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救援



 ユートの仲間フィオナは村に襲撃しているボスと戦っている。

 ボス……女王アリはかなりの強敵だ。


 鋼鉄の体に、強酸毒を吐き出す。さらに厄介なのは……。


「くそ! 女王がまた子を産んだ! えるる!」


 女王の背中にはいくつもの【卵】がくっついてる。

 戦闘の最中であっても、敵は子を産んで、しかもそれが恐ろしい速度で成長する。


 ボスとの戦いに集中したいのだが、雑魚である子供を無限に産み続ける。


「ま、まにあわないですよぉう!」


 その結果、えるるは子供をたおす方に注力せざるを得なく、フィオナはひとりでボスを相手取る必要があった。


「手が足りない……くそ!」


 冒険者達は村の中にひっこんでいる。

 ボス+雑魚の処理という、ふたつのことを今彼女ら二人がやらないといけない。


 ユートはまだ到着していない。どうにか持たせないといけないのだが……。


『ギシャアアアアアアアアアア!』

「くっ……!」


 フィオナはボスの吐いた強酸毒を片腕に受ける。

 じゅう……と焼ける音がした。


「フィオナさん!」

「私に構うな! 雑魚を消せ!」

「でも……腕が……」

「問題ない!」


 ……本当は痛くて泣きそうだ。でもフィオナは泣かない。

 ちらりと背後を見やる。あの村には、かつての自分がいる。


 泣き虫で、ナナミやユートにすがってばかりだった、弱いソフィがいる。

 今この場に居るフィオナは、もうソフィとはまったく異なる存在となった。


 そうだ……。泣いてはいられない。うずくまってはいられない。

 なぜなら自分は、勇者ユートの仲間だから。


「でりゃぁあああああああ!」


 片腕で剣を振る。

 だが両手で握っていないため速度も威力も弱い。


 かつーん! と剣が手から弾かれる。


「しま……」

『ぎしゃしゃぁあああああああああああああああ!』


 女王アリの前足がフィオナの腹部を強打する。

 彼女は凄い勢いで背後に吹っ飛ばされた。


 背中をしたたかに打ち……起き上がれない状態である。


「くそ……ここまで……か……」


 諦めかけたそのときだった。

 シュンッ、と体の痛みが一瞬で消えたのである。


「!?」

「フィオナさん!」


 ぶんっ、と剣が投げつけられる。

 フィオナはそれを受け取って、両手で剣を握った。無意識だった。体に染みついた動作だったからだ。


「! 腕が……治ってる!?」


 先ほどアリの酸でダメージを負っていたはずだ。しかし、今はまともにうごく。


「! 村長……!」


 キリコがやってきた。彼女が……やったのか?

 無言でキリコがうなずく。そこへ……。

「「「うぉおおおおおおおおおおお!」」」


 村の男衆と、そして冒険者達が村から出てきたのだ。

 村人達はみな、武器を手に雑魚アリと戦いだした。


「どうして……?」

「あなたに加勢します。ここは、我らの村ですから」


 ……ユートの村のひとたちは、あまり外の人たちを歓迎していなかった。

 でも、今彼らは外部の人間と協力して戦っている。


 何か心境の変化があったのだろう。村人にも、この村長のキリコにも。


「かたじけない」

「フィオナさん! 雑魚は村人さん達がやってくれるそうです! フィオナさんの援護に回ります!」


 えるるからの言葉にフィオナがうなずく。

 ボスはフィオナ、えるる、そしてキリコが相手取る。


 不思議と、負ける気がしなかった。


「こい……!」

 

【★新作の短編、投稿しました!】


タイトルは――


『伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません』


ページ下部↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!

リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://ncode.syosetu.com/n5022ia/

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