第43話 襲われている一団
次の日 ゼオンはユウマに自分が魔族だという真実を伝える
今まで騙していたこと 嘘をついていたこと 人間族と偽って帝国にやってきたこと
ただ『勇者』に憧れて自分もなりたいと思って来たことは本当なんだと本心を伝える
ゼオンは嫌われるかもしれない
憎まれるかもしれない と思って回答を待っていたが、予想外の答えが返ってきた・・・
「か、カッコいい!」
「「え?」」ゼオンとリエナは驚く
「だって 今までの勇者はみんな人間族なのに
ゼオンさんは魔族で勇者になろうとしてる!
魔族の勇者なんて歴史上いないですよ! なったら凄いことですよ!!」
ユウマは興奮した状態で話す
「それに僕 勇者冒険譚の続きを書きたいんで是非 勇者になってください!!最新版の勇者はゼオンさんの活躍を書きますから!」
「ちょ、ちょっと落ち着け! なあ まず俺が魔族ってことに抵抗はないのかよ?」
「初めはビックリしました・・・けど 何か納得しちゃいました! ゼオンさんは魔族だからあの怪我でも生きている それに悪い人じゃないから信じられます!」
ユウマの言葉に嬉しくなってしまう
「ありがとうな! ユウマ」
「では 準備を済ませ 現在地の確認と帝都への帰還を目的に動くぞ!」リエナが言う
「「了解!」」
海の近くにあった小屋から出発する一行
幸いにも馬車が通った跡の道を見つけ その道を追いかけて歩く
自分たちがどれくらい流されたのか 分からないため ただひたすらに歩くしかなかった・・・
ゼオン「俺たちどれくらい流されたんでしょうか?」
リエナ「分からぬ だが 追っ手が来ないということなら帝国領ではないのかもしれん」
ユウマ「つまり 諸外国にいるってことですね」
リエナ「その可能性が高い どの種族の国か分かればいいが・・・」
しばらく 歩いていると
馬のヒヒーン!という大きな声とワー!ワー!と人が騒いでいる声が聞こえ始める
行ってみようと3人は首をコクッと縦に振る
騒ぎの音の方へ近づくと そこには要人を運ぶような馬車とそれを護る一団が盗賊らしき者たちと攻防を繰り広げているところだった
「おら!死にたくなかった中にいる女を出せ!」
「そうだ!俺はもう我慢できねー!」
盗賊団は馬車の中の女性が目当てのようだ
「くっ!誰が貴様のような下劣な奴に渡すものか!」
「なんとしてもお守りするのだ! 命に代えても!」
守護する一団は馬車を背にして盗賊団を牽制していた
すると 馬車の扉が開き 1人の女性が現れる
長く尖った耳をした高貴な衣装を来たエルフ美女だった
「もうお止めになってください 私たちは争いしにここを通った訳ではありません」
エルフの美女は争いを止めるように発言するが
「うひょー! 聞いてた通り えらいべっぴんで胸もデケー! 早くヤリてーぜ!」
「バカ野郎!おれが先に犯すんだよ!」
盗賊団は話しを聞かず ただ目の前の美女を辱しめることだけを考えていた
ジリジリと盗賊団は近づく エルフの女性を守護する一団も万事休すか思われたその時・・・
盗賊の1人の顔に飛び膝蹴りが炸裂する
「へぶっ!」と吹き飛び 倒れる
「なんだ?」と振り向くと数名がリエナの剣技でズザー!と倒れる
急に現れた2人組に盗賊団も守護する一団も驚く
「なんだお前ら?」盗賊が聞く
リエナ「なに・・・通りすがりの皇帝一行だ!」
リエナとゼオンは背中を合わせ 戦闘態勢に入る
「構わねー!殺してしまえ!」盗賊団が一斉に襲いかかる
リエナとゼオンは飛び出し それぞれ盗賊を相手にする
ゼオンは回し蹴りで1人を吹き飛ばし 拳のラッシュで数人の顔面にお見舞いする ひるんだところで足払いをして転ばせる
リエナは踊るように回転しながら剣を振り 傷は浅いが立てなくなるほど切り刻み盗賊 数人を片付ける
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あっという間に数が少なくなる盗賊団
そんな中 1人の盗賊がやられたふりをして馬車に近づき
エルフの女性を人質に取ろうと立ち上がり 襲いかかる
リエナも守護する一団も間に合わないと思ったが、
掌と脚に炎を集中させ ジェット噴射のように放つと
エルフの女性をお姫様抱っこして救出しているゼオンの姿があった
「なに!?」と驚く盗賊
駆けつけた守護隊に斬られて絶命する
「・・・・・・・・」エルフの女性は顔を赤くしてゼオンを見つめる
「卑劣な奴らだ!少し痛めつける必要があるな!」
リエナは剣を構え
「玉座剣の肆 『一文字斬り』!!」
前方にいた盗賊をすり抜けた後 盗賊たちは一という形の斬撃を喰らい 薙ぎ払われる
「ギャー!」と声をあげて倒れる
全ての盗賊を倒し 一団を救うことに成功したゼオンたち
駆けつけた衛兵が女性に声をかける
「お怪我はありませんか? 女王陛下」
ん!? 女王!? まさかと思い エルフの女性を見る
「はい 大丈夫です。このお方が助けてくださいましたから・・・」
もの柔らかい口調のエルフ
「申し遅れました。私 エルフ国 イルフィシア王国 女王 『セシリア』と申します。」
丁寧に挨拶してくれる
ということは・・・ 兜を被っていた衛兵が外すとみんな耳が長いエルフ族であることが分かる
リエナ「やはり セシリア殿だったか」
リエナは気づいていたみたいだった
セシリア「ああ 良かった!生きていたのね リエナ様!」
2人は面識があるらしい
セシリア「ひとまず ここから移動しましょう
事情の説明は宮殿にて・・・
彼らは私たちを救ってくれた方々です!
無下にはできません! 丁重に本国に迎え入れなさい!」
衛兵「はっ!」
なんと道中にエルフの女王を助けてしまったゼオンたち
ユウマもようやく駆けつける
先を急ぎたいリエナたちだったが、帝国の現状を知るためにエルフの国へ向かうことに・・・




