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第21話 ウォード家の使用人たち

「魔石が欲しいだけなのに」


「まあ、魔力暴走を起こした人の末路は周知されているし、コリンに至ってはまだ十代半ばでしょ。他の屋敷で魔力暴走を起こした人は即解雇されて行き場を無くしたって聞いたから、それを考えたら二人の反応は当然じゃない?」


「そっか。コリンまだ若いもんね。行き場を無くすところだったんだ」


 行き場を失う怖さは私も分かる。十代半ばで働いているコリンに身内はいなくてここが彼の居場所なのだろう。


 ウォード家は少し特殊で他の貴族とは異なり使用人たちのほとんどが孤児だ。身寄りのない子供たちをジェームス様たちが引き取り雇っている。


 ある程度成長したら個人の自由で自立してもいいし、ずっとこの屋敷で働いてもいいらしい。何人かは夢を見つけて自立している。


 彼らにとってこの屋敷が家であり、家族なのだろう。この感覚を私は知っている。


 過去に魔力暴走を起こした使用人はいたが、たまたま来客として居合わせた師匠により救われたこともありジェームス様たちと師匠は今も親しい関係にあるのだと教えてもらった。


「コリンにとっては恩人。例えあんたが魔石目当てに治療したとしてもね。そんな顔しないの。黙っていれば可愛い部類に入るんだから。あんたは今まで通り魔石、魔鉱物に向かって猪突猛進くらいがいいの。分かった?」


 サリーのこういうところが好きだ。本当に一緒に来てくれて良かったと思う。私の一番の親友。サリーはどう思ってるか分からないけど。


「ん。ありがと。親友。サリーがいてくれて良かった」


「なっ! 急に何を言い出すの!?」


「照れてる?」


「照れてない! ほら、回収した魔石調べるんでしょ。手伝うから早くして!」


 サリーに背中を押されながら私は回収した魔石の調査を開始した。


 コリンを助けて以来使用人たちからの態度が変わった。


 元々人懐っこいコリンは私たちに気さくに声をかけてくるようになり、彼に影響された他の使用人たちも話しかけてくるようになった。


 庶民の私からすれば婚約したからと貴族のように扱われるのも慣れていないし、気軽に接してくれる方が楽だ。


 最近では女性陣と仲良くなり、休憩時間に雑談するようになった。


 エリナー、ルイーズ、アン、シルビアたちとは年も近いから話をすることが多い。


 そのことはアリスやアランの耳にも入るらしく、アリスはずるいと頬を膨らませることが多くなった。


 アランとはあの夜以降会えていない。ルイーズの情報では彼は仕事でよく王室へ呼ばれることが多く、王直属の命を受けているため忙しいらしい。


「多忙すぎて倒れないか心配よね。カレナは会えなくて淋しくないの?」

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