第50話 衝撃の報告
時は遡り・・・
遠征から帰国したヴァイスハルトから 皇帝がゼオンによって暗殺されたこと
そして その犯人であるゼオンが『魔族』であること
2つの衝撃の報告が宮殿の謁見の間で話された
そこにはリエナの家族 帝国五聖の面々 デミナスの隊長と隊員たちが集められていた
ヴァイスハルト「ゼオンは魔王軍のスパイで今まで素性を隠し帝国に潜入し 我らが皇帝が暗黒大陸の脅威になることから遠征の最中 クラーケンとの乱戦中に暗殺を謀りました。
我々が駆けつけた時にはすでに遅くリエナ様はクラーケンの餌に・・・ゼオンはクラーケンと共に暗黒大陸へ逃走しました 我々 聖騎士団がついていながら不覚を取ったことを謝罪します。」
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あまりの衝撃に皆 沈黙する
大公「・・・む 娘の遺体も無いのか・・・」
絶望の表情するリエナの父親
ヴァイスハルト「ありません クラーケンに補食されたところを我が部下も見ております」
コクッと聖騎士たちが縦に首を振る
大公「な なんということだ・・・」
膝から崩れ落ちる
「う、嘘だよ!そんなの! ゼオ兄ぃはそんなことしないもん!!」ミウは激しく反論を唱える
「そうです!ゼオンは我が隊で共に過ごしてきましたが、陛下を暗殺するような危険な輩ではないです!」
デミナスの隊長 イングリットも異を唱える
「そうだぜ! 坊主が魔族ならなんでカイザーコングを倒したんだよ!」ガルベドも変だと質問するが
ヴァイスハルト「では なぜ誰も起動できなかった【ギガントスマッシャー】巨腕を装着出来たのでしょうか?
人間はダメでも魔族は誰も装備したことがないですが?」
「・・・・・・・・」ガルベドは黙る
ミウ「じゃ じゃあ ミウの時は魔王軍の四天王を撃退したんだよ! 私たちを守ってくれたんだよ!」
ヴァイスハルト「ミウ様 何か忘れてないかね?
退けたのだよ 討伐はしていないのですよ・・・
つまり自分の評価を上げるために逃がしたと考えるべきかと」
ゼオンの今までの行動に怪しい点がいくつもあると説明は続く
ヴァイスハルト「そして 決定的なのがその身体能力の高さ 常人以上の動きと反射神経の対応すべてが超人クラスです そして謎の人体発火を起こす現象 人間族 亜人族でもそのような力を起こす者は不可能ならば残るは魔族以外考えられないのです」
ヴァイスハルト「彼女をここへ」
聖騎士に指示を出す 連れてこられたのは
リグレット博士だった・・・
ヴァイスハルト「あなたは無人ゴーレムを一体 他の部から借りた際 暴走したと報告があったが 倒された無人ゴーレムの探知機で魔族を捕捉した記録が残っていた
その相手をしていたのは誰だった?」
リグレット「・・・っ・・・ゼ ゼオンです・・・」
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リザ「機械の不具合じゃないのか?」
レティシア「それにその頃の無人ゴーレムは試作段階で信用できませんわ」
ヴィヴィアン「ゼオンちゃんが・・・ゼオンちゃんがそんなひどいことする子じゃないです・・・」
ステラ「・・・信じない・・・」
フィーネ「彼は帝国に無知でした それなのにスパイなど・・・」
デミナスの隊員も反対の意見を述べる
ヴァイスハルト「おや?帝国のことを何も知らないというなら帝国の民ではないと普通考えるべきかと
外国の者でも帝国のことは噂になる それが知らないというのは帝国と隔絶してある暗黒大陸以外に考えられませんが・・・」
集められた人たちがだんだんゼオンが魔族であるという可能性が広がっていく
なにより リエナの父 大公はあの五聖筆頭からの言葉を真に受けてしまい、信じてしまう
「やはり 魔族は狡猾でうす汚い種族だ! 10年前の勇者の一族暗殺事件も奴らが起こしたのだ!!
今度は我が娘に手をかけたのだ! 許すわけにいかぬ!」
大公は怒りと憎しみが込み上げる
「リエナ様・・・」悲しむシルヴィア
「・・・・・・・・」1人 口に手を当て考えているシリウス
シリウス「失礼だが いささかタイミングが良すぎるのではないか!」
ついに口を動かす
シリウス「始めに私が傭兵の兄弟と戦闘し 兄を捕縛してからあなた方は現れた・・・戦闘向きでない弟を再起不能にして兄弟を連行してくれた
だが、あまりにもタイミングが良すぎる まるで2人がそこに現れることを予測されていたように見えるが・・・」
シリウスはあの時のことを不思議に思っていた
他の賊を捕まえていたと言っていたが 自分たちがパトロールをしていて賊など居なかった
遠くに居たとしてもわざわざこちらまで来る必要があったのか・・・
シリウス「さらに今回の一件だが なぜヴァイスハルト! そなたがクラーケンを相手にせず 別の魔獣の相手をしていたのだ 普通は逆であろう海に面した場所なら氷魔法が得意なそなたが有利なはず
陛下とゼオンの2人だけであのクラーケンに挑むこととなったのだ?」
シリウスは問い詰める
ヴァイスハルト「皇帝命令ですよ いつもの
それに従っただけです」
シリウス「五聖筆頭という立場なら意見を述べるべきはず せめて ゼオンではなく自分がクラーケンの相手をすると言うべきではなかったのか?」
シリウスはヴァイスハルトがなにか怪しいと踏み込み
問いかかけるだが そこに割り込む者が現れる
「過ぎたことを話しても仕方ありませぬ 陛下はすでに天に召してしまいましたから」
教皇が現れる
ガルベド「おい! 俺たちは陛下が死んだことに納得してねーぞ! あの剣帝が坊主に暗殺されるか!!」
シルヴィア「そうです! ゼオンを見てきましたが 人を殺せる技は持っていません!」
シリウス「魔王軍のスパイでも目立ちすぎます 普通のスパイならそのことしません!」
ミウ「デタラメを言ってるんじゃないの!」
ざわざわざわざわと意見を言い合う
教皇「致し方ありません 神に代わり私が申し上げます
あなた方は罪深き罪人です」
その一言でゼオンを庇うような発言をしていた
五聖の4人とデミナスの面々の肩くらいまで
一気に氷が発生し 全員の動きを凍結される・・・
ガルベド「な、なんの・・・つもりだ」
シリウス「やはり・・・謀った・・・な」
ミウ「う・・・動けない」
イングリット「くっ・・・くそ!」
リザ「マジかよ!・・・」
ヴィヴィアン「さ 寒いよ・・・」
ステラ「・・・っ・・・」
レティシア「ステラでも解けませんの!?」
フィーネ「これは罠だったのですね・・・」
リグレットも聖騎士に抑えられる
ヴァイスハルト「全員を地下牢にぶちこめ!」
凍り漬けにされたままゼオンの仲間たちは運ばれる
大公「そ そこまでしなくても良いではないのか?」
怒りに身を焦がしていたリエナの父は冷静になり 起きたことに意見を申すが
教皇「さて 大公様 皇帝亡き 今 新たな王が必要であります」
教皇は何もなかったかのように進行する
教皇「次の皇帝はアレクセイ様でよろしいですかね」
「!!?」 リエナの家族が全員 動揺する
大公「ま、待って! 待つのじゃ!
娘の葬儀もしないうちに即位の話など・・・」
ヴァイスハルトが近づく 冷たい冷気を纏い 床が少しずつ凍り 迫ってくる
大公たちは気づく 自分たちは脅しをかけられていると
大公「お主たちは謀反を起こすつもりか?」
教皇「いいえ 謀反ではありませぬ 帝国は新しく生まれ変わるだけですよ・・・」
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翌日 帝都中に衝撃のニュースが 新聞が配られる
皇帝リエナ陛下暗殺! 犯人はデミナス所属のゼオン!
さらにゼオンは魔王軍のスパイで魔族!
2つの衝撃的 報道に帝都は大騒ぎ
反魔族主義の人々は信じこみ 亜人族に対しても暴言や暴力を振るい 暴動が起きるほど
信じていない人たちもおり 信じた人たちと対立が起きたりと帝都はどこもかしこも混乱が渦巻く状態と化す
そんな中 新たな皇帝として第1皇子のアレクセイの即位が決まる
新皇帝アレクセイは民に叫ぶ
「我々 帝国は2度も魔族の卑劣な罠によって犠牲者が出た! これ以上奴らの思い通りにはさせぬ!
民を立ち上がれ! 魔族を滅ぼせ! 真の平和を勝ち取るために!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
民衆は完全に魔族を撃滅させる勢いがつき
次々と志願兵へ応募する者が殺到する
シリウス邸
「父上 帰ってきませんね」
テオが寂しそうにつぶやく
「・・・・・・・・」
ラティアは嫌な予感がしていた
すると コンコン!と家の玄関からノックが聴こえる
テオ「父上だ!」
走って向かうがラティアが止める
ラティアが扉を開けると数人の兵士が扉の向こうにいた
「シリウス様のご家族 申し訳ありませんがご同行願います」
兵士の一言でテオとラティアは不安で押し潰されそうになる・・・
下町 教会の孤児院
ここにも兵士たちが集まり ルピスと子供たちの同行を求められる
理由を聞いても 教えてはくれない
子供たちを逃がさないように囲む兵士たち
ルピスは諦め 抵抗するのをやめた・・・
他にもゼオンが少しの間 働いていた職場にも兵士が派遣され 同行するように促される
まるでゼオンと関わったものを摘み取るように次々と兵士に連行される
彼らは城の地下牢に幽閉される
そこは罪人を入れる場所だが、ゼオンと関わった者たちが幽閉されていた・・・




