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プロローグ

この物語はフィクションです。

この物語に登場する人物、場所、施設などはすべて、

実在するものとはまったく関係ありません。

 周りを見渡すと校庭に生えている桜が咲き始めていた。

 もう季節は春。新学期も始まり、オレは高校2年生になった。

 窓から差し込む柔らかで暖かい日差しがオレを照らす。

「ホント、いい天気だな……ん?」

 友人であるヒロキを探して学校の廊下を歩き回っていたオレはふと窓から下を見下ろした。

 ここからは校舎裏が見える。

 そしてそこに立っている男女2名が目に入った。

 1人は少しなよっとした雰囲気の細身の少年、もう1人はショートカットの小柄な少女。

 女子の方はこちらに背を向けるように立っており、顔が見えなかったが、男子の方はこちら側を向いて立っているので誰かはすぐに分かった。

「ヒロキのやつ……あんなところに」

 窓から身を乗り出して声をかけようとしたがもう1人の女子の顔がちらりと見え、思いとどまる。

「あれ、アスナか?」

 ヒロキと一緒に立っていたのは篠田アスナ――オレの幼馴染だった。

 いつもと何やら雰囲気が違かったので気付かなかった。

 普段は明るく快活で男勝りな少女なのだが、今は違った。

 顔を真っ赤にし、柄にもなくもじもじしている。

 まるで普通の女の子だ。

 何やってんだ……と思ったが、オレには1つ心当たりがあった。

 気になったオレはこっそり見に行くことにした。


 2人に気付かれないように死角である角越しに会話が聞こえるところまで接近する。

 壁にぴったりと体を寄せ、そろそろと近づいているオレは傍から見たらただの変質者かもしれない。

 これ以上進むと存在がバレる、と思った所で、丁度良くアスナの声が聞こえてくる。

「――ヒロキくんのことが、好き」

 今にも消え入りそうな声だったが、彼女は言い切った。

 まあ、予想通りといえば予想通りだった。

 アスナ自身からよく相談を受けていたし、誰とは聞いてなかったがなんとなく検討はついていた。

 そしてこの状況に遭遇して、オレは気付いてしまった。

 自身の心の中にモヤモヤとする何かがうごめいている。

 オレは小さい頃からアスナには色々と世話を焼いてきた。

 そういえばこんな気持ち、昔飼ってた猫がオレよりもアスナに懐いてしまった時にも感じたような……。

 まさか、アスナがオレ以外を見ていることが悔し――

「ありがとう」

 ふいに、ヒロキの声が耳に入ってくる。

 オレは思考が停止し、気付いた時には角から身を乗り出していた。

 そしてオレは見てしまった。

 ヒロキが両手を大きく広げ、アスナを――ッ!



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