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第78話 邂逅

 来た道を戻って外に出れば、日光の眩しさに眉をひそめる。私は帰る前にエリナーからもらった軽食を食べられそうな場所を探して森の中を歩いた。


 師匠と来たときは森に泊りがけだったから奥まで進むことができた。泊りで行ってもすべての洞窟を調べることは出来ていない。


 私は森の奥に続く少し薄暗い道を見つめた。当然森の奥も魔石獣の亡骸が洞窟になった箇所がいくつもある。


 採取できる魔鉱物も違っているからまた今度取りに来ようと誓う。


「さて。ここら辺でいいかな」


 ヘイエイと歩きながら私は腰かけられそうな場所を探してちょうど座れそうな倒木を見つけた。


 鞄を地面に置いて木に腰かけた私はエリナーからもらった包みを取り出す。布をはずせば、竹かごに入ったサンドイッチがでてくる。


「わぁ~! サンドイッチだ!」


 感嘆の声を上げながら私はサンドイッチを一つ手に取る。


 スクランブルエッグが挟まれたサンドイッチを口に入れると、ふわふわな食感とちょうどいい味付けに私は緩みそうになる頬を手で押さえた。


「美味しい~」


 竹かごには他にベーコン、レタス、スライスされたトマトが挟まれたものと、ハムとチーズが挟まれたサンドイッチの二種類が入っている。


 エリナーからの包みと一緒に渡された水筒には果実水が入っていた。喉を潤しながら私はサンドイッチを完食して一息つく。


「ごちそうさまでした」


 両手を合わせて作ってくれたエリナーに内心お礼を言って、私は倒木に腰かけたまま空を見上げた。視界に青い空に白い雲、天高く伸びる枝と葉。


 風が吹けば、葉がこすれて心地よい音が鳴る。休憩がてら耳を傾けていた私の隣で体を丸くしていたヘイエイが耳をピンと立てて顔を上げた。


「どうしたの? 雨でも降りそう?」


 私の問いにヘイエイはクンクンと鼻を鳴らして伸びをしたと思えば前脚を何度か振って急に駆け出した。


 予想外の行動に私は反応が遅れてしまう。慌てて鞄に竹かごと水筒を突っ込んだ私は肩ひもを掴んでヘイエイの後を追った。


「ヘイエイ待って」


 道なき道を進むヘイエイは途中で足を止めて私を振り返る。追いつきそうになると再び駆けだした。


 体力には自信がある私でも、整備されていない道を走るのは息が切れる。肩で息をしていた私は立ち止まり、呼吸を整えているとヘイエイが少し先で止まり座り込んだ。



 呼吸を整えてヘイエイの傍まで行った私は目をしばたたかせた。


「うわぁ~。なにここ。初めて来た」


 視界の先には巨大な魔石獣の化石。骨には苔がいくつも付き、周囲を魔力を帯びた蝶が飛んでいる。けれど、驚いたのはそれだけじゃない。


 魔石獣の化石の手前には湖が形成されていて、透明度の高い水の底にはいくつもの魔鉱物があった。その中に純度の高い魔石まである。


「すごい。前に来た時にはこんなところなかった。いや、広すぎて知らなかっただけか」


 水底を覗きこんでいる私が湖に落ちないようにヘイエイがスカートの裾を噛んで引っ張る。


「大丈夫だよヘイエイ。さすがにこの中の魔鉱物は取らないから。……え?」


 水面へ視線を戻した私は自分の目を疑った。視線の先には人が一人立っている。人がいることは驚くことではない。


 私が目を丸くしたのはその人が立っていたのは水面だったからだ。浮遊の魔力持ちかと思い魔力の流れを視ようとしたけれど、その人からは魔力が視えなかった。

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