鬼畜と幼女の【出会い】
「うぅ……」
小さなうめき声とともに友梨はうずくまった。
「ちょっと?大丈夫!」
周りにいる友達が友梨に駆け寄った。
「大丈夫、だよ。いきなりお腹痛くなってびっくりしただけ。今から移動教室でしょ?はやく行かないと…ね?あの先生怖いしさ。保健室行ったことだけ伝えといて。」
友達はその言葉に反論せずに一言声をかけその場を離れ教室へ向かった。翔介は正直ためらった。なぜ彼女の言うことをあんなに素直に聞き入れているのか。なぜうずくまってしまうほどの痛みにやられている彼女を1人にしていったのか。気になってしまった。興味が湧いたのだ。
「大丈夫?俺でよければついてくよ?」
翔介は声をかける。
「いえ、大丈夫です。」
友梨は微笑みいそいそ立ち上がりフラつきながら歩き始めた。
『生徒は教室へ入り黙想を始めてください。』
授業の前の放送が入った。友梨は翔介がオロオロしていると思ったらしく
「本当に大丈夫です。なので教室へ戻ってください。」
友梨はにこやかに言った。
「今更、教室戻りたくないんで……」
翔介は友梨を抱き抱えた。厳密に言うと縦に幼稚園児を抱っこするように抱き抱えた。
「あの…下ろしてください。」
その言葉を無視し翔介は言った。
「生理痛ですか?トイレ…より保健室の方がいいですかね?」
友梨は辛くなったのか、警戒心を緩め素直に答えた。
「保健室に…お願いします。」
「じゃあ行こうか。」
翔介はなにを思ったのかふっと笑っていたのだった。
「あれ?先生いないのか。」
保健室の前には出張の文字がある。
「失礼します。」
そう言って翔介はドアを開ける。
「ちょっと待っててね。」
翔介は友梨をソファーへ下ろすとベットに大きなタオルをひいた。
「吐き気はある?」
「ないです。寝てれば治ります。」
「そっか。」
また友梨を抱き上げ優しくベットへ下ろす。
「…こんなもんでいいかな?じゃあ、もどるね。」
翔介は笑顔で言った。
「いろいろありがとう。助かった。」
友梨は辛いながらもニコッと笑った。
「うん。あと…その顔やめたほうがいいよ。」
翔介はそう言って保健室を出て行った。
今回は2人の出会いについてです。
閲覧ありがとうございました。