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喜田君ち  作者: 水藍
10/13

キッチンドリンカー

「昨日、おとんとおかんがキッチンにいてさ」


 と、喜田君が呟く。給食の時間。いただきますの前のこと。


「うん」


「二人でもぐもぐしててさ。おとんがおかんに言ってる訳。『立派なキッチンドリンカーになりおって』って」


 キッチンドリンカー。飲みながら家事をする人のことだっけ。ちょっと格好良いよな。良く分からないけど。


 へー。喜田君のおかん、お酒飲むんだ。何となく陽気なお酒の気がする。つまみでも食べながら家事をしてたんだろうか。


「ずるいと思って俺も参加した」


「うん?」


「お? お前も参加するか! って言われてキッチンドリンカーデビューしてきた」


 え? 喜田君はキッチンドリンカーデビューはまだできないよ?


「それでそのままおやつと麦茶飲んで解散したんだけど、今思うと行儀悪かったよね。あ。いただきまーす!」


 ちょっと待って。


「…喜田君?」


「ん?」


 もぐもぐしてる喜田君が振り返る。


「え? おかんは家事してたんだよね?」


「してないよ。じゃがりこ食べてた」


「突っ立って?」


「うん」


「おとんは?」


「おとんも」


「…あ、そう。いただきます」


 喜田君。それさ。家族三人で立ってキッチンでじゃがりこ食べただけだよね? 飲み物は麦茶? 酒も家事もなかったんならキッチンドリンカーにはなってないよ。


 …と言おうとしたけど、何か格好良い言い方したかったのかなと思うと現実を口にできない俺だった。

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