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朝蔭蘭

「お前たちには家を出ていってもらう」


 立成17年の夏、お父さまの無情な宣告を受けて、私とお母さまは徳浄院家を追い出されてしまいました。


 それでも怒り悲しみ憎しみを感じなかったのは、お父さまのことをアカの他人のように思っていたからでしょう。お父さまは両手の指で数えられないほどの数の会社を経営しており、家にいる時間が全くと言っていいほどなく、私とまともに親子の会話をしたこともありませんでした。


 その一方で、お母さまはとても寂しい思いをされていました。恋愛結婚ではなかったとはいえ、お父さまが夫として少しでもかまってあげていたら、お母さまが不倫することなどなかったでしょう。


 ……もっとも、お母さまのおこぼれにあずかっていた私も同罪になってしまいましたが。


 お母さまのご実家も厳格な家風であり、特に性に対しては穢らわしいものと教え込まれていたそうで、お父さまと結婚されるまで男も女も知らずに育てられたそうです。しかし余程厳しく育てられたのか心の中で歪みが生じていたようで、お父さまと初めて床を共にした日、それが発露してしまいました。


 性の悦びに目覚めてしまったお母さまは、お父さまが家をよく空けているのをいいことに様々な男女を床に招き入れました。お父さまがいる日はちゃんと夫婦の義務を果たして、それでお兄さまと弟と私が生まれたわけですが……一応、不倫発覚後にDNA鑑定を受けさせられてみんなお父さまの子だというのは確定はしましたが、それまでの私は実はお父さまの子ではないのかもしれないと疑っていたこともありました。勘当された今ではどうでもいい話になりましたけど。


 さて私はというと、東京の研学院という上流階級の子女が通うことで有名な学校に通っておりました。初等部時代は自分で言うのも何ですが、いい子にしており教師からの信頼も厚かったものです。


 だけどある日の夜、お母さまが「蘭もそろそろいい頃合いね」と言って寝室に招きました。するとベッドの上には見たこともない若い女性が下着姿で寝そべっていました。父母会で知り合った方で年はお母さまと変わらないとのことでしたが、可愛らしい童顔で、まるで小動物のようでした。


「蘭、楽しいお勉強の時間よ。服を脱ぎなさい」


 この頃の私は本当に純粋で、何も知りませんでした。お母さまの言うことに従い、名前も知らぬ女性と一緒に未知の世界を体験してしまったのです。それは学校の授業よりも面白く、本に書かれている知識よりも深いものでした。


 中等部に上がってからは成績が急に落ちてしまいましたが、お父さまは無関心でしたし(どうせ人の嫁にやるから勉強しても意味はないと思っていた節があります)、お母さまからも「人づきあいが大切よ」と、特に咎められることはありませんでした。その一方でお兄さまと弟に対しては少しでも悪い点を取ろうものなら厳しく叱りつけていました。いずれ徳浄院の家督を継ぐ者に対する愛のムチというものではなく、本気で嫌っていた節がありました。おそらく、男性嫌悪じみた潜在的な感情があったのかもしれません。事実、お母さまのお相手は男性より女性が多かったのですから。


 お母さまの寵愛を受けていた私はお兄さまと弟から嫌われるはめになりましたが、これも勘当された今となってはどうでもいい話です。


 徳浄院家追放のきっかけを作ってしまったのは私でした。夏休みにお母さまがサマーパーティー……その実不倫相手を複数集めて秘密の交流会を開いたのですが、調子に乗っていた私はそういうことが好きそうな同級生を何人か誘って連れてきて、それはそれは夏休みの宿題なんかよりもためになる「人づきあいのお勉強」をしたものでした。でも人の口に戸は立てられぬもの、それが学校とお父さまの耳に入って大問題になり、私は同級生ごと退学処分を下され、お母さまは離婚を言い渡されました。それでもお母さまは、逆に私を褒めてくれました。家を出てようやく自由になれる、って。


「さあ、ここが新天地よ」


 流れ着いた先はS県空の宮市の、国道沿いにある豪邸……とはいっても借家ですが、賃料は都内の高級賃貸レジデンスよりも遥かに安く、全然支払えない金額ではありません。何せお母さまにはたくさんのパトロンがついていますから。


 ここを選んだ理由は私が新たに通うことになった、星花女子学園が近くにあるからです。調べたところ地元では有名な、いわゆるお嬢様学校らしいのですが、研学院よりも格は遥かに劣るようでした。後から知らされたことですが、お父さまはいろんなお嬢様学校に私を引き取るようお願いしたものの、どこからか私の所業が先方に伝わってしまっていたらしく全部お断りされていたようで。しかし星花女子学園だけは承知の上で首を縦に振ってくれたのです。何て懐の大きい学校なのかと思いました。


 お父さまは「女相手だといかがわしいこともできないだろう」と考えて女子校に入れようとしたようですが、私の初めてのお相手は誰だったのかご存知なかったようです。浅はかにも程がありますね。


 新しい住居にはすでに一通りの家具が置かれていました。全てはお父さまが派遣してくださったメイド二人のおかげです。お母さまは家事が全くできませんから、お父さまがせめてもの情けとして使わしてくれたのでした。


 お母さまは新品のソファーに座り、星花女子学園のパンフレットを読み始めました。メイドたちお手製の紅茶とスコーンを頂きながら、私とこれからの学園生活について話し合いました。


「田舎の学校かと思ったけど、そこそこ良家の娘さんが通っているのね」

「学園を経営している天寿という会社も業績が著しく良いですわね。今のうちに株を買っておいて、理事長に良い顔をしておかないと」

「そうね。多少のことがあってもお目こぼしをしてもらえるように」

「いやだわ、ふふふ」

「でも、人脈はできるだけ早く広げておくのよ。何かあったときに助けてくれるからね。そのためには私譲りの美貌と、()()()()()()()()()()()を最大限に活用するのよ」

「わかっていますわ。お母さまもたくさん人脈を広げてくださいまし」

「ふふふ、好きなようにできるから楽しみだわ」


 私も早く夏休みが明けないものかと楽しみで仕方がなかったのでした。

名前:朝蔭 蘭(旧姓:徳浄院)

読み:あさかげ らん(旧姓の読みは"とくじょういん")

身長:162センチ

体重:50キロ

3サイズor体型:でかい・きゅっ・でかい

髪型:姫カットのショートボブ

髪色:黒

一人称:私

性格:自由奔放、えっちぃ

誕生日:11月19日

血液型:B型

所属クラス:高1-2

部活動:チアリーディング

通学手段:徒歩15分

入学時期:中1の二学期

好きなもの:おとなしめで可愛らしい子(男女問わず、どちらかと言われれば女の子の方が好き)、ダンス、魚料理

嫌いなもの:オラオラ系のチャラ男、下品なおっさんとおばさん、しいたけ

お気に入りのシャンプー:イランイランの香りが入ったもの

家族構成:母とメイド二人

     父と兄と弟がいたが離婚により離れ離れに

イメージCV:田中理恵

備考:

生まれは旧華族の徳浄院家。かつては深窓の令嬢という言葉が似合う清楚な美少女だったが……

母が密かに美男美女を連れ込んで楽しんでいる(意味深)ところを目の当たりにしてしまい、しかも母の不倫相手の一人だった女性から母の目の前で手ほどき(意味深)を受けたために倫理観と性癖がガッツリと歪んでしまう。

都内のやんごとなき御身分の方が通われる超名門校に通っており、初等部時代は優等生だったたが手ほどき(意味深)を受けてから不良少女に転落。中等部1年の夏休み中、母親主催のいかがわしいサマーパーティーに同級生を複数人連れ込んだことがバレて退学処分を受ける。ついでに母親も離婚を言い渡されともに徳浄院家を追放される。

父の命により星花女子に転校することになるが、同性相手だといかがわしいことができないだろうという超浅はかな考えがあったため。

母は周囲から甘やかされて育てられたために自分の身の回りのことを一人でやったことが無く、最後の情けとして父から世話係として送られたメイド二人が家事を行っている。今はともに借家(とはいえ一等地にある屋敷)に暮らしている。

チアリーディングに入ったのはモテるだろうからという不純な動機から。しかしチアダンスの面白さに目覚めて今ではすっかり身も心もチアリーダー。

星花に転校してから現在まで両手の指で数えられないぐらいのワンナイトラブを経験している。時々母と一緒に楽しむことも。厄介なことに校内では一切問題を起こしていないので風紀も注意しようがない。

高校生であるにも関わらず見た目は大人っぽく妖艶な雰囲気を漂わせている。同級生や先輩からお姉さまと呼ばれてしまうこともしばしば。

美音とともに「わけあり転校生コンビ」と呼ばれている。美音のことはカッコいいとは思うが性的な目では見ておらず友人として付き合っている。


台詞例:

「あらあら私のダンスに興奮しちゃったの? しょうがないわねえ、じゃあ鎮めてあげるからこっち来て」

「あなたのこと食べちゃいたいなあ……(荒い吐息)」

「あら、お母さまったらまた新しい男連れ込んで……ごゆっくりどうぞ」

「あら、お母さまったらまた新しい女連れ込んで……私もご一緒していい?」

「チアリーディングを初めてから体力がついて連戦(意味深)してもへばらなくなったわ!」

「美音ったらまだ相手いないの? 良い顔してるのにもったいない。何なら私が相手してあげようか?」


「あの男がちゃんとお母さまに向き合っていれば、私ももうちょっとまともに生きられたかもしれないのに」

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