受け継がれし、仲間の力
俺たち冒険者は、村の近くに発生した、鋼鉄アリのダンジョンをクリアするため、合同パーティを組んだ。
鋼鉄アリ。大型犬くらいの大きさのアリで、外皮がとてつもなく固い。
普通の武器で攻撃しようものなら、武器が壊れ、下手したらダメージを受ける。
そこで、俺たちは対策を考えた。
「せやぁ!」
黄昏の竜リーダーの、ナハティガルが剣を振る。その刃はやすやすと鋼鉄アリの外皮を切り裂いた。
「おお! すごいぞディアブロ! おまえの魔法剣!」
彼女の持つ剣の刃は、赤く輝いている。
熱の魔法がエンチャントされているのだ。
「しかしよぉ、付与魔法なんておめえさん、使えるんだな」
「ああ。仲間から習ったもんでな」
一周目のとき、勇者パーティのメンバーたちから、俺はいろんな技能を教わった。
仲間の一人、錬金術師のエドワード。
彼はとても優秀な錬金術師で、付与魔法についての知識も豊富だった。
俺は魔法を道具に付与する方法を、彼から教わっていたのだ。
熱の魔法を、ほかの冒険者パーティの武器に付与して、こうしてクエストに挑んでいるわけだ。
……ありがとう、エドワード。
彼だけじゃない、一周目の仲間たちのことは、今でも覚えてる。彼らから受け継いだアイテムだけじゃなくて、知識も、こうして使わせてもらっている。
ほんと、仲間たちには感謝しかない。
もう彼らに会うことはできない。でも、彼らは俺のなかで生きてる。この力、この知識、そして仲間たちの思い出。
俺はそれら全部を胸に、今後も生きていこうと思う。
「熱の武器は鋼鉄アリに対して効果抜群だ! 急いでボスを倒すぞ! 敵が地上に出て暴れる前に!」
ナハティガルの号令に、俺たちはうなずいて返すと、ダンジョンの奥へと急いだのだった。




