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第55話 魔石の応用とアクセサリー

 食事と入浴を終えた私たちは再び部屋に戻っていた。模擬戦をすることになった私は内心ワクワクしていた。


 心配してくれるアランには悪いとは思うけれど、ヘイエイ戦以降あまり身体を動かしていなかったからか、なまってしまっている。


 これではいざという時に動けない。だからといってテリブの森に行く時間もなかった私は今回の提案に顔がニヤケそうになった。


 魔石が手に入っただけではなく身体も動かせる。うん、ラッキーだ。


 私はテーブルに今日手に入った魔石を並べて鞄からいつくか金色や銀色のアクセサリー用の台座を取り出した。


 真向かいに座っていたアランが興味深そうにこちらを見る。


 そんなに面白いものではないのだけれど、こうしてこちらを興味深そうに見るアランの顔はアリスに似ているから困る。邪険に扱えずに私は台座と魔石を見比べた。


「今から何をするつもりなんだ?」


「この台座に魔石をはめてアクセサリーにしようとしています」


「アクセサリー?」


「はい。アリスの魔石みたいに」


 私は首から下げていたアリスの魔石をはめたネックレスを取り出した。


「この前の魔石獣の幼体と戦った時の銃は使わないのか?」


「銃は銃弾を作るのに時間がかかるんです。今回の模擬戦の目的がジャック、ルイ、ティエリーから得られた魔石を使うことなので銃弾を作る時間がないんですよ」


「それでアクセサリー作りなのか?」


「アクセサリーは使いやすくするためです。魔石を手に持ったまま戦闘するわけにはいかないので」


「なるほど。俺はてっきり戦闘はすべて銃を使って行うものだと思っていた。君は魔石だけでも戦えるんだな」


 アランに微笑まれた私はくすぐったくて彼の顔をまともに見られずに魔石を台座に当てはめた。


 ジャックの風の魔石は右腕のブレスレット、ルイの水の魔石は左腕のブレスレット、ティエリーの氷の魔石は右手の人差し指の指輪にした。


 もう一つネックレスの台座が余ったな。


「アラン様は魔石使ったことありますか?」


「いや、ないな」


「使ってみますか?」


 私の問いにアランの表情が少しだけ輝いたように見えた。少年のような表情を見せるアランに私は目をしばたたかせる。


 初めて見たなアランの子供みたいな表情。私は氷の魔石を選んでネックレスの台座に取り付けてアランにネックレスを渡した。


「使い方は普段自分の魔力を使う要領と同じです。氷の魔石なので氷をイメージして使う感じですね」


 と言っても私は魔力を持たないアンスロポスだから詳しくは知らないんだけどアランなら使えそうな気がする。


 ネックレスをまじまじと見つめているアランを余所に私はブレスレットと指輪に意識を集中させた。


 片手に水の塊を出現させてそれを維持させながら水の形を変形させていく。形は何にしようかな。


 花、バラがいいか。ウォード家に咲いていたバラの花を思い浮かべながら水をバラの形に変えた。


 よし、成功! 


 次に指輪に意識を集中させて氷の魔石を使うことでバラの形の水を凍らせる。


「できた!」


 思わず声が出てしまってアランが目を丸くしながらこちらを見た。


「氷のバラか」


「はい!」


 今日得たばかりの魔石を使いこなせている高揚感が勝っていた私は満面の笑みでアランに応えた。


「っ、あまり他でその顔を見せるなよ」


「なんです? それよりも見てくださいよこれ!」


 私は氷のバラを風の魔石で浮かせたままアランの元まで運ばせた。

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