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日ノ本を喰らう者 -黒き血の宿命-  作者: 酸欠ペン工場


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第16章 煉獄の炎

最新話へお越しいただき、ありがとうございます。

第16章「煉獄の炎」をお届けします。


束の間の平穏は、三人目の五行衆によって引き裂かれます。純粋な破壊を楽しむ炎の化身を前に、三人は町の人々を守りながら戦うという、最も過酷な状況に追い込まれます。


それでは、本編をお楽しみください。

東海道の旅路は、三人に束の間の平穏をもたらしていた。

だが、彼らが次なる宿場町に足を踏み入れた瞬間、その穏やかな空気は唐突に引き裂かれる。

町の中心から、巨大な火柱が轟音と共に天を突いたのだ。

悲鳴、怒号、そして家屋が焼け落ちる音。

先ほどまでの活気が嘘のように、町は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図へと叩き落とされた。


「な、なんだ!? 火事か!?」

「いや、違う……! この霊力は……!」


快然が叫び、桔梗が戦慄の声を上げる。

夜凪は、何も言わずに燃え盛る町を見据えていた。

炎の中から感じる、この禍々しくも純粋な破壊の気配。

間違いない。

五行衆だ。

炎を操る、次なる刺客が姿を現したのだ。


「ひゃっはははは! 燃えろ、燃えろ! すべて燃え尽くせ!」


狂気の混じった甲高い笑い声が、炎の中心から響き渡る。

そこに立っていたのは、赤い髪を逆立て、その瞳に狂気の炎を宿した一人の男だった。

その全身から立ち上る陽炎が、彼の姿を不気味に歪ませている。

闇御門五行衆が一人、「火行・迦具土(かぐつち)」。

ただ、純粋な破壊と闘争だけを求める、戦闘狂。


「ようやく見つけたぜ、月読の小僧に、不知火の娘っ子! それに、どこかで見た顔の坊主もいるな!」

「貴様……! 罪のない人々を巻き込むとは、許さんぞ!」


快然が、怒りに震える声で叫ぶ。

だが、迦具土はせせら笑うだけだった。

「罪? そんなもんは、強者が弱者に与えるただの言い訳だ! 俺はただ、燃え盛る炎が見たいだけよ!」

その言葉と共に、迦具土が指を鳴らす。

すると、彼の周囲に巨大な火の玉がいくつも現れ、無慈悲に町へと降り注いだ。


ドォン!

ドォン!

家々が、まるで紙細工のように燃え上がり、爆発四散していく。

逃げ惑う町人たちの悲鳴が、夜凪たちの心を鋭く抉った。

「くっ……!」

夜凪は、咄嗟に燃え崩れてきた家の梁から、小さな子供を抱きかかえて救い出す。

その母親が、涙ながらに頭を下げた。


「夜凪さん!」

「桔梗、快然! まずは町の人々を安全な場所へ!」


夜凪の指示に、二人は力強く頷く。

三人は、迦具土との戦闘よりも、人々の救出を優先した。

快然が法力の結界で炎の壁を防ぎ、その間に桔梗が的確な指示で町人たちを川辺へと誘導していく。

夜凪は、孤月を振るい、迫り来る炎を斬り払いながら、逃げ遅れた人々のための道を切り開いた。


「おいおい、俺を無視するんじゃねえよ!」


自分との戦いを後回しにされたことに、迦具土の怒りが頂点に達した。

彼の全身から、これまでとは比較にならないほどの巨大な炎が噴き上がる。

「いいだろう! その守るべきものとやらごと、まとめて灰にしてやる!」

迦具土の身体が、巨大な炎の竜巻と化した。

その灼熱の嵐が、三人と、彼らが守ろうとしている町人たちへと迫る。


(……まずい!)


夜凪の全身に、焦りが走る。

この規模の術を防ぎながら、人々を守り切ることは不可能だ。

だが、ここで引くわけにはいかない。

人々を見捨てて逃げるなど、選択肢にもない。

それは、仲間たちが絶対に許さないだろうから。

そして、他ならぬ自分自身が、それを許せなかった。


「桔梗殿! 夜凪殿! ここは拙僧に!」


快然が、意を決したように前に出る。

「この炎、拙僧の法力で、一時的に抑えてみせましょう!」

「しかし、それでは快然さんが!」

「案ずるな! 拙僧とて、伊達に破戒僧をやってはおらん!」


快然は、錫杖を強く地面に突き立てると、目を閉じて経を唱え始めた。

彼の身体から、これまでで最大級の金色の光が放たれる。

それは、炎の竜巻と真っ向から衝突し、激しい光と熱を撒き散らしながら、拮抗した。


「その間に、二人で奴を!」

「……分かった!」

「お願いします!」


快然の覚悟を、無駄にはできない。

夜凪と桔梗は、互いに頷き合うと、炎の壁の僅かな隙間を縫って、迦具土へと突進した。

二人を分かつように、炎が壁となって立ち塞がる。

夜凪は、炎の破壊衝動と、人々を守ろうとする自らの使命感との間で、ギリギリの戦いを強いられていた。


「ひゃっはは! いいぞ、いいぞ! その顔だ! もっと苦しめ、もっと足掻いてみせろ!」


迦具土の狂気に満ちた声が、燃え盛る宿場町に響き渡る。

この煉獄を、鎮めることはできるのか。

三人の、そして町人たちの運命は、今、風前の灯火となっていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


五行衆が三人目、炎を操る戦闘狂・迦具土かぐつちが登場しました。

仲間と町の人々を守るため、快然かいぜんが命懸けで煉獄の炎を防ぐ壁となります。

彼の覚悟に応えるため、夜凪よなぎ桔梗ききょうは反撃の狼煙を上げました。


果たして、快然は持ちこたえることができるのか。そして、炎そのものとも言える迦具土を、二人はどう攻略するのでしょうか。

次回、決戦の火蓋が切られます!ご期待ください!


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感想もお待ちしております。


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