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お料理探偵、エミリカ!!  作者: コーノ・コーイチ
第二章 2皿目~いただきますの前に大切なこと~
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またおあいしましょう



 それから、ほどなくして救急車が着き、月は風や雪の付き添いのもと、病院へと救急搬送されていった。



 病院では月の症状の原因を分かり兼ねていたが、風と雪が宇野の証言をもとに説明をすると、すぐに検査が行われた。


 診断結果はカプノサイトファーガ感染症であり、宇野の予想は当たっていた。


 検査が早く行われたおかげで、治療は迅速に行われ、一週間の入院が必要となったが、月の症状は緩やかに回復へと向かった。


 原因はやはり、ペットからの感染であった。


 そもそも、この病原菌、カプノサイトファーガ属菌は犬や猫の口に常に存在しており、感染するのは稀である。


 もし感染したとしても、カプノサイトファーガ感染症は、そこまで症状の強い病気ではなく、多くは軽い症状で自然に治癒するものである。


 しかし、月は期末試験の無理な勉強がたたり、免疫力の低下、そこにペットである犬のチョー助と触れ合ったその後、洗わないままの手で食事をとった事から感染したのだと医師から判断された。


 結果として、宇野の推測は正しく、そのおかげで、月の治療は速やかに行われたと言える。




 そして、月が退院した翌日。彼女は元気に登校し、料理部の部活に参加した。




 放課後、調理室。いつものように料理部による調理が行われている。

 今日の部活での調理は月の復帰直後もあり、簡単に『野菜炒め』を行っていた。


 料理のかたわら、部員の一人であるナスビが話す。


「しっかし、えらい事態やったんやろ?ツッキー」

「・・・・・・九死に一生」


 頷き、ぽつりと言う月。彼女の血色は良く、長い前髪で目元は分からないが、明るい表情をしているのは誰しもが感じ取れた。今は手際よく野菜を炒めている。


 その話題に、調味料作りをしていたピノも入ってくる。


「聞いた話だと、月ちゃんの命の危機だったんでしょ?エミリカ部長」

「ええ、そうよ!月が病院に行った時には、ええと、なんだっけ?はい・・・なんとか症とかいうやつ」


「・・・・・・敗血症」


「そう、それよ!白血球が少なくなってて、あと少し発見が遅かったら危なかったかもなんですって!」

「んで、それを助けたんが、我らが何でも屋、いうワケか。お手柄やんか!」


 言われ、流しで使い終わった調理器具を洗っている宇野が涼しく言う。


「特に何もしていないさ。ただ、暇つぶしに月の病気の原因が感染症なんじゃないかって、可能性の話をしただけだ」

「でも、最後までいてくれたじゃないの。それに、帰るの遅くなって、宇野一弘のお母さん、お腹空をかせながら半べそで、あなたが帰って来るのを待ってたって聞いたわよ?」


「・・・誰から聞いたんだ?エミリカ」

「グッドマンよ。それと、宇野一弘がまた人助けをしたんだって、あなたのお母さん、すごく喜んで、ママ友たちに話し回ってるって」

「あいつらッ、ほんと・・・」


「・・・・・・一生、恩義」


 月が宇野の横にピタリとくっつき、調理器具洗いを手伝う。


「いや、そういうの、良いから。今回は依頼じゃないし、ただの興味本位でだな」

「素直やないな、何でも屋。そんなんやと、いつまでも中二病は治らんで」


「・・・それを蒸し返すな」

「薬より養生、って言うやろ?」


「あ、さすがナスビ先輩、お上手です!」

「せやろ!」

「・・・・・・身に染みる」

「そうか~?」


 月がウンウンと頷くすぐ横で、首を捻る宇野、その間にエミリカが割って入る。

「はい!野菜炒め完成してるわよ!というか二人とも近すぎよッ!月はまだ病み上がりなんだから、変な病気が伝染ったらどうするの?」

「ひ、人を病原菌みたいに言うなよ!?」


「そんなことより、ほら、できたてなんだから味見して!あと、宇野一弘はタッパーに入れて持って帰るんでしょ!」

「あ、ああ、そうだが、別に急いではないぞ?」


「料理は熱いうちに食え!と言うでしょ!」

「・・・・・・鉄は熱いうちに打て、が正解」


「あ、月ちゃん、ナイスツッコミだね」

「そんなことはいいから、ほら、ピノ、盛り付けお願い!」


「はいっ!と、その前に一口味見を」

「手を洗ってからでしょ!料理前に手を洗ったからと言って油断はできないものよ!今までなんの話を聞いていたのかしら?」


「は、はいっ!そうでした!」

「ピノちん、手はモチロンやけど、足も洗うんやで~」


「な、なんで足もですか!?ナスビさん!」

「そらつまみ食いなんて悪事を働いたなら、足を洗うもんや~」


「は、はぁ・・・」

「はいはい、そういうのはいいから、教訓を活かしなさい!ほらほら、みんなもよ!」


 ピリピリとしたエミリカに急かされ、イソイソと動き出す料理部。

 ナスビは、やれやれと嘆息する。


「エミリンてば、変にむくれてもうて、恋の病に薬なし、やな。な、ユキユキ!」


 話を振られたユキユキは、静かに料理で出たゴミの片付けをしていた。

 彼女の顔に元気はなく、小声で「そうですねぇ」と、返事を返す。


「なんや、ユキユキ、元気あらへんな?どないしたん?話にも入ってこんで」

「いえ、別に」


 ユキユキはゴミ袋を持って、ドアを開き、


「ユキユキはあの場で、何もできなかった、ただ騒がしくしてただけだったので・・・そんなのが、入れるワケないです」

 消え入るようなか細い声で言い、調理室を出ていった。



 ナスビは首を傾げ、その背中を見送った。




※はい、エミリカよ!!


 ということで、今回の題名にある『いただきますの前に大事なこと』は

 手を洗うでした!!


 当然よね~、とは思うでしょうけど、しっかり洗えてるか?

 と言われると難しいところよね。

 習慣で手洗いしていると、無意識で洗っている時があると思うの。

 ウチは後で、指や爪の間とか洗ったっけ?ってなることがあるわ。


 そういう時は、手洗いの歌とか動画やラジオCMで

 色々とあるから、歌いながらやってみるのもいいかもね!

 

 それと、親指や手首に多く雑菌が残ってるらしいの!

 気を付けましょう!!


 しっかりと、意識してキレイに洗って、美味しく健康的な

 食事を楽しみましょうね!!

 


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