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第11話 友達にならない?

 これで信じてもらえるだろうと得意顔をした私にサリーが大きな溜息を吐く。


 アリスも綺麗なヘーゼル色の瞳を大きく見開いていたと思ったら次第に怒り顔に変わっていく。


 私は二人の反応が想像と違って首を傾けた。


「あんたね~! いくらなんでもやり方ってもんがあるでしょ。自分で試すな!」


 学友の呆れた声にアリスも乗っかる。


「カレナさん、魔石の特性を見せるからっていきなりナイフで自分の指を切ったらダメですよ! びっくりしたんですからね!」


 二人にすごまれて私はたじろいだ。ここは早めに謝るに限る。


「ご、ごめん」


「反省してないでしょ。今度やったら大事な魔石を窓から投げるからね。あとは、テリブの森に行くのしばらく禁止にしてもらうから」


「そ、それだけは勘弁して! どっちも嫌!」


「だったら魔石に関することで無茶はしない。いい?」


「はい」


 私は嫌と言うほど知っている。サリーを怒らせると怖いという事を。


 彼女はやると言ったらやる。


 魔石を窓から投げるし、学長に掛けあってテリブの森への出禁をもぎ取る。


 腰に両手を当てて怒るサリーに逆らおうもんなら即行動する。


 だから私は大人しく従う。


「なんだかサリーさんがお母さんみたいね」


「やめてよ。こんな手のかかる子供産んだ覚えないし、育てるならもう少し教育するわ」


「ふふっ。本当に仲良し。……羨ましいな」


 柔らかく微笑んだ顔に影が差した。私たちは顔を見合わせる。


 長年の付き合いだ。


 言葉を交わさなくても言うことは分かる。


 どちらが言うかも、打ち合わせをしなくても決まっていた。


「アリス。友達にならない? あ、この際だから言っておくけど年齢差とか身分とか関係なしね。これも何かの縁。だいたい私の魔石語りを聞いて逃げなかった人って貴重なんだよね」


「あ~。いつも途中で逃げられるもんね」


「面白いのに」


 ポカンとしているアリスは口を何度も開閉させる。


 言葉を選んでは口に出す前に閉じる。


「で? アリスはどうなの。私たちと友達になってくれる?」


 片手を差し出した私をアリスが見上げる。


 遠慮がちに白く綺麗な手を乗せて彼女は今日一番の笑顔を見せた。


「よろしくお願いします」


 それから互いに呼び捨てになり、アリスは研究室に遊びに来るようになった。





「最初はドン引きしてたアリスも今では普通にあんたの魔石語り聞いてるもんね。アラン様も兄妹ならすぐ慣れそうじゃない?」


 アリスとの出会いを思い出していたサリーが笑いを堪えながら言う。


 私はアランの顔を思い出して眉を寄せた。


 あの無表情男が慣れる? 全く想像出来ない。


 そもそも、政略的なものなのだから相手はこちらに関心なんてないだろう。


 そうに決まってる。


 私は棚から箱を取り出した。


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