反発
いますよねこういう人。
「素晴らしい詩だ」と、僕は彼女を称讃したつもりだった。しかし彼女は不満気だ。いかにもつまらないといった風に注文したアイスコーヒーのストローを咥えて、決して僕には目を合わさない。僕は読み終えた原稿用紙をテーブルに置き、彼女の方へ差し出して言った。「思わずときめいたね。特に最後の一文は、全体の流れを強く引き立てる、これ以上無いエッセンスだと思っている。目の前が恋のもどかしさにくらくらして、ここまで感動したのも年単位で久しいんじゃないかな。君は本当にこういう物を書くのは初めてなのかい? 僕には一生書けない詩だ。嫉妬しちゃうなあ。それぐらい本当に、僕は完成度の高い詩だと思っている。どうしてこういうのを、もっと書いてこなかったんだい? もっとさ、こう言う詩を書いてさ、何処かに投稿してみようよ。ぜったい受けるよ」僕はカフェラテをひとくち含みつつ、彼女がこれで恋の詩に対する才能にもっと自信を持つ事を期待していた。「貴方は愛されたいのね」アイスコーヒーを空にした彼女はそう言って、テーブルの原稿用紙を静かに集め、粗暴に角を整えた。「貴方は愛されたいから、詩を書いてるんでしょ?」彼女の眇目は、彼女の筆で記された恋の詩を不快気に舐めていた。そしてこう言った。「私は違うのよ」
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