青い鳥、金の鳥、虹色の鳥(中編)
3年前は言えなかった。でも、今なら言える。
────あたしは、ノノカが羨ましいよ。
大人っぽくってかっこよくって、でもでしゃばったりしない。それに、あたしよりいろんなことをいっぱいたくさん知っている。あたしみたいな出来そこないじゃなくて、ホントになんでもできる。「人付き合いは苦手だよ」って言ってたけど、ノノカは友達たくさんいる。
もしあたしがノノカだったら、あんな目に遭わないんだろうな。
「ナナカってネクラでうざい」
「いっつも暗い顔で被害者アピール?」
「ほんとキモい、死ね」
「何してるの?この子泣いてるでしょ」
「はあ?うちらのことに部外者が口出すなよ」
「部外者だろうとなんだろうと、あなた達のしてることはいじめだよ。いかなる理由があっても、いじめは加害者が悪いの」
「なにそれ、いい子ちゃんぶって」
「じゃあ、あなた達は悪い子ちゃんだね。いい子と悪い子、どっちに世間は味方するか、わかるよね?」
「うるさい!黙れ!」
いじめっ子は、リコーダーを、大きく振りかぶる。
パシッ
「今、殴るのに使ったリコーダー、あなたのよね。壊れたら困るのはあなたじゃない?」
「…………!」
「それに、今、私に対して攻撃したよね。じゃあ、私も反撃させてもらうから」
いじめっ子に対して、ノノカは3対1で正々堂々立ち向かって、正々堂々勝利した。
ノノカは、あたしにとってのヒーローなんだ
それに比べて…………
あたしは、ずるい。
ノノカの影でにこにこしていればいい、ノノカを盾にして自分を守ればいい、って思ってる。ノノカを盾にしてにこにこしていれば、あのときみたいにうざがられないし攻撃されないから。
ノノカにこのことを話そうかとも考えた。でも、こんな汚れたあたしを知って、ノノカに絶望されたら…………。そう思うと、どうしても口が動かなかった。
だから、あたしはずるいと知ってて、今日もノノカの影でニセモノの笑顔を貼り付けている。
結局、あたしは、ずるいんだ。