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ろくに眠らなかった
♰主の平和
僕の足はさ、ひとりでに歩いていた。僕の意志から切り離されて、足は独立した生きものとでも言うべき摩訶不思議な体験だった。まあ、それだけ緊張した証拠。前の日も、その前も、いく日もいく日も碌に眠らなかったから。
あなたは先を行きながら振り返る。度々振り返るあなたはその笑い顔だよ。こっちは赤鬼、でなければ茹蛸か。自分で自分の鼓動が聞こえだす。あなたにまで鼓動が伝わりはしまいか気が気でない。頭に血がのぼるのを感じる。顔に冬の空気を受けるあの時の冷ややかさが異様だった。お陰で落ち着いたかな。




