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故に、青春とは脱出ゲームである。  作者: ナヤカ
【最終章】彼らはそれぞれの答えを語る
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ゲーム【クリア】

 ネット探偵から教えられた場所は病院だった。


 そこに彼女はいるという。


 病院に入り、部屋番号を探した。そして、その部屋の扉を開けると、そこには一人の少女がいた。


――誰?


 そこで自分のネット上での名前を告げる。少女は、その名前に一瞬目を見開いた後、「そう」と言っただけだった。


 話すと、どうやら少女の余命はあまり長くないらしい。家族は隠してはいるものの、少女自身にはなんとなく分かるらしい。近いうちに手術があるらしいのだが、その手術も、もう何度となく延期を重ねた上での事。


 自殺サイトに投稿していたのは、そんな現状から逃げ出したかったからだと少女は言った。もう、全てに疲れてしまったらしい。


――彼女に、何を言えば良いのだろうか。


 A、共に自殺することを提案する。

 B、何とか頑張れと励ます。


 ……B。


 途端に、少女の顔が苦痛で歪んだ。


――もう、頑張れないよ。これ以上私に何を頑張れって言うの? ……出ていって。早く出ていって!


 少女は、なかなか出ていこうとしない自分に、ナースコールを押した。

 病院から追い出された! ……その後、少女は面会謝絶の個室に移り、会えなくなってしまう。ショックで再び引きこもった!


――ゲームオーバー。


「……はっ?」


 思わず、すっときょんな声を上げてしまった。ゲームオーバーになるとは思っていなかったからだ。


 じゃあ、あの選択肢は『A』だったのか? そんな馬鹿なっ!


 だが、それ以外考えられない。まさか、バッドエンドこそゲームクリアなのだろうか。

 だとしたら、このゲームは本当の駄作じゃないか。


 僕はもう一度コンテニューをクリックする。それから、先程の選択肢はまで戻ると、不信感を覚えながらも『A』を選択した。


――本当に、一緒に死んでくれるの?


――うん。


 少女は驚いてこちらを見ていたが、やがて不意に吹き出した。


――馬鹿じゃないの。そんなに健康なくせに。


――でも、外の世界は怖いんだ。この先もこの恐怖を感じていくくらいなら、いっそのこと……。


――あなたは勇気がないのね。生きていく勇気が。


――生きていく勇気?


――私は逆。私は、死ぬ勇気がないの。……というより、たった一人で死ぬことが堪らなく怖い。だから、一緒に死んでくれる人を探したの。


――だったら!


――話してみて分かった。あなたに必要なのは、一緒に死んでくれる人じゃない。一緒に生きてくれる人よ。


――一緒に……生きてくれる人。


――そう。だから、私とは逆。


――じゃあ、君が一緒に生きてくれよ。


――私が? 無理よ。私、もう長くないもの。


――手術があるんだろ? それが成功したら生きられる。


――少し体調が悪くなると手術は延期するの。本当なら去年に受けていたはずの手術よ。きっと成功率は高くない。だから、何度も延期してるんだと思う。


――でも、可能性はゼロじゃない。


 すると、不意に少女は笑いだした。


――あなた、勝手なのね? 自分の為に私に生きろだなんて。


――それは君もだ。自分の為に死んでくれだなんて。


――勇気がなかったから。


――同じだ。


――全然違うよ。


 少女との会話は平行線を辿った。だから、二人が納得する形で、話は終結した。


 手術が成功したら、共に生きると。失敗したら、共に死ぬと。


 どちらにしても一人ではない。その事が、心の中に不思議なパワーを湧かせた。


――『勇気』を手に入れた!


 それから、彼は毎日少女の病室に訪れた。そこで勇気を分かち合った。

 少女は何故か日に日に元気になり、手術数日前には「結果が楽しみだ」とまで言うようになった。


――それじゃあ、天国かこの病室か、どちらかでまた会いましょう。


 手術の前日、少女はそう言って笑った。


 その後、少女の手術は成功し、彼らは共に生きることとなった。

 少女が病院を脱出するための鍵もまた、『勇気』だったのだ。

 そして、その勇気を見いだしたのは、君が引きこもっていたからだ。つまり、君の引きこもりは無駄ではなかったのだ。


――おめでとう! ゲームクリア!



――――。



「無理矢理感が半端ないなぁ……」


 エンドロールが流れる画面で僕は呟いた。ゲームをクリアしたというのに、何故こんなにもモヤモヤするのだろうか?


 たぶんそれは、やはりこの『脱出ゲーム』が駄作だからだろう。主人の行動や言動はかなり不自然だったし、無理があった。さらにいえば、最後は感動的にしようという魂胆がみえみえで、違和感を拭い去ることができない。エンドロールで流れてる曲も感動を引き出そうとしているのがよく伝わってくる。

 まぁ、このゲームを作った友人はプログラム専門のため、ストーリーなどは二の次なのだろう。確かに、バグなどは一切なかった。……なかったが、さすがにコレはない。


 

 

 

 

 

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