The third story:「日常 III」
「ああ、やってしまった」
神代琴乃は呟いた。
琴乃は全裸の状態で全裸の神無に抱きついて寝ていたようである。如何してそうなっているのか琴乃にはわからなかった。というより、神無が不良に絡まれた所から琴乃には記憶がなかった。
「昨日、そんなに飲んだかな…」
琴乃の記憶ではレストランで数杯飲んだ程度である。
「強いお酒だったか…」
琴乃はお酒を飲みすぎると性格が変わるらしい(本人は覚えていない…)。
「まあ、いいや。今、何時だ?」
時計を見ると、4時である。
さっきから、眩しい。
もう太陽が昇っているのか…。
うん?
よく、見るとカーテンに当たる光が赤いような…。
神無から離れ、カーテンを開けると。
見事な夕日が見えた。
「寝過ごしたか…」
まあ、正直に話せば先生は許してくれるだろう。
そう思い、バックの中から携帯を取り出し、コールした。
×―×
「何で、琴乃さんがいるの?」
と氷室水無は言った。
「神無、何でだろう?」
と琴乃は答えた。
「寝坊かな…」
と神無は答えた。
「琴乃さん、仕事は?」
「有給休暇中」
「今って、衆議院選挙中ですよね?」
「あ、そういえば、そうね」
「休んでいいんですか?」
「いいんじゃない。先生の人気は高いし。神無、水無ちゃん来たから、戻ろうよ」
「水無頼んだ」
神無と琴乃は神無の部屋に戻っていった。
×―×
今日の兄さんと琴乃さんの様子を2人に話した。
「神無さん、相変わらずだな」
と言ったのは桝山百合である。
髪は茶髪に毛先は赤いショートヘアー。顔は、整っているが何処か気品に溢れており、女王といった感じである。服装は、H高の制服。
「そうだね。琴乃さんも相変わらずだけど」
と言ったのは佐伯流である。
黒髪に少し長めの髪は目には少し掛かる位、顔は少し童顔だが王子様のように美しい。服装はH高の制服。
「2人とも、今日は平日なのにどうして?」
と水無は訊ねると。
「生徒会の仕事がなかったから」「百合さんに誘われたから」
百合は女子の圧倒的支持により生徒会会長を勤めている。持ち前のカリスマ性でH高始まって以来、最高の生徒会と呼ばれていたりする。
流も生徒会の副会長を務めているが、生徒会が休みだから来たとかではなく、百合に誘われたからという理由の方が大きいようである。
「でも、今仕事は無いよ」
「え、水無。本当?」
百合は明らかに不平な表情を浮かべた。
「本当。ここ最近、2人のお好みの仕事は一件も無いわ」
「じゃあ、帰ろうかな」
と百合。
「待って、百合さん。水無さん、お好みじゃない仕事はあるんでしょ?」
と微笑む流。
「有るわ」
と言って、水無が書類を取り出して、2人に渡した。
「水無、この仕事もう終わってるぞ」「水無さん、こっちもです」
「え!昨日見たときは…」
「神無さんがやったんでしょ」
「僕もそう思います」
「兄さんが?」
「ああ」「うん」
「相変わらずだな、兄さんは」
と水無は微笑んだ。
20話で終わると言いましたが、それに加え番外編を入れたいと思います。
駄作を読んでくださり、感謝します。
次回も読んでくれると幸いです。