心配してくれる母
風邪から立ち直った俺が部屋を出ると……。
「ゆーちゃん!」
「母さ……ふぎゅ!」
俺の母、ナナミ・ハルマート。
普段おっとりとしてる彼女だけど、今ばかりは感情を爆発。
素早い動きで俺を捕縛し、ぎゅーっと強く抱きしめてくる。
「よかった! 元気になったのね! よかったぁ!」
「かあさん……」
……その強い抱擁から、俺への思いが伝わってくる。息子を大事に思う気持ちだ。
母さんの体が震えていた。そりゃそうだ。子供が急に倒れたんだ。心配するだろう。それに……俺たちには父親が居ない。
父さんも死んでしまった。だからこそ、俺もそうなるんじゃ無いかって、思わせてしまった。
「ごめん」
過労で誰かを死なせてしまうのは、残された人にとって大きな傷を残す。
一周目の世界で、俺が痛感させられたことだってのに。
母さんに同じ思いをさせようとしてたのか、俺は。くそ……なんて馬鹿なんだおれは……。
「ごめんね、もう大丈夫。もう無理しないから」
母さんは体を離してにこりと笑う。でも……つん、とおでこをつついてきた。
「もう、ままを心配させるなんて、悪いゆーちゃんだ」
ほんとにな。うん、もう絶対心配させないぞ。