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舞い散る葉  作者: 堂根倉 奏
3/4

選択と責任

 試着以来のスーツは言葉にすると着るというより纏うの方が合っているほど滑稽だったことだろう。居辺は他の友人と入学式に出席していたので俺は1人で出席した。顧みると一人で入学式に出たのは初めてだった。いつも必ず友達がいた。入学式で受け取った荷物の中には履修の手引きがあり、アパートに戻りそれを広げ、履修する科目を自分で決めて提出しなければならないことに、ここでもまた自分で事を成し遂げなければならない責任を感じたものだ。

 今までの自分はかなり適当で、友達や親に訊けばいいと思って行動してきたことが大学に入ったことでよく分かった。自分で文を読み、理解し、決定する。このプロセス内で認識に誤りがあると自分にもれなく不幸が訪れる。しっかり見聞きし、自分で選択していく今までにはない行動を求められることに緊張が走った。

 履修科目をある程度決めたところで、居辺とともに自転車を買いに行くことにした。大学近くの自転車屋の前に並んだ光り輝く自転車達。居辺の「やっぱ大学生はマウンテンバイクでしょ!」の一言で、俺は赤いマウンテンバイクを買った。3人兄弟の末っ子だった俺が新しい自転車に乗るのはこれもまた初めてだった。実は姉からのお下がりのママチャリが()()()()()だが、家具類と一緒に運んだその日に盗まれたと姉から聞いた。大学生の街はそんなもんだった。だからマウンテンバイクには鍵を2つ付け、アパート脇の自転車置き場ではなく、居辺の部屋の玄関前に置くことにした。居辺は原付バイクを買ってもらっていたので自転車は不要だった。居辺の家は比較的裕福だったので、何と新車の車まで与えられていた。

 こうして少しずつ部屋に必要なものも買い足し整理し、授業が始まる頃には生活に安定が生まれていた。

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