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スライムと依頼解決の旅  作者: ぴのら
3/3

第2話 いざ、鑑定へ

 「町だ⋯⋯やっと町に着いた!案内ありがとう、ステラ!」

「そのくらい大したことないです!」

と、ステラは笑顔で言う。

ステラの話によると、町に入るには門をくぐる必要があるらしい。この町自体は小規模だが、門番がしっかりといる。その門をくぐるには冒険者カードか、身分証明書カードが必要だった。

しかし、俺はそういうのを持っていない。そのことをステラに伝えると、「ステラがついていれば大丈夫ですよ」と言って門番に近づいた。門番は俺たちを見て、いや、俺を見て何を思ったか首をかしげた。そして、「ステラちゃん、その隣の人は誰かな?」と、訝しむように小声でステラに聞いた。

「ステラのパートナー!」そう言って、俺に抱きついてきた。「どどど、どうしたステラ!いきなり抱きついて!」

俺は前世でそんなこと一度もされたことがない。故に、俺は戸惑うことしかできない。

「なにかおかしなことしましたか?」

「おかしいよ!いや待て、俺がおかしいのか?」

前世の常識がこの世界で通用するとは限らない。もしかしたらこの世界はこれが普通なのか?そう思った。しかし、違った。


「ママが『パートナーができたら遠慮なく抱いていいのよ』って言っていたので⋯⋯」


 ステラは抱きついたまま少し不安な顔をしてそんなことを言ってきた。

俺は決しておかしくなかった。ステラの母親がおかしい!

俺は少し冷静になり「抱きつくのはいいけど、ほら、門番さんが驚いた顔で固まっているからね?」そう言った。

ステラはこの町ではほとんどの人が知っていて、信頼が厚いゆえに門番は固まっている。


 ステラは納得したのか、していないのか分からないがとりあえず離れてくれた。それと共に、門番も動き出した。

俺はステラと何があったかなどの説明を門番にした。

門番は納得してくれたらしく、町に入ることができた。

そして、俺はこう決心した。

「俺はステラが助けてくれたように、俺も色んな人を助けられるようになりたい」

そう言うと、ステラは目を輝かせながら俺を見て「お手伝いします!」と言ってきた。

俺は「ああ、よろしく頼む!」と言って、ステラの頭を撫でた。

「そうと決まれば、まずは鑑定ですね」

ステラの話によると、生まれた時点で職業が決まるということだった。その職業は必ずしなければならない訳ではないらしい。単にその職業がおすすめということみたい。


 今日はもう遅いから明日、鑑定してもらうことになった。

「宿をどうするか決めないとな⋯⋯ステラはどこに泊まっているんだ?」

「ステラはこの町に住んでいます。よければステラの家に泊まりますか?」

「いいのか!?お金がなかったからこまっていたんだ」

俺はみっともないが、ステラのお金を借りるしかないと思っていた。けれど、ステラの家に泊まれるのならありがたく泊まらせてもらおう。そう思った。


 異世界でよく見る町並みを歩き、ステラの家に向かった。

そして、ステラの家に着いた。ステラの家は意外と小さかった。家の中は生活するのには充分な感じだった。俺は思ったことを言う。「まさか、一人暮らし?」俺は見た目が幼いし、町に入る前に母親の話がでたから親が家にいると思っていた。

「?⋯⋯そうですよ?」

と、俺をイスに座るよう促しそう答えた。

ステラは俺の隣に座った。

「⋯⋯どうして一人暮らしを?」

あまり聞かない方がいいのかもしれないが、パートナーの事情は聞いておきたいと思った。

「ステラのママとパパはこの町で有名な冒険者だったんです。でも⋯⋯ある依頼で――」

だから、ステラはこの町でほとんどの人に知られているのか。

そして、そこまで言われたらさすがの俺でも分かる。

ステラの両親は⋯⋯

「――いってしまったんです」

あぁ、やっぱり⋯⋯

「ある依頼で大金を手に入れ、ステラを置いてここから遠くにある王都に行ってしまったんです」

そうだよな⋯⋯行ってしまったんだよな王都に。

ん?「王都に!?」俺は予想外の発言に驚愕した。

てっきり、上の方に逝ってしまったのかと思っていた。

でも、自分の子どもを放って王都に行くとは、あまり言いたくないが「どういう神経をしてるんだ!」親の顔が見てみたいものだ。

俺の大声に驚いたのかステラが少し怯えているようにみえた。

「あぁ、ごめん。少し気が立っていたみたいだ」

俺の気持ちを悟ったのか、ステラの表情が和らいだ。

「今日は色々あったから疲れただろう。もう寝よう」

「そうですね」

よほど疲れていたのかステラはすぐにベッドで眠ってしまった。俺は床で寝るとしよう。

俺は寝る前に、町にくる途中でステラに教えてもらったことを整理する。


 最初に聞いたのが、ステラがあの森になぜいたのか。

俺がこの世界にきた時、一筋の光が一瞬見えたそうだ。その光の所に俺がいて、それを遠くから見ていたらしい。俺が動き出したあとも、俺のことをつけていたみたいだ。

だから、俺のことを助けることができたのだろう。


 そして、次は俺がいくつか質問をした。

まず、この世界の朝、昼、夜になるしくみ。

それは、昔いたという大魔法使いの人がそのしくみを決め、魔法でそうしたらしい。そのしくみになる前は、ずっと暗く光魔法が基本的に使われていたという。ステラは本にそう書いてあったと言っていた。


 次の質問が、この世界の通貨やその価値。

この世界には、銅貨、小銀貨、銀貨、小金貨、金貨、大金貨があるという。種類が多いな⋯⋯。

それぞれ日本円で例えると⋯⋯

銅貨=1円、小銀貨=10円、銀貨=100円

小金貨=1000円、金貨=1万円、大金貨=10万円

こうしてみると分かりやすい。


 そして次の質問、水が不思議な味の理由。

自然生成する水はなぜか不思議な味がするらしい。

その味は、この世界では知っている人がいないと言われているそうだ。昔もそうだったみたいだとステラも言っていた。


 はい次の質問、俺が途中で集めた木の実。

その木の実はミリシュと言って、食べても大丈夫らしい。そして、甘いと言っていた。カラをむいて食べるとも。


 最後の質問、町の名前。

町の名前は、シャロームの町と言うらしい。


 ステラは本が好きでこの世界について色々知っていたみたいだった。とてもありがたいことだ。

そんなことを考えたりしているうちに、俺は寝ていたらしい。気付けば朝になっていた。


 ん?なぜか体が温かい。俺は昨日ただ冷たい床に寝ていただけなのに。そう思って体を動かそうとすると、体が重く感じた。いや、体にステラが抱きついている!?

それに、毛布がかけられていた。ステラが起きないようにゆっくり起き上がり、支度をはじめた。

少したってステラが起きた。

そして、鑑定士の元へ向かった。

ステラの家からはあまり遠くはないみたいだ。俺は冒険者に向いている職業であることを願う。

「そういえば、ステラの職業教えてもらってなかったな」

「ステラの職業は冒険者です。その中でも、身体能力が人並み以上に高くなる種類です」

「種類?」

「種類とはですね⋯⋯例えば、職業が冒険者の場合、そこからさらに色々な種類、分かりやすく言うと役職に分かれます。役職はたくさんあります。特に冒険者は。魔法使い、剣士、テイマー、サポートなど色々です」


 この世界は魔法まであるのか。さすが異世界。

「頼む。冒険者であってくれ⋯⋯」


 鑑定士がいる所に着いた。

鑑定士は俺よりも身長が少し低く、白い髭が生えている。かなり歳をとっているみたいだが、力強い顔をしている。

俺は鑑定士に挨拶すると、早速鑑定してもらうことになった。初めての鑑定は無償らしい。

「鑑定」

鑑定士が俺の前に手を出し『鑑定』と唱えると、目の前にステータスのようなものが現れた。ステータスは言わば、個人情報だ。他人に見られないよう配慮がされている。

パートナーであるステラは隣にいるが。まぁ、それは問題ない。

鑑定士は喋りだした。

「職業は冒険者、役職はテイマーのようじゃな。珍しいのう」

「テイマーは珍しいのですか?」

「そうじゃな。テイマーはあまり見たことがない」

冒険者なのは嬉しいが、どうやって人助けをしよう。

鑑定士はまた喋りだす。

「ん?見たことがない固有スキルがあるのう。『翻訳』とはなんじゃ⋯⋯」

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