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ゼロクエスト 〜第2部 異なる者  作者: 鈴代まお
第1章 暗殺者(エリス編)
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第9話 魔物討伐隊へ

「えっ、何で??」

「討伐隊への参加を申請してきたんだ」


 ディーンはそのために、私たちのパーティからは一時離脱するという。

「何で討伐隊へ?」

「どうせここで足止めされるんだったら路銀も稼げるし、参加しない手はないだろ」

 本当ならば私たちも参加したいところである。しかし少なくとも修行中の私やエドには、まだその力はない。


「討伐って、いつから始まるの?」

「第一陣は、明日早朝から行動を開始するそうだ。俺もいつでも出陣できるように、今からギルドへ詰めなければならない」

「そっか…」

 私が不安そうな顔をしていることに気付いたのか、彼は続けて言う。


「騎士や大勢の術士たちがいるこの村は、今は比較的安全な場所だ。余程のことがない限りは、魔物がここへ攻め入ってくる心配はないと思うよ。だから君たちも通行止めが解除されるまでは、ゆっくりと英気を養っておくといい」

 ディーンの話を神妙な顔付きで聞いていたアレックスだったが、ようやくここで口を開いた。


「ならば俺も参加するぞ」

「それはやめたほうがいい」

「却下」

「参加しないほうが~いいと思います~」


 私たちは直ぐさま口を揃えて、その申し出を撥ね付けた。

「な、何故皆して俺を否定する!?」

 アレックスは私たちの息の合ったコンビネーションに、動揺の色を見せているようだ。


「ハッ、まさかこの前魔王に負けたということで、この戦でも俺が生き残れないと思っているのか!」

「いやいやいや、そういうのじゃなくて」


「だがそれは心外というものだぞ。

確かに俺は魔王に負けた。それは男らしく、潔く認めよう。

だからといって、この戦でも生き残れないという保障が何処にあるというのだ。

否。断じて否っ!

そのようなものなど何処にもないのだ。

戦というものは、蓋を開けて見るまでは結果が分からぬ。戦況が変われば、窮鼠猫を噛むことだってあるのだからな。

約束しよう。俺がこの命に代えても、君たちへの勝利を捧げてみせようと―――」


「だから、違うって言ってんでしょーがッ!!!」


 どんっ!


 私は思わずアレックスを背後から突き飛ばしていた。


「な、何をするのだエリスよ。いきなり非道いではないか」

「あ、ごめんごめん。あんたの話が長くなりそうだったから、つい」

 地面で平伏した格好のまま、肩越しから恨めしげな目でこちらを見ているアレックスに対して、私は頭を掻きながら素直に謝った。

 彼は人の話を聞こうともせず、訳の分からないことをまた延々と、熱い口調で語ろうとしていたのだ。途中から我慢ができなくなって、つい手が出てしまった。


「くすくすくす…」

 ディーンがこちらを見て可笑しそうに笑っている。


「何か私、おかしなことを言った?」

 私が困惑気味な視線を向けると、彼は慌てた様子で手を左右に振ってきた。


「ああ、スマン。君はやっぱり少し、リアに似ているなと思ったものだから」

「へ? 似ている??」

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