第36話 争奪戦 ラウンド2
シルヴィアはため息をついていた・・・
護衛すべき主君に振り回されていたからだ
最近 なにやら焦りか苛立ちなのか廊下をわざと足音を立てて早歩きするようになり すれ違う者を怖がらせていた
シルヴィアは幼い頃からリエナを守るように教育され、忠誠心は誰より厚く 誰よりも彼女のことを理解していた
彼女の暴れん坊な性格にも振り回されるが、自分が歯止めを効かせていた
だから今回のいつもより冷静さが少なく 普通ではない状態も理解していた 「あの子ね」 原因は1つしかない・・・
リエナは宮殿を抜け 帝都のある場所へ向かっていた
シルヴィア「リエナ様 お待ちを・・・どこへ行くのです?」
自分の護衛で1番信頼できる家臣が聞く
リエナ「・・・デミナスの兵舎だ」
冷静でない時の低い声のトーンで話したことからシルヴィアは理解する
シルヴィア「あの子ならば使いを送り 鍛練場まで来るように言いつけを申せばよいかと 皇帝自ら赴くことはないかと・・・」
それがいつも通りだった あの子から来るようにしていたが、今回は自分から行き始める そんな行動は一度もしていなかったのに
リエナ「良い!たまには我から会いに行く!!」
力強く言うが、皇帝という立場なのに護衛を置いていく勢いで早歩きをするのはどうかとシルヴィアは思う
そして 目的の場所に着く
『☆デミナスのお家☆』と書かれた看板の兵舎に
リエナはまるで決戦の地に行くようなオーラを放ち ゆっくりと玄関の扉まで近づく
シルヴィア「お待ちを 私がノックします」
主君にさせる訳にはいかないので自分が扉をノックする
コンコンと・・・
ガチャと扉が開く
開けたのは副隊長を務めるダンピール族の女だった
フィーネ「これは皇帝陛下とシルヴィア様ではありませんか」
突然の来訪で驚くと思ったが、冷静に対応してみせる
フィーネ「わざわざ我が隊へご足労いただき感謝いたします。 それで何かご用件かと・・・」
シルヴィア「実は・・・」
リエナ「ゼオンを出せ!」
家臣の前に皇帝自ら発言する しかも直球の一言を
リエナ「何をしている?皇帝命令だ!さっさとゼオンを出せ! 早く!!」
言葉のマウントをとり 言うことを聞かせようとするが
フィーネ「・・・すみませんが、ゼオンは今 お客様の相手をしています」
リエナ「なに? 我に出直せと申すか?」
不機嫌になる皇帝
「我が来たのだ! その客に帰ってもらおう!」
フィーネ「皇帝陛下 さすがにそれは横暴です
それにお客様はミウ様です まだ子供ですのでご容赦を・・・」
リエナ「帝国五聖の? なぜ来て・・・い・・・る?」
言葉の途中に信じられない光景を見る
それはフィーネの後ろの廊下を下着姿で歩く露出狂が見えたからだ
副隊長も気付き、「リザ!!また下着姿でうろつくなと言ったでしょう」フィーネは怒る
リザ「えー いいでしょう 後輩君は部屋でミウ様の相手してるから出てこないから誰も見て・・・・・・」
リザは気付く フィーネが皇帝陛下とシルヴィア様と玄関で話しているのを・・・
リザ「やばっ」 シュッと消えて自分の部屋に戻る
フィーネは頭を抱える
シルヴィアとリエナは頬を赤く染め
リエナ「待て・・・ またと言ったな貴様?」
フィーネに質問する
フィーネ「申し訳ございません!リザにはきちんと教育しておくので!!」
深く頭を下げる
リエナ「やはり ゼオンはここに居てはダメだ
連れていく・・・」
低い声で発し 兵舎の中へ入る
シルヴィア「リ リエナ様!?勝手に・・・」
?「勝手に入られては困ります 皇帝陛下。」
腕を組み 待ち構えていたのは隊長だった
リエナ「貴様に用はない どけ」
冷たい表情で答える
イングリット「ここは私の管轄です お話があるのであればこちらのロビーで・・・皆もいるので会ってください」
それは挑発するような目で訴えかけてきた
リエナ「いいだろう・・・全員に皇帝から命令があると言って集めろ! さっきの露出狂の獣人もだ!」
イングリット「かしこまりました・・・」
ニヤリと笑う
ゼオン以外の女性隊員がロビーに集められ 隊長の後ろに整列する
イングリットはソファに背筋を伸ばし 腰かけ
反対側のソファにはリエナが座り シルヴィアが横に立ている
リエナ「さっそくだが ゼオンは今日でデミナスを除隊させるこれは決定事項だ 今までご苦労であった
これからは我の近衛兵に昇進させるから安心せよ・・・」
笑顔で脅すようなトーンで話す皇帝陛下
!? 隊員 全員が驚く
シルヴィア「そんなこと決まってないのに・・・」
心の中で主君へツッコミをする
イングリット「私は一度も話も聞いていないし、許可していない!」
リエナ「おや? 先日 話したはずだが まさか我が嘘をついたと申すか?」
イングリット「では 書類を! どうせ無いでしょうが
私の部下に勝手に手を出さないで頂きたい!」
ドスの効いた声で牽制する
リエナ「聞けば、ゼオンは勇者になりたいそうだ
ここに居てはなれぬ 昇進させて夢を叶えさせてやるのが上に立つ者の役目ではないか?」
イングリット「だからこそ ここで鍛えるべきかと・・・ まだまだ心は少年です! 急に宮殿に仕えるようになってはプレッシャーで心が持ちませんよ 我らと共に深めた絆を失っては孤独感を覚えてしまう・・・」
リエナ「アイツはそこまで弱くはない!
いい加減に命令に従え! ゼオンはここに居てはいい人材ではない!!五聖に加えてシルヴィアと共に我の下に来るべき男だ!」
シルヴィアは冷静を装おっているが、頭の中では代々伝わる一族の禁書 いわゆるエロ本のシーンをゼオンと再現している妄想をしていた
「あの子ならまた・・・」
イングリット「いい加減はそちらだよ
私欲と権力で私たちの・・・ゼオンを奪おうとするのは皇帝として恥ずべき行為だと思うが・・・」
デミナス隊員がうんうんと頷く
リエナ「何を言う いつから貴様らのものになった?
どうなんだ 亜人ども」
隊員を睨み付ける
ステラ「・・・ゼオンは・・・ツガイ・・・
だから・・・駄目・・・」
ステラが我慢できず 発言する
出たな!メストカゲ!リエナは心の中で罵倒する
リザ「皇帝陛下 悪いけど後輩君は渡せません・・・」
貴様は・・・さっきの・・・
ギロ!と鋭く睨む
レティシア「失礼しますが、皇帝陛下のものでもありませんよね? ゼオンは隊長の言う通りまだ我々と研鑽を続けた方がいいかと」
ハーフエルフはまともに見える
フィーネ「そうです 彼にはまだ教えることがたくさんありますから」
この女は何を教えるつもりだ
ヴィヴィアン「ど、どうか連れて行かないでください!
ゼオンちゃんいなくなったら寂しいです・・・」
鬼族の女はもじもじしながら言うが 顔が赤い
危険だな・・・
イングリット「あまり隊員を睨まないでいただきたい
前回も言いましたが、部下への侮辱は許せません!」
リエナ「ほう なんだやるか? ならば貴様ら全員でかかってくるがいい 屈服するまでぶちのめせば 言うことを聞くかもな!」
皇帝とは思えない略奪者の考えにデミナス一同 怯む
相手は剣帝 歴代最強の皇帝・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「もう!お姉ちゃんたち うるさいよ!」沈黙を破ったのは帝国五聖のミウだった
ゼオン「こら! ミウ 部屋から出るな!って言われてた・・・・・・だろ・・・」
物凄い空気がひしひしと伝わる なにこの修羅場
リエナ「おお!ゼオン!我の隣に座れ!
お前に軟禁を命令する上司より我の命令に従え!」
笑顔だが、口調が怖い
イングリット「いいや デミナスの列に並べ!
軟禁などしてません! どこかの皇帝が暴れないためですよ!」
隊長 いつになく怖ぇー!
両者の間で バチバチバチバチバチ!と火花を散らしていた
ミウ「何を言ってもゼオ兄ぃは わたしのゼオ兄ぃだよ!
ここは危ないから教会に行こう♪」
「待て!!!」と全員が声をあげて止める
第3の勢力が現れて 皆 必死になる
「しまった!ミウ様とルピス殿がいた!!」イングリットは思い込む
デミナスに入る前の居場所 帰る場所があることを
「まずい!報告にあったが見落としていた!
このまま泥沼が続けば 教会の孤児院に逃げられる!!」
リエナも焦る
2人がすっごく考えこんでいるのを見て
ゼオン「あのー・・・俺はどこかに消えないので安心してくださいよ」となだめる
ゼオン「でも これだけは言わせてください
俺の目指す勇者って無所属ですよね? どこどこの勇者って聞いたことないんで 将来はフリーですからね!」
・・・・・・・・・・・・・・・
「ふふふ」 「くすくす」 「んふふ」とみんな微笑む
「そうだ ゼオンには夢があった 我はそれをないがしろにしようとしていた自分は馬鹿だった・・・」リエナは思い直す
「勝手に自分たちで盛り上がってしまった本人の気持ちを考えずに決めようしていたゼオンはなりたい者があったんだ・・・」イングリットも考えを改める
リエナ「すまなかった・・・熱くなり過ぎた
今日はもう引き上げるとする」
イングリット「こちらもそうです・・・我々は誰かさんのヒートアップを受けていたのかもしれません」
リエナ「ふふふ そのようだ・・・」
ゼオン「ん?」
リエナ「では・・・大変失礼をした
デミナスの活躍に期待するよ」
イングリット「陛下もご活躍をお祈りいたします」
いつの間にか 険悪なムードがなくなり 穏やかになった急展開にゼオンは右に左に顔を動かし キョロキョロする
「なに?どうゆうこと? 俺 なにかした?」
思っていると・・・
ミウ「さっすがゼオ兄ぃ!!」とニヒヒと笑う
隊員たちも穏やかな表情で見つめる
ゼオン1人だけ?マークがついたままだった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜 それぞれ違う場所で2人は今日の事は反省していた
今日の事は・・・ そう 今日の事だけは・・・
ゼオン「将来はフリーですから」
リエナとイングリットは彼の言葉を思い出す
「「夢の勇者になった後は自由じゃないか!!」」
2人は同じ考えにたどり着く・・・
そうゼオンの夢が叶ったら 彼は自由!
再び デミナスに戻す算段を考える隊長
勇者だから宮殿に住まわせ 自分の下に取り込もうと考える皇帝
両者 怪しい笑みを浮かべ 未来を見据えて 火花がまた散る・・・
ある意味 バトルものになりました・・・
書いていくうちに あれ? これ終わらねー?ってなりました
ラウンド3はあるのか? 書けるのか?
まだ分かりませんが、引き続き頑張ります!!




