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Extra chapter:「百合と流と神無の出会い I」

 寂れた路地裏の先に偶然設けられた空き地には、50人近くの堅気ではない男達と二人の学生がいた。

 50人は2つのグループに分かれており、互いに凸な形に並らんでいる。

 両方の凸の頂点には学生である美男子と美女がいた。

 美女は左手にさやを右手に刀を持って仁王立ちしていた。髪型は天然パーマの入った茶髪でショートカットの程の長さである。女王様という言葉が相応しい気の強そうで整った顔立ち。白色のシャツに赤いスカーフ、チェックのスカートというH高指定の制服を着ている。

 美男子の方は手ぶらで特に何かを持っているわけではないが余裕といった雰囲気が溢れていた。髪型は長髪とまではいかないが長い黒髪。王子様という言葉が相応しい程整っている顔立ち。白いYシャツにダークレッド色のネクタイ、黒いズボンという美女と同じH高指定の制服を着ていた。

「なあ、いい加減負けを認めたらどうだ?」

 美女は言った。

 美女の後ろにいる男達をそうだそうだと叫び、美女に賛同する。

「どうしようかな…」

 美男子は曖昧に微笑む。

 美男子の後ろにいる男達は仕方ないなと苦笑いを見せた。

「まあ、始めるか…」

 美女はそう言って、刀を地面に叩きつけた。

 それを合図とばかりに、後ろの男共は鉄パイプやナイフなど各々の武器を構え、美男子のグループに特攻を始めた。

 美男子は溜め息を吐き、一瞬目を細めた後「やれ」と言って、指を擦り合わせパチンと音を出した。

 後ろの男共は各々の武器を持ち、美女のグループへと特攻を始めた。

 抗争の始まりである。



「いつもと同じだな」

 美女は言った。

 美女の後ろにいた男共は全員倒れていた。

「ああ、そうだね」

 美男子は言った。

 美男子の後ろにいた男共も全員倒れている。

「全く変わらないな…」

 美女は呆れた口調である。

「そうだね」

 美男子の方は呆れる事なく、微笑んだ。王子スマイルである。

 美女は顔を赤らめた。そして、それを繕うかの様に刀を一度空で斬った。

「どうしたの?」

「何でもない。お前の笑顔は核兵器並みだな…」

「そうかな…」

 美男子は首を傾げた。その仕草にも美女を虜にする可愛さがあった。美女はゴクンとつばを飲んだ。再び、美女は刀を一度空で斬った。

「そろそろ決着をつけなきゃな…」

 美女は呟いた。

「そうだね」

 美男子も呟いた。

「では始めようか」

 美女は刀を構えた。美女の持つ刀はとても長く、刀身は鮮やかに光を反射していた。

 美男子も落ちていた鉄パイプを拾い、構える。

 2人はじりじりとだが確実に近づいて、互いの隙を窺う。

 ――――突然、美女と美男子の間に1人の男が現れた。

 スーツ姿の似合う、鷹のような目をした男である。

 2人は互いに顔を見合わせた。そして、「「誰だ?」」と言った。

 男はクスッと微笑んだ。

佐伯流さえきながれ桝山百合ますやまゆりの2人で間違いないな」

 男は透き通った声で言った。

「そう。何の用だ?」「そうだけど…。何の用?」

 2人は答えると、男は安堵の溜息を吐いた。

「漸く見つけた。調度、邪魔な付き人もいないようだし、早く終わらせよう」

 男は挑発的な笑みを浮かべた。

 美男子もとい流は何だコイツ変な奴だなと思い警戒しようとした瞬間。流の持つ鉄パイプを蹴り上げられた、流は一瞬何が起こったのかわからなかったがどうやら男が蹴り上げたとわかった時には、流の横腹にローキックを一発を入れ、がら空きになったみぞおちに1発拳を当て、気絶させられていた。

 流がバタンと倒れると同時に蹴り上げた鉄パイプが落ちてきた。男はそれを右手で掴み、構えた。

「一人終わり」

 男は言った。

「てめぇ、何者なにもんだ?」

 百合は声を荒らげて言った。

「ただの警備員だよ」

 男は微笑んだ。百合はヤバいと感じながらも不思議な事に男から逃げる気は起きなかった。

「潰してやるよ」

 百合はそう言って、男に向かい刀を斬りつけた。

 しかし、男は鉄パイプを鍔に当て刀を吹っ飛ばした。

「何?」

 百合は驚いた表情を見せた瞬間、男は百合のみぞおちに拳を当てて気絶させた。

「仕事終了」

 男はそう言って、2人を担ぎ何処かへ向かい歩き始めた。



「此処は何処だ?」

 百合は腹の痛みで目を覚ました。

 後ろ手に手錠を着けられ、体操座りになるよう足には縄で縛られていた。

 辺りを見回すと、この部屋には何も置かれておらず真っ白である。それに、普通に窓が付いているので、特に変な場所に監禁されているのではないという事である。百合の近くには、ミネラルウォーターのペットボトルとサンドイッチが置いてあるが手錠で縛られているのにどうやって食べれるばいいのだろうかと思った。

「おい、ここに監禁している奴出て来い」

 無機質に構えている扉に百合は声をかける。勿論返事はないだろうと思ったが、意外な事に扉は開いた。

 現れたのは、白色のシャツに赤いスカーフ、チェックのスカートという制服を着た美少女だった。

「H高校の制服?」

 百合は言った。

「桝山先輩、起きましたか?」

 美少女は先刻あった男のような微笑を見せた。


本編を書けずに番外編ばかりを更新してしまう…。

今、少し忙しいので今度全体を整理したいなと思ってます。



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