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心の標識

作者: やいバス

初めての作品なのでお手柔らかにお願いします

 朝が来た、今日も昨日と変わらない日がまた始まる。

 教室のドアを開けた、誰かが何かを言っている。興味はない、授業が終わり部活が始まる。疲れたなと感じる僕、帰りの道でひたすら自転車を漕ぐ、片耳はイヤホンを付けて曲を聴く、もう片方の耳にはイヤホンは無い、世界から聴こえる音はイヤホンを付けている方から聴こえる歌詞に重なっている。心地よかった。

 今日も何も無い一日が終わった、夜遅くに布団に潜った。疲れきった体は力が抜け、まるで海の奥底にゆっくりと落ちる気分だった。

 夢を見る…いつ頃からだろうか最近はずっと同じ夢を見る。どんな夢かというと、ただひたすらに一本道を真っ直ぐと進むのだ。疲れたりはしない、そのかわり景色は空と道だけで標識なんてない、遠くにぼんやりと何かが見える。だけど近づいてもそれは見えない。後ろを振り向く、何もない。ただひたすらに続く自分の足跡だけ、僕は再び歩き出す。

 今日の夢は一味違った、一本道を歩いていると目の前に老人が居た。白髭がお腹あたりまであり、フードを被っていて顔が良く見えない。その老人は僕に問いかけた。君は何処に向かっている?僕は言った、「分からない、前も後ろも同じ…ただひたすら前に歩くしか出来ないんです」老人は僕に君はまだ道標を見つけれていないのか?こんなにも沢山あるのに…と言った。僕には何も見えなかった。僕は老人に対して怒りが湧き横を無理に通ろうとした、老人は止めなかった。僕が通り過ぎる時、老人はボソッと言った…既に君は道標を持っていると、僕はその言葉が気になって後ろを振り向いた、だけどそこにはもう老人の姿はどこにもなかった。

 どれくらい道を歩いただろうか、夢ならば覚めてくれと思ったが覚めたところでまたつまらない一日の繰り返しだと思ってしまった。僕はようやく老人の言った「道標を持っている」という事がどういう意味なのかを考え出した。だけどさっぱり分からない、僕は逆に「道標」は何なんだろうと考え始めた。空には万遍の星、焚き火の火はパチパチと弾けている…不思議だ涙が止まらない、燃える火や星達を見るたびに自分の眼から濁った涙がボロボロと落ちていた。

 僕は初めて理解した…心は知っていたのだ。僕が一番何を望んでいるのかを、寂しかったのだ。仲間が欲しかったのだ

 ただそれだけだった。なのに自分は周りとは打ち明けられないと思い込み心に蓋をした。だから自分の歩く道には標識が無かったのだ。自分を導いてくれて過ちを正してくれる仲間という標識が、その時焚き火の奥に老人が火をいじりながら座っていた。僕は老人に気づいて話しかけようとした…老人が先に話し出した。「心の窓の汚れは涙のおかげで綺麗に落ちたようだね。」と焚き火に薪をくべながら老人は言った。僕は老人に感謝をして再び前に進み出した。長い間そこに止まっていたな、歩き出した僕の背中からは暗かった心を照らすように太陽が昇っていた。目の前には無数の標識が立っていた。ようやくボンヤリしていたものが見えるようになった…

 夢から目が覚めた。また今日も昨日と同じ一日が始まる。だけどもその日は違った、教室のドアを開けるとみんなの会話が聴こえる。どうやら今日の授業について話し合ってたみたいだ、興味のない会話だったのに今では自分も混ざって話し合っている。帰りの道ではイヤホンから聴こえる曲と世界の曲が混じりあってやっぱり心地よかった。

 ふと後ろを振り向いた。夢で出会った老人がいた気がした。そこには誰も居なかった…あったのは通り過ぎた標識だけ、僕は再び自転車を漕ぎ出した。あぁ明日もこんな日が続くんだろう。だけど僕はそれでも歩き続けるよ

「心の標識」を読んで下さった読者の皆様方、本当にありがとうございます。これからもやいバス、心を込めて作品を作っていきますので読者の皆様方、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

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