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おねいの特製コロッケは星三つです!

「いい?おねいと隼人がいる時は普通のぬいぐるみのフリをするのよ」


「ったく、めんどくせーなぁ…」


あれから愛美と、ぐれっちょんをどうするか話しあったんだけど、ぐれっちょんは元々隼人がプレゼントしてくれたぬいぐるみで、私の部屋に置いてあった物だから、このまま私の部屋に置いておくことにしたの。


でもおねいと隼人にはバレないようにしないとだめな訳で……。

私は今ぐれっちょんを説得中。


……なんだけど、ぐれっちょんは私の勉強机の上であぐらをかいたまま渋るばかり。


それになによ、その偉そうな態度っ!


私は今すぐに怒鳴りたい気分だったけど、あまり大きい声を出すとリビングで夕飯を作ってるおねいに聞こえちゃうから我慢我慢……。


「そんな事より、ハラへったぁ~。さっきから、いい匂いがプンプン漂ってきて、がまんできねー……」


情けなく目尻をとろーんとさせて、その場にだららんと寝転ぶぐれっちょん。


もー、なんて、ぐうたらなのっ!


「ぬいぐるみなのに、ご飯食べるなんておかしいじゃないっ !」


「今はぬいぐるみの格好をしてるだけで、元は天使なんだよっ!天使だって腹は減るし、糞だってするに決まってんだろ!」


うぅー、お下品だし可愛いくないっ!!ほんとに生意気なんだからっ。


それから、しばらく私とぐれっちょんは火花を散らせながら睨みあっていたんだけど、リビングからおねいのご飯が出来たって言うのんきな声が聞こえてきたので、そこでにらみ合いの試合は終了。


「うー、めしーめしーめしくれー死ぬぅー」


それでもまだぐちぐと文句を言って、ご飯を要求する、ぐれっちょんに私は腰に手を当てびしぃっと言い聞かせる。


「仕方ないわねー。ちゃんと大人しくしてたら、おかずをちょっとだけ分けてもいいわよ?」


と、少しだけ上からな態度で言ってみる。


するとぐれっちょんはパッと一瞬にして、元のぬいぐるみの体制に戻って、何も話さなくなる。


す、すごく単純…。まぁでもこれで大人しくしてくれるなら、いいよね。


ぐれっちょんを一人残しておくのはちょっと不安だけど、私は慌ててリビングに向かった。


リビングにはもう既におねいと隼人が椅子に座って、私を待ってたんだ。


「あ、みっちゃん、やっと来た。今日はみっちゃんの大好きなコロッケにしたよ」


「えっ、こ、こ、ころっけ!?」


お味噌汁とサラダに囲まれた真ん中で、こんがりきつね色に輝くものは……私の大好物のコロッケ!


「わーい、コロッケだぁっ!

えへへー、いただきまぁすっ」


おねいと隼人を待たずに私は一人で、手を合わせていただきますをしてから、コロッケを頬張る。


すると口の中に広がる、熱々でサクサクのころもと、ホクホクのおいもにほっぺが落ちちゃいそうだよぉ~~。


「はむぅ~、おいひぃよぅ」


「クスクス、もうみっちゃんったら、コロッケは逃げないから、ゆっくり食べようね」


「……そうだぞ、行儀が悪い」


おねいには笑われて、隼人には呆れられちゃったけど、気にしないもん!


だっておねい特製のコロッケの美味しさの前では他にかなうものはなしっ。

星三つです!


でもそこで私はぐれっちょんが、お腹を空かせてたことを思い出す。


今日のおかずはコロッケ二個に、サラダにお豆腐とおあげのお味噌汁……。


あげるとしたら、やっぱりコロッケになるよね……。


うぅーー……。でもごはんを食べさせないと、また暴れちゃいそうだし……。


私は涙を飲んで、まだ口を付けてないコロッケを間違って食べないようにお皿の端に避けておくことにした…。



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