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帰郷

 また夏が来た。

 都会の喧騒に飲み込まれて仕事をしている日常。そんな日常を離れ、私は久しぶりに故郷へと帰って来た。

 本来であれば毎年戻りたい所なのだが、どうしても仕事のスケジュールが合わなかったり、疲れ果てた体と心が、長く新幹線に揺られて故郷に帰るという事に煩わしさを感じさせたりで長くこちらには戻って来れていなかった。


「たまには帰ってきなよ」


 同郷で小学校から付き合いの続いている親友の真由美からの言葉。

 電話で度々言葉を交わし、真由美がこちらに遊びに来てくれた時は、独り暮らしの部屋に彼女を招き入れいろんな話に花を咲かせながら互いの労をねぎらった。だが、故郷に残る彼女の元に私から向かう事は出来ていなかった。

 だが今年、ようやく私は帰って来た。まとまった休みがとれ、時間の余裕が出来たのだ。

 僅か二車両しかない都会では考えらないこじんまりとした電車に揺られ、田んぼの広がる懐かしい景色に囲まれた地元の駅に降り立つと、見覚えのある女性が駅のベンチに座っていた。

ドアが開き駅に降り立つと、女性はぱっと顔に笑顔を広げ私の元に近寄ってきた。


「千恵―! 久しぶりー!」


 こちらが恥ずかしくなるような大きな声と共に私に抱きつく真由美は、私が昔からよく知る真由美そのもので、公共の場で遠慮なく抱きつかれるという恥ずかしさとは別に、胸の奥がほわっと暖かくなった。

 少々の戸惑いと懐かしさと嬉しさと、故郷に降り立っていきなりいろんな感情が巡ったが、とりあえずは一言。


「久しぶり、真由美」


 恥ずかしいなんて思いながらも、私にとっても千恵との再会は嬉しいに決まっているのだ。


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