたりするのがめっぽう怖いのだ。
 まだ動画の再生数は伸びているのだろうか?調べたくもない。

 水曜日。それはもう明日の放課後が遊子さんの言っていたコンビニ強盗の日が迫っているということだ。2人ともスーツは間に合うのだろうか?いやいや間に合わなくていいんだけど。
 とりあえず歩花は今日も仮病を使って学校休んで修復作業に励んでいるらしい。メールには返信しないけど、彼女の期待がヒシヒシと伝わって来るのが嫌だった。

 雨、雨ね。思った通り雨がポツポツと振り始めている。明日も雨で中止とかあればいいのに。
「・・・・・・くぁ」
 あくびが出た。なんならもう授業中だけど寝てしまおうか。木村も寝ているし(こいつは野球部の朝練を言い訳に毎日だけど)特別俺が怒られることもないだろう。

 普通。普通の人。それって実は難しいことなんじゃないか?
 そもそも普通ってなんだ?誰がその基準を決めるんだ?
 今度妹に是非とも訊いてみたい。

「・・・・・・・・・・・・・・」

 眠いはずなのに寝れない。ただぼんやりと机の線とか、手の平に貼った絆創膏を眺め続けた。
 お弁当。どんなだろう?お昼休みまであとこの授業と次の授業。酷く退屈だ。
 退屈?俺はそれを求めていたんじゃないか?最近が退屈じゃなかっただけで・・・?
 いや、普通と退屈は違う?でも確か普通の人はつまらなくて、つまらない=退屈?

「なんでこんなつまらなくて退屈なことしか考えられない人間にみんな群がるんだろう?」
 誰にも聞こえないくらいの独り言だけど、その台詞は自分でも引くくらいに病んでいそうだった。俺ならこんな奴と関わりたくないよ。

 ガラッ。そんなありきたりな教室の引き戸が開いた音が、頬を伏せた机越しに響いた。
「・・・君ぃ、遅刻か?」
 数学の爺さんが言ったけどそれはあり得ない。だって今日は誰も休んでも遅刻もしていないのだから。・・・教室の空気が重くなった。

「無敵さんじゃん」「初めて見た」「まだ来るんだ学校」「・・・ひっ!ごめんなさい!!」

 無敵さん。すっかり忘れてたけどいたよそういえばそんな人も。あーもう頭が痛い。寝たふりを継続しよう。どうせ俺だよ。もう勘弁してよ!しんどいしんどいしんどい!!

「・・・・・・・・」
 無敵さんは喋ろうとしなかった。ただ教室内を無言のまま練り歩き、ゆったりと規則正しい歩幅で歩いているみたいで。爺さんも圧倒されてか「困るよぉ・・」って言って以来無言だ。

「・・・・・・・・・・・・・・」
 段々に近づいて来る。誰も喋らないし緊張感がエグい。きっとこれは俺の目の前で停まって胸ぐらでも掴まれるか机を蹴飛ばされるやつだ。

 ズガンッ!!
「・・・・・・え?」 
 机を蹴られたの俺じゃなかった! じゃあ誰!?

「なにすんだてめえええ!!・・・・ええぇ?」
 木村だったらしい。威勢よく起き上がったのはいいけど、相手が誰か気づいて残念な感じになった。ファイト!木村!!

「てめえか?あたしの喧嘩を奪ったのは」

 あたし?女の人?無敵さんって呼ばれるくらいだから勝手に男かと思ってたけど。
 最近女性の社長とか特殊な公務員とか喧嘩自慢とかばっかりで世間の男どもの頑張り具合を俺は疑い始めてきていた。まあ俺も頑張ってないけど、もっと頑張れよ日本男児!!

「違、違う!俺じゃねえ!!あそこの最低君だ!!」
 またこのパターンか木村!お前は『ジャスティス=謎の男』派だろうが!!きっと指を指されているのだろう。寝たふりももうバレてそうだし最悪だ。なんなら先手必勝で謝るか?それともジャスティスは俺じゃないってとぼけるかで。

「最低君?そんな弱そうな人間を売るとは気に食わねえなこの最低野郎」
「あん?俺は事実を言ったまでd・・ぐふっ!おおうあぁあ・・・・・」

 木村は何をされたのか知らないけど倒れ込んだらしい。それでもなお教室中が無言とは無敵さんの恐ろしさがどれほどのものか、それだけでよく分かった気がする。

「やめてよ!あなたこんなことして絶対退学なんだから!!」
 今度は千葉さんの声。学級委員だし木村の恋人だしで叫ばずにはいられなかったのか。

「退学。今さらそんなもん怖くねーよ。どれ、じゃあてめーがあたしを連れてけよ校長室まで」
「い、いや!来ないで!!」
「・・あの、俺が連れて行きましょうか?校長室」
 またやってもうた。普段授業では一回も手も上げない癖にこいつは。

「ほう。お前が最低君だったか?いいぜ、連れてけ」
「は、はい」
 ここで口ごもってしまったのは、怖かったからじゃなくて。

 無敵さんが無敵さんだと信じたくないくらいに綺麗なお方だったから。
 その、照れたのでした。

「じゃあ先生、ちょっと行ってきます」
「・・・・お、おう。頼んだぞ中前」
 先生の許可も得たので無敵さんの後に続いて教室を出る。すると「死んだな」と誰かが背中に呟いてくれた。それに続いて「ありがとう」って聞こえたような気がしたけれど、多分それは気のせいだし、これから死ぬらしい俺には関係のない話なのだろう。


  ○


 俺が案内するはずなのに無敵さんが先を歩いた。
 その歩幅は相変わらず規則正しく、みんな模範にしたらいいくらいに美しくもある。

「校長室そっちじゃないですけど」
「行くかよバカ」
「綺麗な歩き方ですね」
「ああ!?てめえ喧嘩売ってんのか?」
 褒めて機嫌を取るつもりでしたがダメでした。
「あの、参考までにどこへ向かっているんですか?」
「屋外プールの裏だ。あそこはいいぞ、叫んでも誰にも届きやしない」
「は、はははは・・」
 みんなの前でボコられる山田哲也氏も嫌だったけど、これはこれで嫌だ。誰かが助けてくれる希望が0だなんてそれこそ絶望で。

「お前、なんでさっきあたしに突っかかった」
 俺に訊いているのか訊いていないのか、「?」が付いていないみたいなイントネーションでそう言われる。機嫌が良くないのは確かだけど。
 その横顔はやっぱり綺麗だ。クッキリとした目と鼻、輪郭から、例えるのなら日本刀のように美しく危険で、漆黒のロングヘアからも誰にも触れさせはしない輝きを感じるのだ。
身長が俺よりも高く(多分170ちょっと)、体つきもスリム。けれどしっかりと胸もあって、モデル体型ってこんな体型を言うのだろうなってくらい俺が女子だったら嫉妬して。
「おい!てめえジロジロ観てねえで質問に答えろよダボが!!」 ドンッ!!

「・・・・・はい」 
 いわゆる壁ドンをされた。やっぱり俺に訊いていたらしいごめんなさいごめんなさい。

「無敵さんがあんな分かり易い悪役にならなくてもいいと思ったので」
「・・・・・・・ふん。気に入らねえな」
 ちゃんと答えたからか壁ドンから解放された。すげー緊張した・・・・。
「あと、あたしのことは二度と無敵とか何とか呼ぶな。気に障るからよ」
 彼女の口癖なのだろうか。気に食わないとか気に入らないとか気に障るとか気気気気うるさい人だ。口が裂けてもそんなことは言えないけれど。
「じゃあ何と呼べばいいでしょうか?」
「いいよ、呼ばなくて。どうせ呼ぶ機会もねーんだ」
「あの、俺はこれからどうなるのでしょう?なんて・・・・はははははっう!」
 笑う口を右手で掴まれた。

「ほんとはな、プール裏に行く予定だったがやめてやる。ほら、雨が強くなってきやがった」
 窓に打ちつける雨が確かに強くなっている!ありがとう雨さん!!
「だから明日だ。明日、山田をぶっ飛ばしたコスプレ野郎をお前が連れて来い」
「むむぐっ!むぐ・・」
 めっちゃ痛いし足が浮いてきた!!歯と歯茎がイカれるこれ!!!

「場所はここから少し行ったところの廃病院。分かるだろ?時間は放課後すぐにしておいてやるよ。で、もしコスプレ野郎を連れてこれなかったらお前を殺すし、明日逃げたとしても後日お前を殺す」
「ふごごごごごご!!」
 とんでもない!とんでもないよこの人!!しかも明日の放課後は厳しいし!そんなのに行きたくない!!嫌だ!やめて痛い!!!
「理解したか?」
「んぐっ!んんぐう!!」
 できる限り頭を縦に振った!!こうでもしなくちゃ今死ぬ!!!
 とりあえず先延ばしだこの野郎!!!!

「おら、よかったな。もし唾液を少しでもあたしの手に垂らしていたらこの場で殺してたぞ」
「ごほおっ!うげ、ごほごほ!!」
 解放されたのはいいけど最悪な状況だ。もう絶対断れないし逃げれもしなさそうで。
「あたしの名前は門野(かどの)珠美(たまみ)。文句があんならいつでも言いに来い」
 門野珠美氏は俺を残して下駄箱に向かった。どうやらもう帰るらしい。くそ!文句言いたくてもいつ言いに行けばいいんだよ!!どうせ明日は学校サボるんだろこんちくしょう!!!
 今言えばいいじゃんとか、そういうのは本当に勘弁して下さいすみません。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 門野珠美氏が見えなくなるまで立ち上がれもしなかった自分が情けなさ過ぎて、俺は二度も自分の顎を殴って後悔した。これこそ無駄だよ。
 そして三限目が終了するチャイムがちょうど鳴って、俺はトボトボと教室に帰ることにする。

「死んでない!」
 教室に戻った第一声がそれかい。俺は無視して席に着いた。
「・・・・・・うん」
 やっぱりだけど、千葉さんは俺のことなんて気にも留めていなさそうに友達と話していた。


  ○


 学校が終わってすぐに家に帰って来た。なんか既に我が家とは呼びにくい場所だ。

「少年。あの子誰だ?」

 張り紙の人も困っているじゃないか! てかまだ忙しいのかあの人。CD会社の取り合いにでも巻き込まれているのだろうか生意気に。

「ただいま~」
「お帰り、好一」
「・・・・」
 いつもない返事があるのは嬉しいような悲しいような。複雑な気分だ。

「ご飯にする?お風呂にする?」
「ちょっと横になる。考え事がしたくて」
「そうか。ああ、でもこれだけ。今日例の高架下と紅葉橋に行ったんだけどな、高架下は間違いない、悪所だ。政府に連絡を取ったから明日にでも仕事に掛かれるはずだ」
 俺は無視して居間を抜けて自分の部屋に入った。

「それでな、紅葉橋のほうは好一の言った通り何も感じなかったぞ。あそこに闇はいない。  きっとただの偶然が重なっただけだろう。だからもう気にしなくていいぞ」
「うるさいな。部屋から出てってくれよ。ご飯も先食べてていいから」
「・・・・わかった」
 ツバキは素直に出て行った。心なしか寂しそうに見えたのは俺が言って自分で傷ついたからだろう。ツバキに八つ当たりするなんてどうしようもない最低君だ。
 が、しかし。本当に少しの間一人になりたかったのだ。

 まず整理がしたい。このままでは頭がパンクしてしまう。
 簡潔にこれまでの関わった人たち、これからやることの整理をしよう。
 ちゃんとノートにも書く。しかもボールペンで書く。

 おかしな人たちの整理だ。


中前好一(最低君) 高校二年生。

 中学二年生の夏、ヘドロトンネルで闇を食べ影の力を得る。しかし、その副作用的な効果で家族を失う。能力は肉体強化。肉体強化中は自分の影が体内に入る。
 高校一年生の時にクラスメイトの千葉さんのハムスター(ハム次郎)を踏み潰してからあだ名が『最低君』に。高校二年生の現在もそれが原因で虐めの対象中。
 トラックに轢かれそうな猫を助けて偶然観ていた荻野歩花と友達に。それがきっかけでジャスティスとなる。ちなみにスーツは濃い青色で左胸に銀でJのマーク。


荻野歩花(不思議ちゃん) 高校一年生。

 手芸部員でジャスティスのヒーロースーツの製作者。ヒーロー好き。
 学校では『不思議ちゃん』と呼ばれ友達はいないらしい。でも俺は友達みたい。
 家は保育園で、お母さんのお弁当は絶品。
 ジャスティスを世の中に広めたがっていて、ネットに動画を上げた張本人。その為には自分のプライベートとか俺のプライベートとかはどうでもいいらしい。
 ここ二日ほどジャスティスの修復の為、学校を仮病で休んでいる。

 
高木遊子 高校三年生。

 高木玩具の若社長。成金。
 ジャスティスの動画に商業的価値を見出し、自社のおもちゃの宣伝の為に自分用のヒーロースーツ『トイガール』を製作中。色は確かワインレッドに金色で自社のロゴマーク。
 明日の午後五時、雇った役者にコンビニ強盗の劇をやらせ、そこにジャスティスをおびき出し、トイガールで良いとこ取りをする動画を撮る計画を立てている。
 性格はかなり自信家でナルシスト。あとチビ。


 こんなんでいいのか?まーいいや、どんどん書いていこう。


ツバキ 年齢的に中学三年生。

 闇を狩る者。国家公務員。本名は知らないしツバキが本名かもしれない。
 俺を影を操る者から守るとかで家に住み着くことに。料理、家事全般上手い。くやしい。
 代々影を操れる一族で影の力を闇窟で得る。能力は自分の影の形、硬さを変えること(手、槍、ナイフ、鍵など)。しかし自分の影の大きさ、面積的範囲を超えたモノは作れない。
 去年から一人暮らしでお金には余裕がある?明日には高架下の件に取り掛かれるとか。
 ツバキの一族は影を操れる者同士で結婚する決まりがあるらしく、俺を夫にする予定。


門野珠美(無敵さん) 高校三年生。
 東京楽園学院の松村という人を喧嘩でノしたらしい。喧嘩が好きだと思える。
 力が強い。そのくせ綺麗でモデル体型。規則正しく歩く。
 山田哲也氏を倒した奴に「喧嘩を奪った」と恨む。ジャスティスか俺をノす気でいる。
 明日の放課後廃病院で待つらしい。基本的に不登校。


その他の人

 内川鈴音 多分20代後半。 最近ジャスティスの動画のせいで売れ始めそうで忙しい。

 千葉さん 高校二年生。 まだハム次郎のことを許してくれていないだろう。

 木村 高校二年生。 今日門野珠美氏にノされた(ざまあみろ!)

 山田哲也 高校三年生?(外見から留年してる可能性あり) 入院中?生きてればいいけど。


「こんなもんかな?なんかスッキリしたぞ」
 それは所々悪口を書いたからだろうけど、まあだいたいまとまった気がする。

「しかし困ったな、やっぱりだけどダブルブッキングしてるよ」
 どっちも予定としては最悪だし行きたくはないんだけど、行かなかったら行かなかったで後が怖い。しかもどっちも放課後なのが俺を苦しめている訳で。
「絶対時間変更とかもできないんだよなぁ」
 片方はお金的な大人の事情で、もう片方は度胸の問題もあるしあと連絡手段がない。
 頭の中でやりくりすること一時間強。遂にはまとまらず意識が落ちたり、戻ったりを往復し始めた。こんな調子じゃすぐに明日になってしまう。

「~~~~!?」「~~~~!!」
 ・・・・・なんだ? 隣の居間から話し声が聴こえてくるような。

「君は誰なの!?ここ好一さんの家だよね!?ボクは好一さんに会いに来たんだけど!!」
「だから私は好一の許嫁だ!!今、好一は考え事をしているのだ!邪魔になるから帰れ!!」
 あーもう帰りたい!!我が家に帰りたい!!!

「・・・歩花なにか用事?あとツバキ、嫁になることを許した覚えはないんだけど」
 部屋から出て行くと、二人は玄関先でわーきゃー言い争う体制のまま俺を軽蔑した眼で見た。

「なんですかなんですか好一さん!年上のお姉さんだけじゃ飽き足らず、今度は年下の娘に手料理作らせて同棲ごっこですか!!」
 犯罪者扱いの視線に耐えて俺が言い訳を考えている内に、ツバキがまた言い返した。
「ごっこではない!ちゃんと一緒の部屋でも寝ている!!お前こそなんだ!そんなスーツケースを持って来て。好一は私のもんだ、お前なんかにこの家に住ませるか!!」
「ま!、な、なんてこと!ボクは好一さんと暮らす気なんてこれっぽっちも!!好一さん!  黙ってないで何か言ったらどうですか?一緒に寝てるんでしたっけ?」
 俺はとりあえずお茶をコップ三つ注いだ。そして歩花、ツバキに手渡す。
「落ち着こう。座ろう。上がっていいから。こらツバキ、舌打ちするな」
 納得のいっていない両者を並んで椅子に座らせ、その正面中央に俺はゆっくりと座り込んだ。

「え~まず、寝たと言っても別々のベッドであり、俺とツバキはそういった関係では御座いません。許嫁とかいう話も彼女なりのジョークであり」
「今朝キスをせがんだのは誰だよ」
「好一さん!この子が何か言ってるけど!!」
「してません!断じて!!痛い!」
 脛が痛い!?・・・あ、ツバキが机の下で剣山みたいなの作って足を攻撃してきてる!!
「どうしたんですか好一さん?心が痛いんですか?」
「いや、そういうことじゃなくて。痛いっ!!やめれ!!」
「私としてはさっさと夕ご飯食べて欲しいんだが。味が落ちてしまう」
 このタイミングでか!?二人に説明しながら俺だけむしゃむしゃ食べろってか!!?

 それから俺は二時間くらい掛けてゆっっっっっっくりと話を迂回させながらちまちま夕飯を食べて歩花に説明した。遠い親戚の子で家出中だから一時的に引き取っているだけで、遥か昔におままごとで結婚する約束をしたとかしてないとか。その説明で歩花は「本当ですか~?」と渋々納得。当然足は血まみれになった。

「ま、いいです。あんまり遅くなるとまたお母さんに怒られるから。じゃ、スーツは置いて行きますので明日学校から帰ったらそれを着て五時に来てくださいね」
「あ、ああ・・・・うん」
 どうやらジャスティスのスーツを届けに来ただけらしい。歩花の顔色は徹夜が続いたからかあんまり良くはない。

「また送ってくよ。前ほどじゃないけどもう暗いし」
 すると歩花はあんまり元気なく笑って。
「送り狼さんは怖いので遠慮しときますね」と言った。言い返しにくいこの現状。

「なら私が送って行こう。女どうしだしそういった間違いは起こらんだろう」
「あははは、送るってツバキちゃんのほうが年下でしょ?逆にツバキちゃんの帰りが危なくなっちゃうからいいっていいって」
 まあ普通はそうなんだけど。
「うん。ツバキなら空手とかやってるし大丈夫だと思う。送ってもらってよ」
 空手なんてやってないだろうけど、ツバキが夜道一人で歩いていようとまったく心配はないだろう。むしろ相手が心配だ。

「ええっと、どんな厚い信頼なんだか。いいよやっぱりボク一人で帰るから」
 靴を履いたばかりの歩花の手を、ツバキがやや乱暴に引っ張った。
「いや、行くぞ。それに」
 ツバキは何故か一度俺の方を見て。

「話したいこともある」
 そう言って家を出て行った。
+注意+
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