今日も面倒な日が始まる
初めての方は、初めまして。
リピートしてくださってる方、一週間ぶりです。
お忙しい中、目に止めてくださり、ありがとうございます。
よろしくお願いします。
※『貴方の未来と私の覚』に、タイトルを変えたため、続きはそちらに投稿します。
件の通り
知りたくない
知りたくない
ママはそれを繰り返し、目を強くつぶってあの世へいった。
…そして、それを私は知っていた。
急激に円安になります。
ほら、当たり。
幼馴染みのあっちゃんが結婚します。
やっぱりね。
すごいねではなくて、気持ちが悪いと言われるのがオチ。だから、私は口をつぐむ。何も知らないって顔をして。
大学へは行きたくなかった。色んなことが目に触れて、古いカラーテレビのような色の薄い映像が頭に流れてくるから。でも、パパは私の将来のことを心配して、勝手に願書まで用意した。
ああ、パパは何にも知らずに幸せね。
くだん、クダン、件。私がそれについて知っているのは、私とママが受け継いだものだけ。別に知りたくなんてないけど、私の血をたどった人たちは、知ることが嫌じゃあなかったのかしら。
文学部古典文学科。この科を選んだのは、それが知りたかったというのもあるのかもしれない。
月曜日。また週が始まった。鉛のような重たい体を揺り起こして、ママがいなくなった代わりに、私が朝食を作る。パパは、ママが生きてたときと変わらず、笑顔でハムエッグとトーストを平らげる。
「ミク。就職先は、どこにするか決まったの?」
どこにするとかっていうのは、わからない人が考えることだ。私には、決まりきった未来がある。私がどこに就職するとか、パパが近々課長になるとか、全部見えるんだ。そう、未来が見える。
件というのは、未来を予言するという妖怪。予言したら死ぬなんて言われているけど、私は今のところ生きている。不幸と言うべきか幸いと言うべきか。
ガタンゴトン―
電車に揺られる。いつもより一本遅い電車。一限の授業の開始ギリギリになるみたい。別に遅れたって構いはしないけど。
今日の予定は、男の子と知り合うらしい。どんな人か、見ようと思えば、見えるのだろうけど、朝からそんなに力は出ない。ハムエッグとトーストの力は、午前の授業を受ける体力分だけだ。
大学へ着くと、一応少し早足で教室に向かう。教室に行く途中の角を曲がるところで、誰かとぶつかる予感が過る。残念ながら、避けることはできない。
「痛っ」
私は大きくよろける。壁に寄りかかって、立つのを維持した。
「すみません」
私の言葉に、ぶつかった相手の男性は小さく頭を下げる。
何だか、感じ悪いな。
すると、彼は眉間にしわを寄せた。
何だっていうのだろう。
私の頭に浮かんだのは、彼と仲良くなるらしいとのこと。この人と何で仲良くなるっていうのだろう。けれど、未来には抗えない。本当にめんどくさい。
彼は、頭をかしげた。大人っぽい雰囲気だったのに、一気に可愛らしくなる。
「何で…」
彼は、それだけ言うと、首を振って、私の前から去っていった。
何でって何?変な人。いや、きっと私も変なのだけど。
腕時計を見ると、もうすぐ授業が始まる。未来に従っておこう。教室に着くのは、ギリギリの時間。
私は、教科書とノートと筆記用具を揃え、体裁だけ整えた。
続
ご覧くださり、ありがとうございました。
お楽しみいただけたでしょうか?
続きをコンスタントに投稿していきたいと意気込んでいますが、どうなるかわかりません笑
頑張りますので、暖かく見守ってください!