七誌神宮物語 - 資料その一 - 祠で見つけた小冊子
「・・・・いけにえに選ばれた巫女は決まっており、本人も納得していたのだけれども、今回に限ってだが、その家族の者たちは劣化の如く怒り狂い、反対した。特に、信仰深い肉親たちは、巫女を喜んで捧げるかのごとく言葉を紡いではいたが、心の中では、その愛する娘が取り去られることに強い憤りを覚えていた。特に母親は、贄祭りの夜、このような言葉を残している。」
「ああ神々よ、なぜこのようなことがあるのでしょうか。あなたたちは愛するものを私たちから取り去ります。あなたたちは愛するものをわたしたちから奪い去ります。ああ、私が娘のかわりに捧げられるのであれば、私は喜んであなたがたのもとに向かいましょう。
喜びのただなかにある時、あなたがたは奪い、殺め、喰らい尽くします。悲しみのただなかにあるおき、あなたがたは慰めにもならないような喜びを与えます。あなたがたは与え、そして奪い去ります。それが、あなたがたの言う愛なのでしょうか。」