表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/72

ゴー



 俺たちはダンジョンにもぐって、ボス……女王アリをたおしに来た。

 長い道のりを経て、ついにボス部屋に到着したのだが……。


「リーダー! 大変でごじゃる!」

「どうした、アサノ?」


 Sランクパーティ、黄昏の竜。忍びのアサノが、焦ったように言う。


「地上に鋼鉄アリが、あふれ出たそうでごじゃるよ!」


 アサノは地上に分身を残してきた。

 感覚は共有される。つまり、今まさに、地上にモンスターがあふれた……ということだ。


 地下部隊のメンツの顔に緊張が走る。……嫌な予感があたっちまったか。


 どうにも、昔から俺の悪い方の感ってやつはあたってしまうんだよな。

 まあ、今はそれは関係ない。


「戻るでごじゃるかっ?」


 ナハティガルがうつむく考え込む。

 わからんでもない。だが、今は迷ってる暇はない。


 俺が代わりに言う。


「戻らない。ボス攻略が優先だ」

「だなぁ。今から戻ってるんじゃ遅い。かなり時間かかるしよぉ」


 魔法使いのヒルドラが同意してくれる。


「戻るまでの時間を考えるなら、このメンツでボスをたおした方が良い。ボスをたおせば、ボスが産んだモンスターは消える」

「しかし……」


 リーダーであるナハティガルは、地上の連中を気にかけてくれるみたいだ。

 冒険者だけじゃ無くて、村のひと……俺の母さんやみんなをだ。


 優しいやつだ。好感が持てる。だが、今は迷いは不要だ。


「立ち止まってる間に人が死ぬ。少しでも被害を減らしたいなら、進む一択だ。そうだろう?」


 ナハティガルが目を伏せて、やがて意を決したようにうなずく。


「攻略続行だ」


 メンバー達はみなうなずく。異論は無いようだ。

 俺たちは武器を抜いて、部屋の前に立つ。


「すまない、ディアブロ。私が、未熟なあまりに」


 ナハティガルが申し訳なさそうな顔で言う。

 リーダーが迷ったことを、反省したのだろう。

 責任感の強いやつだ。


 俺は彼女の背中をぽんと叩く。


「気にすんな。仲間だろう?」


 そう、ここに居る連中はチームなんだ。頼り、頼られて当然なんだ。

 俺は笑って言う。


「地上のことは気にするな。俺の仲間が守ってくれてる。それに……キリコもいるしな」

「キリコ……? あの村長どのが? 戦う力なんて持ってなさそうなんだが……」


 まあ、ナハティガルがそういうのも無理はない。

 本人も、隠してるみたいだしな。


 だが……俺にはわかる。勇者として、長く戦ってきたからか。

 戦いの勘が告げてるんだ。彼女は、何か力を隠してるんだって。


 どうしてなのかはわからない。けど、ピンチになれば必ず使うだろう。秘めたる力ってやつを。


「さ、いこう!」

「ああ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ