1 普通
一つ昔話をしよう。
ある人が人生は「つみき」であると言った。
それはなぜか?俺が問うとその人はこう続けた。
「人の人生のスタートラインは皆一緒、0からだ。それはお金持ちの家の子でも貧しい家の子でも変わらない。変わるのはつみきの数と大きさなんだよ。」
そう言うとその人は俺の前から消えてしまった。
その頃の俺にはこの言葉の意味がわからなかった。
意味を聞こうとしようとも、その人はもういない。
しかし今、その言葉について悩みながら生きてきた12年という月日を経てようやく自分なりの答えにたどり着いた。
その答えは……
普通が一番最高じゃね?
答えになってないじゃん!と思った人がほとんどだろう。
よく考えてほしい。
お金持ちの人はもとから多くのつみきを持っており、大きいつみきをどんどん積み重ねていく。
それは趣味のつみきだったり、学問のつみきだったり。
そのような多種多様のつみきがそれぞれ積み重ねられる。
そして出来上がったつみきはまさしく塔のようになっているだろう。
それを見る人々はきっとこう言うだろう。
「素晴らしい人生ですね。」と。
だが、高く積み続けられるのはごく一部だけだ。
ほとんどはいつか崩れ去ってしまうだろう。
元が高く大きいぶん、崩れたときのダメージは相当なものである。
対照的に貧しい家の人は元々のつみきが小さく少ない。
そのつみきに対しては人々は多くのことを考えるだろう。
かわいそう、と考える人もいれば、あぁはなりたくないと思う人もいるだろう。
しかし、少しでも高くしようと努力している人のつみきほど力強いものはないだろう。
ここまで話して皆さんはなにを考えるのだろうか。
「リスクはあるかもしれないけど私はお金持ちになりたい!」
と思う人の方が多数だろう。
まぁそれは人それぞれだから俺は口だしはしない。
が、俺の意見も考えてほしい。
普通の人々の持っているつみきは大きさも普通、数も普通である。
建つのはきっと低くもなく、高くもなく、大きくも小さくもないつみきだろう。
これを見て人々は言う。
「なんというか普通?ですね。」と。
これは悪口でもないし、はたまた誉め言葉でもない。
しかし人々は、
「まぁ結局付き合うなら普通の人がいいよね!」
とか、
「普通が一番だよ!」
などと、言う。
はっきり言って俺は超絶普通だ!
テストも平均点から大きくずれたことはないし、運動もできない訳じゃない。友達も多くはないが、しっかりいる。顔も悪くはないはずだ。
それなのに俺はモテない!
それはなぜか?
俺が普通だからだ!
「悪くはないんだけど、なんか普通すぎて。」
これは最近告白したときに言われた言葉だ。
普通がいいんじゃないの!?
ここまで話したが、俺は普通であることに、困っている訳でもないので、自分自身に満足はしている。
そんな俺には最近きになる言葉が出来た。
それは、最強と最弱という言葉だ。
俺は読書家というほどでもないが、たまに本を読んでいる。
本屋に入り、沢山の本があるなかで、俺が向かうのは、
ライトノベル、ラノベがおいてあるコーナー。
いろんなジャンルがあるなかで、俺がまず目につくのが、
「主人公最強!」系である。
生まれつき強いとか、物凄く特訓したとかで、敵をどんどん倒していく爽快感、それに多くの人は魅せられる。
最初にそういうジャンルをみたときは、俺もかなり惚れ込んだ。
主人公は強くカッコいい!さらにその強さに惹かれ、多くのキャラクターが、主人公のまわりによってくる。
誰もが一度は、自分もなってみたいとおもうことだろう。
だが、読み続けていると、俺はふと思う。
「強すぎって逆に危険じゃない?」
は?と思う人も少なくはないだろう。
簡単にいうと、主人公が敵のキャラと戦う時の被害がとんでもないということだ。
最強であるがゆえに、建物や、山などを壊してしまうシーンを俺は何度も見た。
なに本気で考えてんの?と友人に馬鹿にされたぐらい、今俺は訳のわからないことを言っているのかもしれないが、要は、最強は最強で、いろいろ大変だということだ。
敵がきたらすぐに戦わなきゃいけないし。
逆に最弱系に対しては、弱すぎじゃない?と思ってしまう。
それなのに主人公のまわりには多くのキャラクターが集まる。
まぁ結局言いたいことをまとめると、俺は自分が普通であることに対して満足していて、最強になりたいとも最弱になりたいとも思わない。そもそも自分が急に異世界に!なんてあるはずがないしな。
と思っていた今日の朝。
現在地「フィーダ王国城下町」
俺異世界来ちゃいました…。
読んでいただきありがとうございます。
語彙力ないですが、なんとか書いていくので、評価よろしくお願いします。