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3

 自分を呼ぶ声で目が覚めた。母さんか。

 いつもなら携帯のアラームで起きるが、アラームに気付かなかったのか、消して二度寝してしまったか。

「ユウゴくん、起きて」

「あと五分」

「もう、ユウゴくんったら」


 な、何か嫌に優しいな。『ユウゴくん』って気持ち悪い。機嫌がいいのかな。わざわざ部屋に入ってきて体を揺すっている。それもかなり優しく。いつもなら枕を取り上げたりするのに。


「よ~し、こうなったら。よいしょっ、よいしょっ」

 えっ、母さん、何やってるの? 俺の上に乗って、俺の両手を取った?


「えい!」

 俺の両手に、むにゅっと柔らかい感触。こ、これはまさか。


「ちょ、ちょっと、母さ……」

「はぁーい、ユウゴくん。君にはおっぱい責めが効くわね」

「……えっ、神様?」

「ううん、あたしがママよ」

「……えっ?」


 馬乗りになって、俺の両手を胸に当てながら言う神様。


「早く起きて。ご飯できてるわよ」

「……あ、あの、説明をおね……」

「いいから! 起きてよ~」

 最後は色っぽく言う。金髪露出巨乳美女に言われては反発できない。


「は、はい、分かりました」

 素直になった俺を見て、神様が両手を話して上から退いたからようやく体を起こす。

 頭をゴシゴシと掻いて周りを見渡す。木造の内装だ。俺が寝ていたのは簡単な作りのベッド。日本人の子供部屋にあるような机は無く、小さいテーブルがあるのみ。


 冷静なって思い出した。俺は死んで異世界に転生したんだった。もう一度浅田さんに会う為に。


「さっ、早く。朝食覚めちゃうから、早く顔を洗ってきて」


 俺の手を引く神様。行った先は洗面所。桶には水が入っている。これで顔を洗うのか。それを見て神様は、「顔を洗ったら来てね」と洗面所を出て行った。

 寝ぼけ眼で顔を洗う。冷たいな。でも、そのおかげで目が覚めた。


 そして、ふと水面を見る。ん? 目は覚めたと思っていたけど、まだ寝ぼけてるのかな。バシャバシャ。さっぱりした! 今度こそ目が覚めた。水面を見る。可愛らしい顔の子供だな。小学校に入る前ぐらいかな。


「うわー!!」

 驚きで尻もちをつく。


「ユウゴくん、どうしたの?」

 慌てて洗面所に入ってくる神様。


「か、神様。俺、子供になってる」

「なんだ、そんな事。当然よ、あたしがそうしたから」

 神様の言葉が一瞬理解できなくて目を白黒させる俺を、「顔は洗ったわね。じゃあ来て」と手を引っ張る。詳しい説明は朝食を食べながら説明してくれるらしい。朝食が冷めるのが相当嫌らしい。



「か、神様、これ美味いよ!」

「ふふふ、でしょう!?」

 もうここ数年は朝食は食べずに学校に行っていた。寝起きの『あと五分』これは人類最高の贅沢だ。これを数回重ねれば朝食なんて食べてる暇はなくなっていた。でも、絶対に『あと五分>朝食』だろう。

「おかわりもあるわよ。どんどん食べてね」

「はい、分かりま……はっ!」


 神様のペースに引き込まれている事に気付いた。美味しくて、本当にどんどん食べてしまった。この小さい体にどれだけ入るんだろうって言うくらい。


「ちょ、ちょっと、説明して下さい! 転生できたのはありがたいんですが、何で子供何ですか!?」

「いいじゃな~い、可愛いわよ~」

 うっとりしながら俺を見る神様。子供好きか? 危険な方の。確かに俺の小さい頃の俺は可愛いが。


「分かったわ。じゃあ、そろそろ説明するわね。今日は二人で森に行く大切な日だしね」

「え、森? 何しに行くんですか?」

「勿論、初めての実践よ」

 当然じゃないと、何を当たり前の事を聞いているの? って感じの神様。色々ツッコミ所があるが、異世界生活が始まるのだ。

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