二宮浩太郎からの挑戦状 其の四
栄一が帰った後、ファミレスでパンケーキを食べている二宮の所へ千尋がやってきた。
店に入って、二宮が座っている席を見つけた千尋は、走って彼の所へ行き、向かい側の席に座った。
「頼みたいことがあるって聞いてわざわざ来たけど、何の用?」
二宮は千尋に先程の絆創膏とメモ用紙を渡した。
「なんじゃこりゃ」
「メモを呼んで、その指示通りにお願いします」
千尋は渡されたメモを読んだ。
「……あのさ、これってどういう事?」
「そこに書いてあるでしょ、科研に行って調べてもらって欲しいって」
二宮はパンケーキを食べながら適当に返事をした。
「ねえ、そのパンケーキに乗っかっているクリーム、何?」
「これ? マスカルポーネっていって、ティラミスなんかに使われているクリームチーズなんです」
「一口食べさせてよ」
「やだ、僕が頼んだパンケーキなんです。自分で頼んでお金出して食べてください」
「お金って、あんた昨日わたしに漫画代出させたでしょ、いいから一口位食べさせてよ」
千尋がナイフとフォークを出し、二宮のパンケーキを切り取ろうとした。
「あっ、こらっ」
二宮は残っているパンケーキを全て頬張って一口で口に入れた。
「あーあ。もう、ケチな奴だなあ」
「こんな所で油売っていないで、早くいま渡したもの調べてもらいに行ってください。そうすれば事件は解決するんだから」
そう言って二宮は口に着いたクリームをテーブルに置いてある紙ナプキンで拭いた。
……さて、僕の推理が正しければ、手札はほぼ出揃いました。
この事件の真相、判ってみればそんなに難しいものではありませんでした。
霧矢栄一は被害者の幼馴染でしかできない密室を作りだしました。トリックを暴くヒントは霧矢と被害者の家の位置関係、そしてあのノートに隠された意図。
もうお判りですね? では解決編でお会いしましょう。二宮浩太郎でした。




