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A:美少女ルート
杉井さんは美人だった。可愛かった。好みだった。
当然、選択肢は彼女一筋しか僕にはなかった。
彼女の手を取って言った。
「好きです。付き合ってください」
と。
そして付き合うことになった。
松本とはもともと疎遠だったが、これがきっかけでもっと疎遠になった。
杉井さんは人付き合いも良く、例え僕のような彼氏だったとしても、何故選んだのか、何て答えにくい質問も無難に受け答えをしていた。
入試の時に良くしたのがきっかけだとか言っていた。
男子からの悪意の視線はあって当然だが、そのヘイトも和らいでいった。
言葉巧みに友人たちに僕の評価を上げていったからか、何故か何もしなくても皆を納得させていく。素晴らしい手並みだった。
デートにしても、お金がないからカッコよくは出来ないと思っていたが、安物でも組み合わせでコーディネイトされて見栄え良くされる。
すごく助かる。
だけど、なんでだろうか。
二人きりだと当りが強いというか、尻に敷こうとすると言うか。
美少女と付き合うための納税義務は自由ということなんだろうか。
そんなことを思うのだった。