プロローグとえぴろーぐ
その日、世界が終わった。
澄んだ水面のような青空が真っ赤に染まり、涼しさをもたらしていた風が、ピタッと止まる。
地面が慟哭を上げ、立っているのもやっとになる程揺れる。コンクリートが鈍い音を出しながら割れた。
その日、世界が終わった。
血の色になった空が、徐々に溶けていき、液体となって、地上に落ちる。
ビチャ、と言う生々しい音が、各地で発生する。
瞬間、水溜まりとなった液体が、空中に浮遊し、何かを形取る。
その形状は様々で、四足歩行の獣だったり、武具を身につけた白骨の戦士だったりした。
「guooooo!」
生誕を祝い、同時に化け物が雄叫びを上げる。
なんなんだ。この状況は。この世界は!
アニメで見るような、常識を無視した世界に、戸惑いと憤慨をする。
その俺の感情を嘲笑うかのように、状況は悪化していく。
「諸君ら、グッバイ」
空からエコーが掛かった、傲岸不遜な別れの挨拶。
空が真っ二つになり、見るもの全てを焼き付くすような白球が一つ。慣性に従って降りていく。
「三上!」
訳も分からない状況だったが、叫び声は自然と出た。
唖然とした少女を守るように抱きしめ。
─────そして、俺達はこの世界から消失した。