ごゆうはんはいかがですか?
キッチンに立つエミリカ、彼女は制服にエプロン姿であった。他の面々は後ろから様子を見ている。
「さて、少し冷蔵庫を覗いたけれど、病人がいることを踏まえて、ここは簡単に『おじや』でいこうと思うの。消化や栄養を考慮してね」
炊飯器を見れば既にごはんは炊けていた。
「本来はお鍋でお米を炊くところからが良いんだけど、時間短縮で炊けたお米を使用するわね。
まず、病人には柔らかめに『七分粥』でいこうと思うの。
炊けたお米を1として、水は3の割合ね。この時、お水に鶏がらスープの素を混ぜるの。
量は・・・そうね、お米のお茶碗一杯分に対し小さじ1杯半くらいかしらね。
あと、塩を少々、あれば生姜も入れるといいわね。すりおろすのが面倒ならチューブで十分よ」
それらを鍋に入れて、沸騰させる。
「十分に沸騰すれば中火にして、ごはんをほぐすの。
それから沸騰した鍋に溶き卵を回し入れる。
卵がふわふわになったら火を止めるの。
それでお茶碗に移して、食べる前に刻みのりと、刻みネギを乗せたら完成よ!」
手慣れた手つきであっという間に完成させ、それを見ていた宇野とユキユキと雪は「おぉ~」と、感嘆の声をあげる。
「ま、こんなもんかしらね。でもこれは月用に作ったものだから、置いとくとして、風先輩やせっちゃん用にはもうちょっと味の濃くて凝った『とり雑炊』を作るわね」
用意するものは、鶏肉(モモ肉とムネ肉のコマ切れがいいかも)しめじ、卵、
塩、鶏がらスープの素、出汁醤油(なければ和風出汁の素と醤油)
生姜
あとはお好みの野菜(ここでは白菜と大根、長ネギを使用)
「手順は、最初にお野菜を薄くめの短冊切りか、いちょう切りにするの。
鶏肉も一口程度にカットね。それができたら野菜をお鍋に入れて、少量のお水で軽く蒸すのよ。
サラダ油で炒めれば香りが良くていいんだけど、素材を活かすなら蒸す方が良いの。
それは何故かしら?ユキユキ」
「え、えと、その方が柔らかくなるから、とかですかぁ?あ、あと、甘くなるんでしたっけ?」
「うん、やや正解ね。けど、それだと足りないわ、知識半分というところよ」
「あぅ~、勉強不足でしたぁ・・・」
「じゃあ、代わりに宇野一弘、何かしら?」
「・・・・・・確か、葉物野菜とかは蒸した方が栄養価は逃げない・・・だったか?高温で長時間加熱すると、ビタミンが崩れるとか聞いたことがある」
「そう、正解ね。おじやとか雑炊って消化の良い療養食でもあるの。それなら栄養価も考慮するべきよね」
「なるほど、病人の栄養を考えてのことか。風邪にネギは効くと言うし、白菜や大根にはビタミンが多く含まれているからだな」
「ええ、そうよ。食欲があまりないなら『おじや』を、お腹が空いてきたなら味の濃い『とり雑炊』を食べてもらってね、せっちゃん」
「はいよ、私が全部食べても、また作れるようにメモしておく!」
「ふふっ、そうね。一応、多めに作っておくけどね。
で、野菜を軽く蒸せたら、しめじと鶏肉を入れて再度蒸すの。
二度蒸すのが面倒なら、一緒に入れてもいいわ。
ただ、野菜を鍋の底に敷いてからの、きのこ、そしてお肉の順よ。
なんでか分かるわよね?ユキユキ」
「はい!火の通りやすさの順番ですぅ」
「そ、根菜、果野菜、葉物野菜、きのこ類、お肉の順ね。
お肉も蒸すと柔らかくてジューシーにできるわ。タンパク質や鉄分も風邪を治すのに必要なの」
「免疫力ぅ・・・ですかぁ?」
「正解よ。30ポイント追加ね」
「やったですぅ!」
「え、なんのポイントなんだ?」
「で次ね、軽く蒸したら、お水と調味料のお塩、鶏がらスープの素、出汁醤油を足して、生姜チューブで味を調整してね。
この時、注意するのは、水や調味料がお野菜やお肉に浸かりきらない程度かしらね。
でね、軽く沸騰したら、ごはんを混ぜほぐすの。
そしてお鍋が煮立ったら溶き卵を入れて、ふわっと溶き卵が浮き上がれば完成よ!」
「わあ、いい匂い。けど、調味料を足してからの煮込む時間が短いね?そんなんでいいの?」
「ええ、さっき宇野一弘が言ったでしょう?長時間高温で熱すると栄養素が逃げるの。
特にビタミンやミネラルは水に溶けやすくってね。
だから水分は少なめで、すぐに沸騰させられる量がベストなのよ」
「へえ、色々と考えられているのね。ただの食事なのに」
「しっかり味をお米に染みこませたいなら、炊けたお米を一度洗ってから鍋に入れるのも良いわよ!洗った方がお米のとろみが抜けて味が染みやすく、サラサラと食べやすくなるの」
「はぁ~、勉強になるわ~。私が風邪ひいたら、月か風姉に作ってもらお!」
「ふふっ、そうね。ところで、医食同源という言葉を知っているかしら?」
「へ?いしょく?・・・へ?知ってる?」
「ゆ、ユキユキに話を振られても・・・ええとぉ、たしか、栄養は大事って話ですよねぇ?」
「3ポイント!」
「とほほですぅ~」
「一度ちゃんと話したはずよ?じゃあ、宇野一弘、答えてみなさい」
「あ?まあ、なんだ。食事の栄養は、医療や薬と同様に病気を治す、または予防という、本来の根源を同じくするもの、だという意味だな」
「250ポイント!」
「そんなにッ!?お姉さま、ヒイキですぅ~」
「ヒイキじゃないわよ、完璧だもの。ちゃんと理解しないと、食事の本質を理解できないわ。いい?料理と言うのはお薬と同じか、それ以上に重要なの。ただ美味しく作るだけじゃなく、食べてもらう人の健康にとって、良い食材や調理法を選ぶことが大事。それこそが、料理の神髄なのよ、分かった?」
「はいぃ~。お姉さまの言う通りですぅ~。食事は体を作るために、ですねぇ」
「医食同源か、なるほどな。健康のための料理とは、随分と奥が深いものだ」
「そうなのよ。二人とも、ちゃんと言葉の意味を咀嚼したかしらね。それじゃあ、あと軽く出汁巻き卵でも作ろうかしら。どう?せっちゃん」
「ほんと?さすがエミリカ!嬉しいな。お願いするね!けど、月ったら遅いなぁ。せっかくのご飯が冷めちゃうじゃない。ちょっと、味見していい?」
「とろ火で置いてるからどうぞ、と言いたいけれども、手は洗ったのかしら?ごはん前は手を洗う。鉄則よ!医食同源でも、手に汚れがついていたら、お薬にバイキンを付けて飲むようなものなんだから」
「は~い。手洗いついでにちょっと、風姉や月の様子を見てくるね」
言って、廊下に出る雪。彼女の階段を上る音が壁伝いにトン、トン、トン、とリズミカルに響く。
しかし、数秒してすぐに階段をドタドタドタと駆け下りてくる。
そして、キッチンのドアが強く開かれ、何事かと、エミリカ、宇野、ユキユキの三人はドアの向こうに立つ雪を見る。
雪は、血相を変えて立っていた。
※エミリカよ!!
今回はお鍋で野菜をつくったけれども、これは時短でのやり方ね。
水分量が少ないとお鍋がこげることもあるし、本来は蒸し器や蒸籠を
使った方がいいんだけれども、正直めんどうなのよね。
そこで紹介したいのが、この『タジン鍋』よ。
このお鍋なら水分少なく蒸せるし、旨みも栄養も逃さないの!
蒸料理だけでなく、煮物やそれこそ雑炊にもうってつけね!!
油も必要ないし、カロリーも控えめで健康的よ!!
あとは『無水鍋』も紹介したいわね!!
最近は無水料理なんてよく耳にすると思うけど、
これも旨みをギュッと詰め込んだ料理ができるの!
無水だから味も薄くなりにくいし、素材そのままを
活かした料理ができるわ!!まさに、凝縮ね!!
何より、ビタミンやミネラルは水に溶けやすいから、
無水鍋はそれらを溶かさず、栄養素を多くいただけるのよ!!
どう?宇野一弘!!今ならこのお鍋、お買い得よ!!
『あんたはどこの回し者だ・・・』




