ピンチにヒーロー
ユートの仲間フィオナは、冒険者や村人達と協力し、女王アリと抗戦していた。
しかし……。
やはり、決定打が打てない。
ユートが錬金で作った人工生命体も加勢してくれるが、オリジナルには戦闘力で遠く及ばない。
削っても削っても、敵が弱まってる感じがしない。
それに……。
「はぁ……! はぁ……! はぁ……!」
フィオナの体力が徐々に削られていき、ついに限界を迎えようとしてる。
キリコが治癒をかけてはくれる。
しかしキリコの治癒は怪我をなおすものであって、体力までは快復できない。
「……ごめん、なさい……」
「いや、ありがとう。もう十分だ」
キリコも限界を迎えている。
エルフのえるるも、疲れているのがわかる。
正確無比な射撃が得意なカノジョだが、どんどんと矢が当たらなくなって言ってる。
つまり、みんな疲れてきているのだ。
このままではまずい……。
「フィオナさん!」
「ギシャァアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
女王アリが巨大な足を振り上げて、フィオナめがけて振り下ろす。
フィオナは剣で受け止めようとするが……。
ばきぃい!
「くそっ……! 最後の剣が……!」
武器を失い、さらに吹っ飛ばされるフィオナ。
地面に転がっているそこへ、女王アリがやってくる。
「…………」
ここで終わるのだろう。フィオナは目を閉じて諦める。
二周目の世界に来て、忙しくも楽しい日々を送った。
ユートと恋人になった。
勇者としての使命がなくなり、普通の男女として過ごせた。
そんな平凡な日常が送れて、もう十分すぎる幸せだった。
ああ、でも……願わくば。
「もっと……ずっと……死ぬまで、ユートのそばにいたかったな……」
一緒に年を取って、一緒に死ねたら……。
女王アリが迫ってくる。
「……ごめん、ユート」
アリが足を振り下ろした、そのときだ。 ざんっ……!
何かが切断される音と、遠くで何かが落ちた音がした。
恐る恐る目を開く。
そして……笑った。
「ユート……」
そこには、冒険者ディアブロの姿をした、勇者ユートがいた。
「悪い、待たせた」
【★☆新連載スタート!】
先日の短編が好評のため、新連載はじめました!
タイトルは――
『伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません』
ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://ncode.syosetu.com/n6008ia/




