3.テストの始まり
『テストを行います』
“テスト”その言葉に全員が注目する。
『5人で協力してその教室から脱出し、校長室まで来ること。ただし、沢山罠があるので気をつけること。制限時間は15時間。開始!!!』
そこでスピーカーはバチッと切れた。教室の中に沈黙が流れる。
……は?意味が分からない。勝手に集められて勝手にテストを始めやがった。学校全体を使ってこれまで大規模にするとは…。何かの番組でも取られているのか?少し視線を教室全体に向けると、直ぐにカメラか見つかった。確認出来るだけでも3台。
陸翔はハッとしたように立ち上がり扉へ近づくと開こうとした。けど、扉はガチャガチャと音を立てるばかりで一向に開く気配はない。諦めたのか、戻ってくる彼を見て全員が悟った。
閉じ込められた………!!!
「くそっ!何がどうなってんだ!」
新君が髪を乱暴に掻きながら困惑した声で怒鳴る。この場の全員が今同じことを思ってるはずだ。
「はぁ……。仕方ない。テストと言うことは必ず答えがある。まずはこの教室を出る方法を探そう。」
正君が怠そうに切り出し、立ち上がろとしたところを光君が制した。
「まずは自己紹介じゃない?正と陸翔と新と俺は顔馴染みだけど彼女とは初めましてだろう?」
全員の視線がこちらに向いた。正君も「そうだな」と頷き座り直す。
「じゃあ俺からね!姫川 新。1年、『物造り特化クラス』首席。宜しく!」
3人は知り合いらしいので私の方を向き、手を差し伸べてくれる。その手を握り返して「宜しく」と返した。
それにしても彼は『物造り特化クラス』だったんだ。茶色の髪は所々はねてるし、猫っ毛な感じ。そう言えば、『物造り特化クラス』は、建築士や芸術家コースの人が目指すクラスだと聞いたことがある。完全実力主義で、この学園の数ある特化クラスの中でも毎年倍率が3番目に高いという。その中でも首席ってことは、凄い実力者なんじゃ!?
……ん?姫川 新…?
「!!!姫川 新って、あの大企業の姫川グループの息子!!!?」
「ははっそうそう」
姫川グループと言えば、デザイン界の大企業。この学園の制服も姫川グループ監修だそうだし…。坊ちゃんじゃん…。
「俺は鈴原 正志郎。1年四教科専門クラス、首席。宜しく」
四教科専門クラスって確か……
「……変人クラス」
ハッ!思ったことがそのまま口から出てしまった!!
私の言葉に新君、光君、陸翔までもが腹を抱えて笑い出した。新君に至っては、正志郎くんの背中をばんばんと叩いている。
「あっ……ごっごめっ」
「いや、事実変人だらけだから構わない。俺以外はな!!」
今めっちゃ「俺以外は」って強調したじゃん。絶対怒ってるよね。
『四教科専門クラス』通称『変人クラス』と言われている。外国語を抜いた国語、数学、社会、理科に特化したクラス。