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あえて鈍感なフリをしてみた  作者: 山田太郎
2/8

第1話


〈春視点〉


兄さんがきてから3年が経ちました。私は中3、兄さんは高1になります。

この3年間はかなりの時間兄さんと一緒にいたと思います。おかげで、周りからはブラコンと言われます。

た、たしかに、兄さんのことは好きですが、それは仕方ないと思います!

ま、まあこんな話はいいんです!私が言いたいとこはこの3年間のおかげで兄さんとの仲がかなり深まりました!

実際今も兄さんと一緒にいますしね。ん?なんか兄さんがこっち見てますけど、まさか私、声に出てました?


「ねえ春、なんで寄っかかってんの?」


ああ、そっちでしたか。声には出てなかったようです。でもどうしましょう、理由なんか私がこうしたいからですが、これ言ったら引かれますよね…


「べ、別にいいじゃないですか。あの、えっと、そう!楽だからです!」


「すごい今作ったような言い方だけど。」


「いいんです!…あの、もしかして…迷惑…でした、か…?」


兄さんに迷惑って思われるのはいやです!もし、迷惑をかけてうざいと思われてたら…想像するだけで涙が出そうです。


「い、いや、ほら、あれだよ、もう春も3年生だし、平気なのかなって…いや!迷惑じゃない!迷惑じゃないから!」


「ぷっ、なに慌ててるんですか…あと、他はどうか知らないですが、私はそんなの気にしませんから。」


「…だからブラコンって言われるのに」ボソッ


兄さんが必死すぎて少し吹いてしまいました。でも良かったです。迷惑ではないみたいで。

あと兄さんがなにか言ってたみたいですが、よく聞こえませんでした。ですがなんとなく、何か不名誉なことを言われた気がします。


この3年間で兄さんの色んなことが知れました。すごく優しかったり、頭がよかったり、毎日朝早く起きてランニングをしてたり…などなど、挙げてけばキリがないです。

そして、1番今私がそんな兄さんに悩んでることがあります。

そう!鈍感なんです!どこの小説ですか!って思うくらい鈍感なんです!

私がこんなにもアタックしてるのに兄さんは全く気付きません!


「はぁ…」


思わずため息が出てしまいました。


「え、なに、俺なんかした?」


「いえ、別に…何もしないからです…」


もう少しくらい私のことに気づいてくれてもいいと思います。あとなんで少しだけニヤついてるのかがわかりません。なんか毎回思うのですが、兄さんってたまにニヤつくのを我慢してたりっていうのがありますよね。前それ聞いたら「春が可愛いから」とか言ってましたっけ…

なんなんですかほんとに!兄さんはたまにそういうことを言うから油断できないです!


「ニヤつかないでください。気持ち悪いです。」


「…どストレートに言うね。流石の俺でも傷つくよ。」


まだ少しニヤついてますがもういいです。


でも、こんな兄さんでも、すごく敏感な時もあるんです。

私が何か悩んでいた時、すぐに見破られます。自覚がない時でも兄さんにはわかってしまいます。そういうところが兄さんのすごいところだと思います。


「ところで春、英語の宿題終わったの?確か自由英作文だったよね。」


げっ、忘れてました。まだ残してました。というか、そんなことには敏感にならなくていいんです!!むしろ鈍感でいて下さいよ!

私は勉強はそこそこできるつもりです。200人の学年で60位くらいです。だからそこそこです。

その中で、英語に関しては恥ずかしながら、下から数えた方がはやいです。

え、何位かですって?………四捨五入したら180位です…

ちょっ!なんで185位から考えるんですか!

そんなことはいいんです!問題は兄さんが帰国子女だからです!


「終わってない…ね?」


「……」


「沈黙は肯定とみなすよ。」


あぁ、兄さんって勉強教えるのわかりやすいんですが、英語だけ怖いです。まぁ兄さんからしたら日常会話ができないと同じようなものですもんね。

そんな時、兄さんがスマホをとりだして、色々と操作をしました。


『は…はろー…あ、あい、あむ?…あいあ、む…春、水野…』


「ちょ!!!え!!!やめてください!!!なんでそれ持ってるんですか!」


「母さんにこの間もらった。ほんとこれかわいすぎ。まじ天使。」


私の黒歴史です!最悪です。なんで母さんそれもってたんですか…よりによって、兄さんにあげるなんて…


「とにかく!消し「絶対消さない!」て…って即答しないで下さい!いい終わってないのに!」


「これ俺の宝物だから。ちなみにこのスマホから消してもバックアップめっちゃとってるから安心してね。」


何に安心するんですか…


「ほら、これが拡散されたくなければ宿題やるよ。」


鬼です!悪魔です!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



〈裕太視点〉


あの天使の言葉を聞いてから早3年、俺は自他共に認めるシスコンになっていた。いや、当たり前だと思う。

今も春と一緒にソファーに座ってスマホをいじってるが、俺に寄っかかってくる春が本当に可愛すぎる。


「ねえ春、なんで寄っかかってんの?」


「べ、別にいいじゃないですか。あの、えっと、そう!楽だからです!」


「すごい今作ったような言い方だけど。」


慌てる春。可愛い。俺さっきから本当可愛いしか言ってないな。


「いいんです!…あの、もしかして…迷惑…でした、か…?」


やば、春泣いちゃう!?あああ、なんて言えばいい!泣かせたらまずい!


「い、いや、ほら、あれだよ、もう春も3年生だし、平気なのかなって…いや!迷惑じゃない!迷惑じゃないから!」


「ぷっ、なに慌ててるんですか…あと、他はどうか知らないですが、私はそんなの気にしませんから。」


よかった。なんとかなったみたいだ。それにしても、そんなこと言ってるから春は周りからどうしようもないブラコンって言われるのに…


「…だからブラコンって言われるのに」ボソッ


あ、声に出してしまった。やばっ聞かれた?


「はぁ…」


そんなこと思ってると春がため息をついた。やばい!ピンチ!


「え、なに、俺なんかした?」


「いえ、別に…何もしないからです…」


聞かれてなかったみたい。セーフセーフ。というか、春は前にぼそっと難聴系主人公って俺のこと言ってたけど俺難聴系じゃないし、春の方がそうだと思う。春は俺が春の好意にまさか気づかれてるなんて思ってないだろうな。おっとニヤついてしまった。


「ニヤつかないでください。気持ち悪いです。」


春からのジト目、頂きました!っと、一応何か言っとかなきゃな。


「…どストレートに言うね。流石の俺でも傷つくよ。」


春は何か諦めたようにため息を再びついた。

話題を変えなきゃ…そうだ!


「ところで春、英語の宿題終わったの?確か自由英作文だったよね。」


明らかに目を逸らしたなこいつ


「終わってない…ね?」


「……」


「沈黙は肯定とみなすよ。」


仕方ない、最終兵器、俺の宝物その1を出すとしよう。


『は…はろー…あ、あい、あむ?…あいあ、む…春、水野…』


「ちょ!!!え!!!やめてください!!!なんでそれ持ってるんですか!」


おお、慌ててる慌ててる。効果は抜群みたいだ。


「母さんにこの間もらった。ほんとこれかわいすぎ。まじ天使。」


これは末代まで語っていく。

春はなんとかしてスマホを取ろうとしてるが、腕と身長の差で取れない。涙目になりながらぴょこぴょこ飛んで頑張ってスマホを取ろうとしてるのが可愛すぎて辛い。


「とにかく!消し「絶対消さない!」て…って即答しないで下さい!いい終わってないのに!」


「これ俺の宝物だから。ちなみにこのスマホから消してもバックアップめっちゃとってるから安心してね。」


春は少し絶望したような顔をした。よし、決めようか。


「ほら、これが拡散されたくなければ宿題やるよ。」


その後、なんとか春は宿題を終わらせ、春休みを終えたが、このデータは消せなかった模様。

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