妖精の生い立ち
むしろ、その母親がシリシアンの相手をしていてくれるのなら、いつもよりも自由時間、増えるんじゃない?
リアムは明日の夜が楽しみになった。
「ところで、リアム」
「はい、なんでしょう」
「君って、男なの? 女なの? それともどちらでもないの?」
性別? 雌雄?
妖精にそんなものはない。
「……さぁ、考えたこともない、かな」
「そう。元来、妖精の雌雄はあやふやだって聞くからね」
「さようでございますか」
「……ごめん。気を悪くした?」
「そのようなことはございません。ただ……」
「ただ? なに?」
「いや、なんでもないです」
シリシアンから見て、自分はどちらに見えるのだろ?
とちょっと思っただけだ。
露草色の真っ青な髪、金がなくてバッサリ切って売ったから、今はとても短い。
髪と同じ青い目に、手足の指先も青く染まっている。
隣でカギ針を操るシリシアンの白い指先をリアムは少し眺める。
「あ、間違ってる? 飛ばしたかな?」
「いいえ。綺麗です」
あなたの指先はとても綺麗。
リアムは自分の青く染まった指先を好きじゃないと感じた。
それは、生まれて初めてわき上がった感情だったかもしれない。
*(・д・)ノ{ そんな気持ち捨てちまえ)