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サルタヒコ  作者: なちば
序章
2/8

後悔

「はい、ここは遊園地です。」


それはとても響くが落ち着いている声だった。

私はこの日の出来事を一生忘れないだろう。

そう予感した。



「こんばんは」

中性的な顔立ちで十代半ばぐらいに見えた。

「えっ、あ、、こんばんは」

思わず、見入ってしまった。

「確認ですが、キリシマミサキさんですね?」

感情がこもっているのか分からない話し方だった。

「、、そうですが」

「貴女は先程死にました。そこまでは理解できますか?」

私は首を縦に振った。 

「では、これからの事をご説明します。人は死んだら二つの選択肢が得られます。一つは、また輪廻しまた他の命として生きる事が出来ます。」

輪廻、聞いたことがある言葉で本当なんだと驚いた。

「そして、もう一つは此処の住人として暮らすことです。」

「暮らす?」

「仕事をしてもらいます。勿論死んだ方全員ではありません。貴女は選ばれました。」

「わ、私が?」

思わず人差し指で私の顔を指した。

「貴女はもっと生きたかったですか?」

「へ?」

唐突な質問だった。

「貴女は生きるために何をしていましたか?」

「貴女は死にたいと思ったことはありますか?」

「えっと、何の話で、、」

「後悔はありますか?」

一瞬時が止まった気がした。さっきまでうるさいぐらいの軽快な音楽もいやででも目に入る遊具に設置イルミネーションも全部消えた。

「、、、、あ、あります」

気付いたらそう答えていた。

「わ、私には妹がいて、死ぬ前に会いたかったです。」

目の前の人物は黙ったままだった。

「も、も、もっと言うならばまだ生きたかった、です。」


「輪廻するとお互い覚えていませんが生きて会うことが出来ます。しかし、ここでつまり此処で暮らすとなると少なくとも貴女は覚えているでしょう。」

それから、少し間を空けてからこう言った。

「貴女はどうしますか?」

素直に自分の気持ちに従うならば会いたい、だ。だけど、

「私は妹に、、あの子に会わす顔がないから。」

「というと?」

何故自分が目の前の人物にこうも素直に話しているのか不思議だったが話すことに躊躇いはなかった。

「私たち親がいないんです。私も妹も小さい頃に事故で。親戚の方が私たちをそれぞれ引き取ってくれて、私はそれなりに良かったです。だけど、妹は、、初めの方が途中で放り出しちゃって。別に妹が問題あるとかじゃなくて。むしろ、いい子よ!素直で可愛くてちょっと見栄をはっちゃっう普通の女の子です。それからあの子はたらい回しにされちゃって、私が気付いたのはあの子の目が子供の目じゃなくなっているときでした。」

一度誰かに話すともう止めることは出来なかった。

「、、会いに行ったら私のことを忘れてて。とても哀しかったし何より気付けなかった自分にあの子も幸せにとか考えてた能天気な自分に対しての怒りが収まりそうもなかった。」

「.... 」

「でも、こんなみっともない自分をあの子は覚えてなくて良かったってどこか安堵してる自分もいて。だから私はお金を稼いであの子が安心して住める場所をこの役に立たない手で作ろうと思って、」

そこで私は自分の瞳から出てるものに気付いた。

「っでも、死んじゃった。」

ごめんね、何もしてあげられないお姉ちゃんで。

寂しかったよね。いつ違うとこに連れて行かれるか怖かったよね。小さい君はどれだけ悲しい思いをしたんだろう。お姉ちゃんが必要ない、誰も必要としない君になるぐらいだもんね。辛かったね。頑張ったね。今まで我慢した分が一気に押し出すように涙が、後悔する思いが止まらなかった。

「今、妹さんは?」

その人は相変わらす感情が読めなかった。

「えっ、と、今は優しい方の所で落ち着いているわ。」

「そうですか。貴女は会わす顔がないと仰いました。そこで、提案です。」

「はぁ」

「現世も問題だらけです。寿命を全うせずに死んでしまうこともあります。隠世の問題が現世に影響。それも原因の一つでしょう。」

私には言っている意味が分からなかった。

「あの、隠世って何ですか?」

「此処のことです。この世界には境界線があり現世つまり貴女が生きていた場所と隠世に分かれています。」

自分が死んでいなかったら信じなかったと思った。

「話を戻しますが、妹さんの寿命はあと70年後です。ですがその前に死ぬ可能性もあります。僕は、いえ僕たち隠世の住人はそれを防ぐ為に働きます。」

そこで言っている意味に気付いた。

「わ、私は!妹の役に立てるんですか?!」

思わず叫んだが、形振り構ってられなかった。

「はい。」 

その冷静な口調に少し救われた気がした。迷わずに肯定を意味する言葉が出てきて安心した。

「、、っ良かった。」

涙が溢れた。

「直接的ではないと思いますが間接的には十分かと。」

「では、改めてご説明します。」

間髪入れずにその人は言った。

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