青い鳥、金の鳥、虹色の鳥(前編)
「ねえ、探すなら近くにいる幸せの青い鳥と遠くにいる超幸せの金の鳥、どっちがいい?」
ある日、唐突にナナカに聞いてみた。
「もっちろん!金の鳥だよ!」
ナナカは笑って答えた。
「へえ、なんで?」
「えー!超幸せってことは幸せを超えちゃうんでしょ!?幸せを超えるものって何なのか見てみたくない!?」
なるほど。
「ねえねえ、ノノカは?」
ナナカがどこか楽しそうに私の顔を覗き込む。
「私、かぁ……」
私は、青い鳥がいいと思ってた。
土地勘のない遠くの場所で探すよりは、近いところで探した方が危険が少ないし、見つかる可能性も高い。だから、青い鳥の方がいい。
でも、幸せの先にあるものってなんだろう。そうやって考えたら、ナナカの言うことは間違ってないんじゃないかって思った。
「うーん、決まらないかな」
「んえ~、ノノカずる~い」
ナナカは、小鳥みたいに口を尖らせて抗議する。
でも、私は、そんなことしても許されるナナカが羨ましい。ナナカは可愛い。だから、少しくらい可愛い子ぶってもナナカなら「そういう子だから」で許してもらえる。それに比べて、私は────。
ナナカみたいな可愛い人しかできないことが、たっくさんあるんだよ。私には死んでもできないことが。
そうやって言ったら、ナナカは怒るかな。そんなことない、ノノカはかっこいいよ、って。
ナナカには、無邪気、純真無垢、そういった言葉が似合う。泥の底みたいな苦しみを知らない、綺麗で、真っ白で、可愛いナナカ。
────私は、そんなナナカが羨ましい。